抄録
目的:医療関連死の端緒は死のプロセスの「重大な転帰や併存症(=介在死因)」と想定されるが,病理解剖が激減している現在,医療関連死調査の大半は臨床情報からの推定に留まっている.そこで,病理解剖知見を医療安全活動で共有する目的で,介在死因に着目したデータベースを作成し,介在死因に影響を与えた医療行為の特徴を解析した.
対象と方法:1991年1月~2020年12月に本学分子病理学講座で施行された病理解剖症例から,肝胆膵領域疾患107例の原死因,介在死因,直接死因を抽出してデータベースを作成後,10年ごとの3期に分けて,医療安全に関係する介在死因の特徴を検討した.
結果:医療安全に関連する介在死因はⅠ期2/41例,Ⅱ期1/18例,Ⅲ期11/48例に含まれ,Ⅰ期に対しⅢ期は有意に増加した(p<0.05).内訳もⅠ~Ⅱ期のCVカテーテル,胸腔ドレーンの2項目から,Ⅲ期にはCVポート,胸水穿刺,肝生検,腎瘻造設,放射線肝障害,薬剤に起因する肺障害や免疫抑制状態など多岐に亘っていた.また,感染症の項目もⅠ期9例,Ⅱ期0例,Ⅲ期19例と,Ⅱ,Ⅲ期の間で有意に増加していた(p<0.01).
結論:病理解剖結果に医療安全活動の浸透を推定させる死因データの充実が図られており,死因データベースの充実を進めると,類似症例検索などに寄与する,医療関連死の解析に繋がる介在死因知見の共有と利活用が期待される.