人工呼吸
Online ISSN : 2436-3103
Print ISSN : 0910-9927
原著
新型コロナウイルス感染症の重症化予測AIモデル
衣笠 泰葉西野 泰子Mara Anais Llamas-Covarrubias尾崎 勝彦藤村 義明大橋 壯樹福田 貢東上 震一藤野 裕士小谷 透志馬 伸朗北野 宏明谷内江 綾子今井 由美子
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2023 年 40 巻 1 号 p. 59-68

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抄録

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が重症化すると人工呼吸や体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation:ECMO)が必要になる。本研究では、まず起源株流行時にICUに入室したCOVID-19患者1,794例の複数時点(計9,072時点)の診療情報をもとに、ICU入院から24時間以内の診療情報から退院時の生死を予測するAI(artificial intelligence)モデル、ならびにICU入院中のある時点から数日後に人工呼吸、ECMOが必要になるほどに悪化、または人工呼吸、ECMOから離脱できるほどに回復することを予測するAIモデルを作成した。次いで、これらのモデルの予測の再現性を変異株(デルタ株など)流行時のデータ(103例、計980時点)で確認した。これらのモデルは、重症化の予防や治療に有用であるとともに、人工呼吸器やECMOの必要台数が予測できるので、重症感染症病床の確保などの重症者向け医療提供体制を整備するうえでも有用な情報の1つとなりうると思われる。

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© 2023 一般社団法人 日本呼吸療法医学会
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