2025 年 20 巻 1 号 p. 12-23
序論:本研究の目的は,臨床工学技士の指導者としての資質・能力に関する現状を明らかにし,その育成のための方策を提案することである.臨床工学技士は,生命維持に関わる高度な技術を提供する専門家であり,患者や多職種とのコミュニケーションや教育も重要な役割である.しかし,臨床工学技士の指導者としての資質・能力は,十分に研究されていない.特に,技術革新が激しい臨床工学分野では,教育者自身が最新の知識や技術を習得し,効果的な指導方法を身につけることが必要である.
対象と方法:本研究では,臨床工学技士の指導者に求められる資質・能力を明らかにするため,グランデッド・セオリー・アプローチを用いた質的データの収集・分析を行った.構成主義的立場に基づき,参加者の主観的な視点からデータを引き出し,厚く記述することを目的としている.対象は,大学病院で指導経験のある12名の臨床工学技士で,半構造化インタビューを実施した.インタビューガイドは,SutkinらやNishiyaらの研究を参考に作成した.
結果:臨床工学技士の指導者に必要な資質・能力を臨床工学技士,教育者,個人の3つの領域に分類し,51項目を同定した.そのうち,【多職種と連携する】,【他職種との相互信頼を深める】,【リスクマネジメント能力を発揮する】,【他職種へ効果的に教育する】,【学習者の自己開示を引き出す】,【自己の感情をコントロールする】,【業務におけるゆとりを持つ】,【ストレス解消とリフレッシュを大切にしている】の8つの項目は臨床工学技士が特に強く意識した項目であることが示唆された.残りの項目は,他の医療職種と共通のものであるが,臨床工学技士の指導者にとっても重要な項目として捉えられた.