日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第46回日本臨床薬理学会学術総会
会議情報

優秀一般ポスター
日本人慢性心不全患者におけるβ遮断薬の至適投与量の検討
木村 幸太郎鈴木 敦志賀 剛飛田 英祐前田 真貴子廣部 祥子前田 真一郎武田 汐莉福田 萌夏藤尾 慈
著者情報
会議録・要旨集 フリー HTML

p. 292-

詳細
Abstract

【背景】 β遮断薬は心不全治療の中心的薬剤であるが、日本の心不全診療ガイドライン(以下、GL)における最大推奨用量は、欧米の推奨用量の半分以下である。本研究では、日本人慢性心不全患者におけるβ遮断薬の至適投与量について、患者背景も考慮して検証した。【方法】EF ≦40%の日本人413名を対象に、β遮断薬(carvedilolまたはbisoprolol)の投与開始後3年間の観察を行った。GL最大推奨用量に対する観察期間終了時の投与量の割合(%)によって患者を2群に分類(<50% / ≧50%, n=181/232)し、総死亡率、投与の中断及び減量割合並びにEF及び心拍数の変化を評価した。なお、本試験は大阪大学大学院薬学研究科・薬学部臨床研究倫理審査委員会の承認及び東京女子医科大学の実施許可を得て実施した。【結果・考察】総死亡率は、<50%群に比べて≧50%群が有意に低かった(log-rank検定, p<0.001)。Cox比例 hazard model では、用量(HR 3.33;95% CI 1.35-8.20; p=0.009)、ヘモグロビン(Hb)(0.76;0.64-0.89;p=0.001)、BNP(2.61;1.19-5.70;p=0.016)が総死亡率と有意な関連を示した。Hbでの層別log-rank検定の結果、Hb<12g/dL 群では、≧50%群の総死亡が有意に低かった(<50% vs. ≧50%:患者割合, 用量; 28.6% [22/77], 19.7±9.2% vs. 6.3% [4/63], 70.2±24.0%;p<0.001)。一方、 Hb≧12g/dL 群では、用量群間で死亡率に有意差は認められなかった(4.9% [5/102], 21.9±8.1% vs. 2.5% [4/162], 79.3±29.5%;p=0.251)。年齢でマッチングした解析でも同様の結果が得られた。忍容性については、<50%群で中断割合が高く(多変量ロジスティック回帰分析、p=0.020; OR 3.28;95%CI 1.21-8.91)、Hbが高いほど減量割合が低かった(p=0.020;OR 0.83;95%CI 0.76-0.96)。EFと心拍数は投与開始前後で有意に改善したが、用量間に有意差は認められなかった。【結論】β遮断薬の≧50%群では3年後の総死亡率が有意に低かった。用量の他に、Hb及びBNPもそれぞれ独立した予後因子である可能性が示唆された。特に、投与開始時のHb値が高い群では<50%群であっても≧50%と比較して総死亡率に差はなかったことにより、Hb値がβ遮断薬の治療効果に影響する可能性が示唆された。

優秀一般ポスター1

 
© 日本臨床薬理学会
feedback
Top