主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第46回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: 東京都千代田区
開催日: 2025/12/05 - 2025/12/06
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ドーピングはスポーツの価値を損なう行為であり、アンチ・ドーピング活動の目的はスポーツにおける公正性の確保とスポーツを行う者の心身の健康の保持増進である。世界のアンチ・ドーピング活動は世界アンチ・ドーピング機構が統括しており、世界アンチ・ドーピング規程(世界規程)に則り実施されている。国内アンチ・ドーピング機関は、公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構である。 アンチ・ドーピング規則違反は、ドーピング検査による禁止物質の検出を含めて全部で11項目があり、違反と判定された場合には関連の試合成績の失効と競技資格停止の制裁が科される。検査やその他の手続きについては綿密な規則として8つの国際基準が定められている。国内のドーピング検査は年間8000件程度実施されており、毎年10件未満のアンチ・ドーピング規則違反が発生し、多くはサプリメントや医薬品の不注意な摂取が違反原因になっている。国内のドーピング検査費用は独立行政法人日本スポーツ振興センタースポーツ振興くじから9割助成をうけている。 禁止物質と禁止方法は禁止表国際基準に掲載されている。①競技力向上効果がある、②競技者の健康に危険性を及ぼす、③その使用がスポーツ精神に反する、の3要件の2つ以上を満たす場合に禁止表への掲載が検討される。禁止表国際基準は毎年見直され、2025年禁止表国際基準には、常に禁止としてS0無承認物質、S1蛋白同化薬、S2ペプチドホルモン、成長因子、関連物質および模倣物質、S3ベータ2作用薬、S4ホルモン調節薬および代謝調節薬、S5利尿薬および隠蔽薬、M1-M2-M3禁止方法、競技会時のみの禁止としてS6興奮薬、S7麻薬、S8カンナビノイド、S9糖質コルチコイド、一部の競技で禁止としてP1ベータ遮断薬がある。禁止物質のほとんどはもともと治療薬であり、アスリートが禁止物質や禁止方法を治療として使用する場合は治療使用特例(TUE)が必要となる。 2023年には全世界で288,865件のドーピング検査検体が分析され、2,769検体(0.96%)から禁止物質が検出されている。検出されて違反が疑われた禁止物質は、S1蛋白同化薬(42%)、S5利尿薬および隠蔽薬(16%)、S6興奮薬(14%)、S4ホルモン調節薬および代謝調節薬(10%)が多い。 アンチ・ドーピング活動の基盤として研究は重要である。世界アンチ・ドーピング機構の研究推進および国内のアンチ・ドーピング研究の状況についても説明する。
特別講演 4