抄録
我々は日本のX線自由電子レーザー(XFEL)施設,SACLAで得られる光子エネルギー5 keVと5.5 keVのXFELパルスをキセノン原子に照射し,多光子多重イオン化過程により生成した多価イオンを観測した。5 keVでは最大22価,5.5 keVでは最大で26価のキセノン原子イオンが観測された.このことは10 fs程度のXFELのパルス幅の間に,重原子がX線を吸収してはオージェ電子を次から次へと放出する過程を何度も繰り返すことを意味する.このような重原子の動的過程を正確に記述することは,SACLAの強力X線を用いる構造解析に不可欠なものとなる.