医療の質・安全学会誌
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原著
有害事象・インシデントの頻度および医療費を把握する手法の検討
―入院中調査と退院後調査の比較を通して―
小林 美亜坂口 美佐池田 俊也田邉 博子高橋 陽一堺 秀人
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ジャーナル 認証あり

2006 年 1 巻 1 号 p. 23-29

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抄録

目的 : 入院中調査 (診療記録や病棟職員へのインタビュー), 退院後調査 (遡及的診療記録レビュー) で把握し得る有害事象やインシデントの頻度について比較を行うこと, またこれらにより発生した医療費の把握を行うことを目的とした.
対象と方法 : 1急性期病院で, 入院中・退院後調査によって有害事象およびインシデントを把握し, それぞれの手法の精度を比較し, また有害事象・インシデントにより発生した医療費を把握した.
結果 : 把握された有害事象は, 入院中調査では5件, 退院後調査では16件であり, 把握されたインシデントは, 入院中調査では28件, 退院後調査では58件であった. 有害事象を生じた症例の追加医療費は平均102,246円, インシデント症例の追加医療費は平均5,083円であった.
結論 : 退院後調査の方が把握できることが明らかとなった. 有害事象やインシデントの予防策を講じることにより, 医療費を抑制できる可能性が示唆された.

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© 2006 医療の質・安全学会
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