主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第46回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: 東京都千代田区
開催日: 2025/12/05 - 2025/12/06
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近未来の日本の医療は、2025年を境に全国一律ではなく、各都道府県で歩む道が異なっていくことが予想される。例えば東京都では、人口は減らないまま、これから高齢化が進む。ただでさえ少子化のスピードが速く、医療・介護の支え手が少なくなる東京なのに、医療・介護需要はますます増えていくという大問題を抱えている。一方、全国を見ると、外来診療はすでに2025年にピークを過ぎるところが大半で、入院診療も2035年にはピークを迎え、その後減少に転じ、在宅医療のみ全国で需要が増し続ける。一方、東京だけは2045年以降まで、外来、入院、在宅医療ともに需要が増え続ける。このように医療・介護環境は、人口動態、少子高齢化の度合いなどによって、都道府県別に確実に変わっていくのである。 都道府県は、厚生労働省や日本医師会などに医療政策の舵取りを任せるのではなく、コロナ禍の時のように、各都道府県が行政と医師会の連携のもと、多職種と協働して、自分たちの自治体にあった医療・介護環境にふさわしい政策を取っていかなければいけないと考えている。 国の2040年に向けた新たな地域医療構想でも、大都市、地方都市、過疎地域に分けて考えていく方向性を打ち出している。東京にはこの三つの地域が存在しており、今後ロールモデルになるような医療政策の展開を東京都の行政と共に模索中である。 高齢化と医学の進歩によって医療・介護費が増していくにもかかわらず、景気の停滞もあって、必要な財源確保の見通しは立っていない。近年、診療報酬を維持するため、薬価を下げそれを財源とする政策が続いたため、製薬業界は大きなダメージを受け、ジェネリックメーカーの不祥事も相まって、必要な薬の供給が思うようにいかない事態を招いており、社会問題となっている。患者さんの命にかかわる治療に必要な、欧米ではすでに使われている新薬が使えない、迅速に入ってこない、いわゆるドラッグロス、ドラッグラグの問題も、欧米企業からすると日本の不当に安い薬価制度がその一因になっている。 一方で、日本での画期的な新薬の開発は遅れており、基礎研究では良いものが沢山出ているにもかかわらず、それがシーズとなり実りある創薬につながらない問題を抱えている。国際協力のもと、新しい創薬エコシステムを作っていくことがその解決策になると言われているが、そのためにも先を見越して、この分野に十分な財源を投入していく思い切った政策が国に求められている。
特別講演 5