社会学評論
Online ISSN : 1884-2755
Print ISSN : 0021-5414
ISSN-L : 0021-5414
特集・グローバル化と社会的排除に抗う社会運動――反グローバリズムの諸相
社会運動ユニオニズムと国家
「労働者的公共圏」の形成
山田 信行
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 65 巻 2 号 p. 179-193

詳細
抄録
主として1990年代後半以降, とりわけ先進社会においては, グローバル化のもとで労働運動の再活性化が指摘されるようになり, その1つのタイプとして社会運動ユニオニズムが注目を集めている. 本稿においては, 社会運動ユニオニズムの特徴を確認したうえで, 「コーポレート・キャンペーン」にみられるように, このタイプの労働運動が私的な労使関係に「公共性」をもたせることをその戦術として採用していることに注目する. この労働運動が志向する社会制度の形成・改変にあたって, あらゆる社会勢力に利害関心をインプットする回路を開いている資本主義国家の構造的特質を利用して, 「フォーラム型」労働運動のかたちをとって, 広範かつ継続的な組織連携を戦略として採用していることを強調したい. そのうえで, 資本主義社会における国家との関連において, 「公共圏」概念を再検討し, 社会運動ユニオニズムが, 労働運動としてふたたび「公共圏」 (「労働者的公共圏」) を形成する性格を回復していることを明らかにする.
著者関連情報
© 2014 日本社会学会
前の記事 次の記事
feedback
Top