社会学評論
Online ISSN : 1884-2755
Print ISSN : 0021-5414
最新号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
特集号・テキストマイニングをめぐる方法論とメタ方法論
  • 仁平 典宏, 藤田 真文
    2017 年 68 巻 3 号 p. 326-333
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー
  • 樋口 耕一
    2017 年 68 巻 3 号 p. 334-350
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    筆者はテキスト型 (文章型) データの分析方法「計量テキスト分析」を提案し, その方法を実現するためのフリーソフトウェア「KH Coder」を開発・公開してきた. 現在ではKH Coderを利用した応用研究が徐々に蓄積されつつあるように見受けられる. したがって現在は, ただ応用研究を増やすのではなく, KH Coderがいっそう上手く利用され, 優れた応用研究が生み出されることを企図しての努力が重要な段階にあると考えられる. そこで本稿では, 現在の応用研究を概観的に整理することを通じて, どのようにKH Coderを利用すればデータから社会学的意義のある発見を導きやすいのかを探索する.

    この目的のために本稿では第1に, 計量テキスト分析およびKH Coder提案のねらいについて簡潔に振り返る. 第2に, KH Coderを利用した応用研究について概観的な整理を試みる. ここではなるべく優れた応用研究を取り上げて, 方法やソフトウェアをどのように利用しているかを記述する. また, なるべく多様なデータを分析対象とした研究を取り上げることで, 応用研究を概観することを目指す. 第3に以上のような整理をもとに, 計量テキスト分析やKH Coderを上手く利用するための方策や, 今後の展開について検討する.

  • 田中 省作
    2017 年 68 巻 3 号 p. 351-367
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    膨大なテキストを機械処理し, 知識の発見や仮説の検証を行う, テキストマイニングとよばれる方法論がさまざまな分野で活用されはじめている. そのようなテキストマイニングと密接な関係にあるのが, 計算機で日本語や英語といった自然言語の処理を探究する自然言語処理である. 本稿では, 今後, テキストマイニングが社会学も含め多様な分野で展開されることを念頭に, 自然言語処理を概観し, その言語観や自然言語処理からみたテキストマイニングについて事例を交えつつ, 論じる.

    自然言語処理は, 情報科学, 言語学や認知科学などにまたがる学際的な分野である. 自然言語処理はテキストマイングを重要な応用として位置づけており, 汎用的な基礎解析だけではなく, 課題にそくした技術開発等も行われている. その自然言語処理は技術開発の際, 言語を大胆に捨象し, 近似することが日常的に行われる. その結果, 現在の技術水準では文脈などの大局的な言語情報は必然的に失われ, 自然言語処理を活用するテキストマイニングにも強く影響する. 得られる知識断片には, 専門家による関連知識の補完や解釈が必然的に求められることになる.

  • 左古 輝人
    2017 年 68 巻 3 号 p. 368-385
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    本稿は16・17世紀の英語におけるsocietyの概念をテキストマイニングにより解明する. 当時の政治的著述群から作成したコーパスの分析により, 以下の諸点を明らかにした.

    まず, 近世英語にとりsocietyは大陸の新古典主義に特有の外来語であり, そのままでは理解不能だったため, 土着語fellowshipおよびcompanyと同定された.

    第2に, societyは近世を通じ, 人間の都市的な諸結合の総称として機能した.

    第3に, societyの指示対象には時期により特色があった. 16世紀前半には, 特に2人の人のあいだの移ろいやすい関係がsocietyと呼ばれた. 16世紀半ば以降は持続性・組織性がある団体, 17世紀には法人団体がsocietyと呼ばれた. 17世紀後半, societyは公的支配との関係を深めてゆくのと反比例して, virtueとの関係を薄めていった. 17世紀末には, propertyの保護がpolitical societyの唯一の存在理由として浮上した.

    現代の主導的な社会科学者のなかにはsocietyの術語としての価値を否定する者が少なくない. しかし上記の諸事実は, societyが巨大な構造的変化の過程をモニターするに好適な, 弾性に富む語句であったこと, そして今でもそうあり続けていることを示している.

  • 齋藤 圭介
    2017 年 68 巻 3 号 p. 386-403
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    社会科学の分野において, 政治学者を中心に1990年代後半から定量的研究と定性的研究のあいだで方法論についての論争が生じた. 定量的な方法論が定性的なものよりも科学的であるという主張にたいし, 定性的研究者は反論する過程で方法論・手法を洗練させていく.

    本稿の目的は, こうした定性的研究者の新たな方法論のうち質的比較分析 (QCA) に注目をし, 社会科学の分野で生じているこの方法論争を検討することで, 社会学で目下進んでいる方法論の多様化に積極的な意義を見いだすものである.

    本稿の構成は以下のとおりである. まず定量的・定性的研究という枠組みで方法論争が先鋭化した社会科学の方法論争を取り上げ, そこでの論点を整理する (2節). 続いてQCAの方法論を概観したのち (3節), 定量的手法とQCAの支持者たちが, 定量と定性の方法論をめぐる論点にたいして, どこに・いかに対立しているのかを確認する (4節). 以上の議論をまとめ, 方法論の対立は, 単なる手法 (テクニック) 上の違いにとどまらずその方法論が拠って立つ世界観にまで及ぶ根深い問題であることを指摘し, 方法論間にあるトレードオフの問題を考察する. そして現在の社会学の方法論の多様化という現状の理解に資する知見を導出し結論とする (5節).

  • 佐藤 俊樹
    2017 年 68 巻 3 号 p. 404-423
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    最近注目されている統計的因果推論やベイズ統計学は, 効果量 (効果サイズ) の分析などとともに, 社会学にも大きな影響をあたえうる. これらは基本的な考え方ではウェーバーの適合的因果や理解社会学と共通しており, 量的データにもテキスト型データにも適用できる.

    例えば, 統計的因果推論は個体レベルの因果の多様さを前提に, その期待値として集団単位の因果効果を厳密に測定する方法であり, 一回性の事象にも理論上は適用できる. 潜在的な結果変数と原因候補と全ての共変量の同時分布を想定することで, 適合的因果をより正確かつ一貫的に再定義したものにあたる. 理解社会学であれば, 主観的で仮説的な先入観をデータの客観的な情報を用いてくり返し修正していくベイズ更新として, 再定式化できる.

    こうした方法群は主観性と客観性の両面を同時にもっている。それゆえ, これらを通じて観察される社会の実定性もこの両面をつねにもつ.

投稿論文
  • 本多 真隆
    2017 年 68 巻 3 号 p. 424-441
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/12/31
    ジャーナル フリー

    近代日本における「家族」の情緒的関係に関する言説は, 自然発生的な要素か, 「近代家族」的な意識や規範の発生と関連づけられてきた. 近年の研究においては, 近代家族論の見地から, 1880年代に流通する「家庭」という言葉が, 新たな家族像を示した語として着目されている.

    しかし, 近代日本の家族論をみていくと, 日本の伝統的家族である「家」と関連づけられた情緒的関係に関する言説も多く見出される. そしてしばしばその関係性は, 「家庭」の情緒的関係とは異なるものと位置づけられていた. 本稿は, 近代日本における「家 (家族制度)」の情緒的関係に関する言説の形成過程とその論理構成を明らかにすることを目的に, 1890~1910年代の保守的な家族論を対象として, 分析をおこなう.

    検討の結果, 「家 (家族制度)」の情緒的関係に関する言説が, 「西洋」の家族像への対抗から, それとは異なるものとして形成され, 時勢への適合を経ながらも, 国家主義的な連帯の基盤とされていく過程が示された. 結論部では, 「家 (家族制度)」の情緒的関係に関する言説を, 「近代」への反動的な想像力のもとに構築された伝統的家族像の一類型として位置づけ, 近代日本における「家」と「近代家族」の関係について, 情緒的関係の観点から, 再検討した.

書評
feedback
Top