主催: 日本臨床薬理学会
会議名: 第46回日本臨床薬理学会学術総会
開催地: 東京都千代田区
開催日: 2025/12/05 - 2025/12/06
p. 89-
本邦におけるがんゲノムプロファイリング(Comprehensive genomic profiling: CGP)検査は2019年の保険適用から6年が経過し、2025年4月にはがんゲノム情報管理センター(C-CAT)に登録された症例は10万例を超えた。がんゲノム医療はがん診療において必須の領域となった一方で、多くの課題が顕在化している。検査数増加に伴うエキスパートパネルの負担の増加や、薬剤到達率の向上に加え、検査の有用性を活用するための実施タイミング、CGP検査がプロファイリング機能に併せ持つコンパニオン診断機能の利用が困難である点などが解決すべき課題となっている。 コンパニオン診断は保険承認された薬の適応判定を目的とし、診断時から行うことが可能である。対してCGP検査は特定のがん腫や遺伝子バリアント、薬剤の適応判定を目的としないため、希少がんにおいても実施可能であり、結果から保険承認薬以外の選択肢も検討されるため、患者ごとの遺伝子プロファイルに基づいた幅広い薬剤選択の検討が可能である。ただしCGP検査の算定要件は、標準治療がない固形がん患者又は局所進行若しくは転移が認められ標準治療が終了となった固形がん患者(終了が見込まれる者を含む)とされる。これにより、標準治療が存在するがん種において標準治療が未終了と判断された場合、保険が適用されない可能性がある。また保険算定上の制約により、多くの医療機関では標準治療終了前のコンパニオン診断の機能の利用が困難であり、標準治療終了後の実施を余儀なくされている。これにより特に早期ラインでの承認がある薬剤でコンパニオン診断が他にない場合、治療機会を逸する可能性が懸念される。 CGP検査は患者個々に最適化された治療選択肢を提供する個別化医療の中核となっているが、コンパニオン診断と比較して高額な検査であり、その運用も複雑である。そのため、検査の臨床的意義に加え、運用方法と課題を十分に理解し、適切に活用することが重要である。 本セッションではがんゲノム医療の固形がん領域におけるCGP検査の現状を解説するとともに、コンパニオン診断とCGP検査の運用と課題について議論を行う。
シンポジウム 22