2023 年 40 巻 1 号 p. 43-50
急性呼吸促迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)は「何らかの傷害による肺の病的反応」と疾患概念が定義されているものの、臨床的にはある一定の診断基準を満たしたら診断される症候群であるという、診断的および病態生理的な異質性の可能性が根底にある。ARDS全体の予後改善を目指した多くの介入が失敗に終わってきた歴史がある中で、近年ではそれぞれの治療介入に対し効果のあるグループを探すという精密医療(precision medicine)の検討が多く行われてきている。とくにさまざまな臨床データから機械学習を用いてクラスター分類を行い、治療効果の異質性を探る試みが行われており、今後はRCTの組み込みの段階で治療反応性が期待されるサブフェノタイプを選択し、非選択なARDS全体にある治療を検討するよりも、より多くの利益を得られることを示すことを目的とした新たなプラットフォーム試験が計画されてきている。