2022 年 39 巻 2 号 p. 177-183
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者における人工呼吸器関連肺炎(ventilator associated pneumonia:VAP)の発生率およびVAPに伴う菌血症の発生割合を検討するため、48時間以上人工呼吸管理が実施された患者を対象に、単施設後方視的コホート研究を行った。VAPに伴う菌血症は、痰培養から分離された菌と血液培養から分離された菌が同一であるものとした。COVID-19患者114名、非COVID-19患者198名を組み入れ、VAPと診断された患者はそれぞれ41名(36.0%)、15名(7.6%)であった。VAPの累積発生率は、有意にCOVID-19患者で高かった(ハザード比3.30[95%信頼区間1.18~9.25])。VAPに伴う菌血症の発生はCOVID-19患者で41名中15名(36.6%)、非COVID-19患者で11名中1名(9.1%)であった(p=0.14)。COVID-19患者はVAPの発生率は高く、またVAPに伴う菌血症の発生に有意差を認めなかった。