日本臨床薬理学会学術総会抄録集
Online ISSN : 2436-5580
第46回日本臨床薬理学会学術総会
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シンポジウム
アルツハイマー病における薬物治療新時代
鈴木 啓介
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p. 43-

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Abstract

日本神経治療学会で実施している医療ニーズ調査において新規治療法の開発が急務と考える疾患ベスト3に必ず入ってくるアルツハイマー病であるが、抗アミロイド抗体薬であるレカネマブが2023年9月に承認され、2024年9月には同じく抗アミロイド抗体薬のドナネマブが承認となった。それぞれ2023年12月、2024年11月に保険適用となり、実臨床での使用が進んでいる。これまでは疾患修飾作用を持たない補充療法的な治療にとどまっていたアルツハイマー病において、薬物治療の新時代が到来したと言える。またこれらの抗アミロイド抗体薬の上市によって、アルツハイマー型認知症のステージだけでなく、新たにアルツハイマー病による軽度認知障害(MCI due to AD)のステージでも保険診療による治療が可能となった。 また症状が進行したステージにおいても、2024年9月、ブレクスピプラゾールが「アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動」に対して適応追加となった。加えて2025年3月には、持続放出性のリバスチグミン製剤が承認となり、今まで1日1回貼付する必要があったものが週2回の貼付で済むようになった。 このようにアルツハイマー病において新しい治療法が続々と登場しているものの、アルツハイマー病の医療ニーズが完全に満たされた訳ではない。抗アミロイド抗体薬の第Ⅲ相試験では、約1年半の実薬投与によって臨床症状の悪化をプラセボとの比較で有意に抑制したものの、実薬群でも臨床症状は悪化しており、疾患の進行停止や臨床症状の改善には至らない現実がある。また抗アミロイド抗体薬の投与を希望されても、頭部MRIやアミロイドPETの所見において投与に至らないケースも多く、また投与基準をすべて満たしてもご本人・ご家族の意向で投与を希望されない場合もある。このような抗アミロイド抗体薬の投与を行わない症例に対して、演者が所属する施設では脳・身体賦活リハビリテーションや研究への参加、他の治療法の臨床試験への参加など多様な選択肢を提案しているが、こういったところにも医療ニーズが潜んでいると思われる。 本講演では、失敗続きであった抗アミロイド抗体薬の開発がなぜ成功に結びついたのか、また開発が成功しても残っている医療ニーズについても触れていきたい。

シンポジウム 8

 
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