人工呼吸
Online ISSN : 2436-3103
Print ISSN : 0910-9927
39 巻, 2 号
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委員会報告
  • 一般社団法人日本集中治療医学会/一般社団法人日本呼吸器学会/一般社団法人日本呼吸療法医学会 ARDS診療ガイドライン作成委員会
    2022 年 39 巻 2 号 p. 81-121
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル フリー

     日本集中治療医学会/日本呼吸器学会/日本呼吸療法医学会ARDS診療ガイドライン作成委員会は、今回、合同で『ARDS診療ガイドライン2021』を作成した。2016年版の診療ガイドラインでは、成人のみを対象とした臨床課題(clinical question:CQ)を取り上げたが、今回は成人の46のCQに加えて小児を対象とした15のCQも作成した。前回と同様、GRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)システムを用いた推奨度決定の手法を用いた。また、新たな手法として診断精度のメタ解析およびネットワークメタ解析を用いたシステマティックレビュー(systematic review:SR)も行った。これらにより、より充実した信頼性の高い実用的な診療ガイドラインを作成することができた。

エディトリアルEditorial ―本号のトピックス―
特集「ARDSに対するステロイド」
総説
  • 中山 龍一, 渡辺 梨花, 岩元 悠輔, 小倉 圭史, 後藤 祐也, 文屋 尚史
    2022 年 39 巻 2 号 p. 153-159
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル フリー

     急性呼吸促拍症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)は、肺傷害によって、背側に虚脱肺が分布し、腹側に含気領域が縮小した“Baby Lung”と呼ばれる状態を呈している。肺胞リクルートメントによって、通気されている肺領域を増やすことで人工呼吸器関連肺傷害(ventilator induced lung injury:VILI)のリスク低下が期待されているが、リクルートメント+高い呼気終末陽圧(PEEP)によるOpen Lug戦略は、予後の改善を示していない。ARDS患者の肺胞リクルートメントに対する反応性、すなわち肺リクルータビリティは患者によって異なることが知られており、リクルータビリティが低い患者に対する高いPEEPは有害である可能性が指摘されている。肺リクルータビリティは、通気が回復した肺重量/全肺重量のCT解析で定義されたが、ARDSの人工呼吸患者のCT評価はリスクがあり、日常臨床の適用は難しい。ベッドサイドで使用可能な評価方法として、Pressure-Volume curve(PV curve)、recruitment-to-inflation ratio(R/I比)について概要を紹介し、ARDS患者への個別化換気戦略につながりうる肺リクルータビリティの基礎知識を解説する。

解説
講座
原著
  • 恒光 健史, 鈴木 崇生, 松本 優
    2022 年 39 巻 2 号 p. 177-183
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    ジャーナル フリー

     新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者における人工呼吸器関連肺炎(ventilator associated pneumonia:VAP)の発生率およびVAPに伴う菌血症の発生割合を検討するため、48時間以上人工呼吸管理が実施された患者を対象に、単施設後方視的コホート研究を行った。VAPに伴う菌血症は、痰培養から分離された菌と血液培養から分離された菌が同一であるものとした。COVID-19患者114名、非COVID-19患者198名を組み入れ、VAPと診断された患者はそれぞれ41名(36.0%)、15名(7.6%)であった。VAPの累積発生率は、有意にCOVID-19患者で高かった(ハザード比3.30[95%信頼区間1.18~9.25])。VAPに伴う菌血症の発生はCOVID-19患者で41名中15名(36.6%)、非COVID-19患者で11名中1名(9.1%)であった(p=0.14)。COVID-19患者はVAPの発生率は高く、またVAPに伴う菌血症の発生に有意差を認めなかった。

  • 池田 優太, 佐藤 隆平, 櫻本 秀明, 中山 麻実, 片山 雪子, 白坂 雅子, 卯野木 健
    2022 年 39 巻 2 号 p. 184-191
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    ジャーナル フリー

    目的:わが国のICUにおける人工呼吸器装着患者に対するABCDEFバンドルの実施割合を明らかにするために本研究を実施した。

    方法:クリティカルケア認定看護師および集中ケア認定看護師とその教育課程に在学中の看護師に対し、2021年6月から7月まで横断的調査を行った。

    結果:解析対象は148件となり、すべてのバンドルのコンポーネントを実施していた割合は0.7%であった。各コンポーネントの実施割合は以下のとおりであった:A;77.0%、B;54.1%、C;66.9%、D;76.4%、E;73.0%、F;4.1%。

    結論:本研究期間内ですべてのバンドルを実施していた割合は、Fの低い実施割合の影響を受け著しく低かった。

呼吸管理の工夫
  • 濱坂 秀一
    2022 年 39 巻 2 号 p. 192-197
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/11/30
    ジャーナル フリー

     在宅酸素療法(home oxygen therapy:HOT)や在宅人工呼吸療法(home mechanical ventilation:HMV)を扱う医療機器メーカー(業者)による災害対応の実態を調査し、対応について比較検討した。石川県でHOTやHMVを扱う業者で、研究参加の同意を得た6社を対象とした。平時と災害時の対応について無記名自記式質問調査用紙を用いて調査した。6社がHOT、5社がHMVを扱っていた。平時と災害時の対応地域で違いはなかったが、社員数が異なった。すべての業者が利用者に連絡と対応を行い、医療機関と行政機関への報告体制があった。災害対応システムを4社が活用し、電源供給状況の確認などの機能を有していた。業者は利用者と医療機関、行政機関に対し災害対応を行っており、連絡と報告の時期や頻度、災害対応システム導入の有無などが異なっていた。

短報
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