社会学評論
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現代日本社会の階級分析
橋本 健二
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1986 年 37 巻 2 号 p. 175-190,267

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抄録

社会諸階級の概念はマクロな社会構造と諸過程の研究において基底的な位置を占めるものであるが、にもかかわらずこれまで少数の例外を除いては計量的な実証研究には適用されてこなかった。本稿ではまず社会諸階級の概念を計量的な実証研究に適用するための理論的な準備作業を行ない、その上で現代日本社会を対象に、諸個人の階級所属の決定要因、所得格差、社会意識についての分析を行なう。明らかになったのは次のような諸点である。
(1) 諸個人の階級所属を決定する主要な要因は出身階級と学歴であるが、両者の相対的な重要性はそれぞれの階級によって異なる。
(2) 諸個人の階級的位置の違いは学歴や職業などの違いには還元できない実質的な所得格差を生み出しており、階級構造は所得の不平等の重要な基礎になっている。
(3) 社会諸階級は共通の社会意識を形成する重要な基盤になっている。

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