社会学評論
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会話における<子ども>の観察可能性について
阿部 耕也
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1997 年 47 巻 4 号 p. 445-460

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抄録

本稿では, 日常的な会話場面を素材に, <子ども>が会話においていかにして観察されるのかという問題を考察する。相手を「子ども」と見定め, そうした対象として扱い, それを刻々と確認あるいは変更するとき, 会話において, いかなる手続きがどのように用いられるのか。これらの論点は社会化研究の前提となるはずだが, それを問うためにはそもそも会話データにおいて<子ども>は観察可能かどうかを確認しなければならない。
この作業において我々は, 会話データをトリガーとした, 自らの日常的推論の自己記述的再構成というサックス (Sacks, H.) の方法論を踏襲しながら, 主に会話の構造の非対称的な側面に焦点を当てる。会話をめぐる非対称性が, 社会化にとって本質的な構成契機であると考えるからである。本稿では, <子ども>の観察可能性を, 会話における非対称性と合わせて確認するための手続きを例示する。

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