主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第46回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: 東京都千代田区
開催日: 2025/12/05 - 2025/12/06
p. 376-
【目的】治験参加者(被験者)の重複登録という重大な課題に対処するために、医療法人社団慶幸会(以下慶幸会)は臨床試験受託事業協会 (以下臨試協)の被験者照合システムを長年利用して来た。しかし、個人情報の取り扱いが厳しくなったこともあり、現行のシステムは大幅な改良または新規導入が必要となってきた。そこで欧米など40か国で使用されており、事実上の世界標準の重複登録防止システムであるVerified Clinical Trials (以下VCT)社と協議した結果、臨試協加盟機関に対して使用料を無料とするパイロットプログラムへの参加を提案された。臨試協および株式会社MRJとの協力により、慶幸会の2施設がパイロットプログラムに参加しVCTシステムの有用性を検討した。 【方法】慶幸会ピーワンクリニックおよび東新宿クリニックの両施設において、担当者にVCTシステム試用のためのトレーニングを実施し、運用手順を検討した。これから実際の治験にVCT社のシステムを用いて、被験者の適格性を確認する予定である。VCTのICFの説明と同意取得、指紋認証の受け入れ、並びにシステムの有用性、利便性について検討する。【結果・考察】VCT社の被験者重複登録防止システムは、被験者の不適切な再スクリーニング参加、異なる施設での重複登録、他施設で既に終了または早期終了した後に再登録の試みなど、施設横断的な登録問題を防止することができる。担当者のトレーニングはWebベースの英語のe-ラーニングであるが、問題なく理解できた。学会までの期間に実際の治験で使用し、休薬期間不足、重要な選択除外基準、禁止薬の投与、などを検出し被験者の適格性を確保できたかについて報告する。また指紋認証システムの利用が日本の被験者に受け入れられるかどうかについても検討する。【結論】治験では、被験者の誤認や虚偽の自己申告による重複登録が問題視されてきた。治験実施医療機関は、高品質の治験の実施および被験者保護のため、重複登録防止システムを利活用することが不可欠である。今回、慶幸会の施設でVCTのシステムをパイロットプログラムで経験できた意義は大きい。今後はPhase-2,3試験においてもVCT社の被験者重複登録防止システムが有用であることを実証したい。
一般演題(ポスター)14