医療の質・安全学会誌
Online ISSN : 1882-3254
Print ISSN : 1881-3658
ISSN-L : 1881-3658
総説
医学部臨床実習への医療安全管理部門参画の意義と問題点
高橋 敬子中島 和江鈴木 敬一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 14 巻 1 号 p. 3-10

詳細
抄録

医学生への医療安全教育は座学のみで修了するのではなく,他の臨床科目と同様に,臨床現場に知識を反映させるための実習を導入することで,さらなる学習効果が得られるものと考える.プログラムには実際の臨床での流れに近いシミュレーション教育や多職種連携教育を含むなどの工夫が必要で,実習を通じて学生は「患者安全の確保」という医師の使命を認識し,医療安全教育を生涯学習として捉える動機付けとなる可能性が高い. 我が国の医学部生教育に対する医療安全教育には,学生に対する学習プログラムのみでなく,指導者に対する指導要綱や学生評価基準などが存在せず,各大学での医学教育モデルコアカリキュラムに沿った工夫に任されている.患者安全を重視した学生医行為実施のためにも統一された医療安全教育プログラムが望まれる.

著者関連情報
次の記事
feedback
Top