社会学評論
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動機・責任・道徳
Schutz動機論からLuhmannの道徳理論への展開
北田 暁大
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1998 年 49 巻 4 号 p. 635-650

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抄録
われわれはごく日常的なコミュニケーションの場面において, 他者の行為を記述することによりその行為をその行為者へと帰属させ, 「責任」の所在を指示しているといえようが, そうしたなかで, 行為者の意図 (目的) とは齟齬をきたすような行為記述がしばしば「適切」であるとされることも少なくない。行為者自身が自らの行為の記述に関する「権威」でありえない状況のなかで, われわれはいかにして行為記述の適切性を見定め, また行為の責任を帰属させているのであろうか。
本稿では, こうした行為の同定 (identification) や帰責 (attribution) のメカニズムをめぐる問題に照準しつつ, A.Schutzの提示した理由動機/目的動機の概念的区別を導きの糸として, 「行為を解釈すること」と「行為 (者) の責任を問うこと」がどのような関係にあるのかをまずI・II節で分析し, 行為者責任 (行為と行為者の関係) と行為の責任 (行為とその結果の関係) との相違を明らかにする。そして次に, N.Luhmannの「道徳」についての知見を参照しながら, 道徳コミュニケーションにおいて問われる責任が, 行為者責任/行為の責任のいずれとも異なる位相にあることを示し, そのようにして捉えられた道徳が現代社会において孕んでいる両義的な性格をIII節において論じていく。「責任」や「道徳」の社会学 (コミュニケーション論) 的な位置づけを与えることが, 本稿全体を通しての目的である。
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