2021 年 38 巻 2 号 p. 162-168
【目的】本研究では、①プロジェクションマッピング映像による仮想生体反応の呈示の有無や実施者の属性にかかわらず、視線計測結果が習熟度評価指標となりうるかを検証し、②生体反応を呈するシミュレータを用いた際の作業負担感を初学者と熟練者において比較することを目的とする。
【方法】看護師群と学生群の気管吸引の所要時間、視線の停留時間・停留回数を測定した。タスク終了後に日本語版NASA-TLXを用い、両群の作業負担感を比較した。
【結果】生体反応呈示の有無と属性による交互作用は認められず、所要時間と視線停留時間において看護師群-学生群間の主効果が認められた。作業負担感は26項目中5項目に有意差が認められた。
【結論】看護師群の視線停留時間が統計学的有意に短く、習熟度評価に有用な指標と考えられた。作業負担感は生体反応の呈示により学生群・看護師群ともに高まり、先行研究よりも有意差のある項目数が減少した。