悪性黒色腫の胸膜・肺転移に対するB-Raf癌原遺伝子セリン/スレオニンキナーゼ(B-Raf proto-oncogene, serine/threonine kinase:BRAF)阻害薬/マイトジェン活性化細胞外シグナル関連キナーゼ(Mitogen-activated extracellular signal-regulated kinase:MEK)阻害薬治療で、腫瘍崩壊に伴う気道閉塞をきたしたが、気道管理を駆使しながら治療を継続し寛解を得た症例を経験した。
症例は57歳女性。悪性黒色腫の胸膜・肺転移に対してBRAF/MEK阻害薬を開始後、呼吸困難出現し、気管挿管下でICU入室となった。気管吸引ではピンクの泡沫状痰を認めたが、呼吸状態が速やかに安定し、入室翌日に抜管となった。入室3日目にICU退室したが、退室翌日に再び酸素化が低下し、ICU入室となった。気管支鏡で左気管支からは黒色泥状物の混じった漿液性分泌物が認められ、腫瘍崩壊物による気道閉塞をきたしたと考えられた。翌日に経皮的気管切開を施行し、左気管支に気管支ブロッカーを挿入しブロッカーを通じた間欠的吸引を行った。分泌物は徐々に減少し、翌日にはブロッカーは抜去できた。再入室8日目にICU退室となり、退室から2日後に人工呼吸器離脱、15日後に気管切開孔閉鎖し、32日後に自宅退院となった。
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