社会学評論
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新自由主義的「官民連携」の条件
―兵庫県淡路島における地域開発の系譜から―
林 凌
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2024 年 74 巻 4 号 p. 751-767

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抄録

2010年代以降の都市・地域社会学においては,日本の地域開発を支える政策が「開発主義」から「新自由主義」的なものへと移行したのかについて議論がなされてきた.この点についてはさまざまな意見が提出されているが,いまだ見解の一致はみられない.

本稿はこの文脈を踏まえ,現代日本における地域開発が旧来の「開発主義」的な要素を色濃く残しつつも,「新自由主義」的政策を組み込むことで成立していると捉えられること,この説明図式は,欧州における都市・地域政策の「新自由主義」化を問題視してきた先行研究の議論とも整合的であることを主張する.そのために,淡路島北部における人材派遣企業と兵庫県の「官民連携」の形成過程に着目し,分析を行う.

本稿の構成は以下の通りである.第1に,日本の地域開発をめぐる先行研究の議論の問題点を解決するためには,「開発主義」と「新自由主義」概念の関係を再考する必要があることを主張する.第2に,この観点より淡路島北部における「官民連携」に注目すべきであることを示し,当該地における企業の取り組みが自治体との密接な関係を通じ可能になっていることを示す.第3に,この関係が戦後日本における伝統的な地域開発の系譜の延長線上に浮上したものであることを,兵庫県における地域開発の歴史を通じて示す.最後に,本事例をもとに日本における「開発主義」の変容と持続を検討し,本稿が提示した分析枠組みの利得を述べる.

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