抄録
医療現場において,他の医療者との人間関係を損なう医療者の破壊的行動(DCB)は日常的に見られる.日本においてDCBは馴染みのない概念であるが,米国は早くからDCBの患者安全に及ぼす影響を問題視し,積極的な介入を行ってきた.しかしながら,その努力にもかかわらずDCBの根絶には至っていないのが現状である.そこで,本論では米国におけるDCB対策の問題点を踏まえた上で,日本におけるDCB対策に紛争解決学の理論である修復的正義の応用可能性について検討した.その結果,危害の修復と持続可能なコミュニティーの構築を目指す修復的正義は,DCBに効果的なアプローチのひとつになりうることが確認された.