2023 年 40 巻 2 号 p. 157-162
2021年1月からの半年間にICUに入室した挿管患者93例のうちICU死亡もしくは抜管を行わず気管切開術を行った22例を除外したICU抜管患者71例を対象とし、再挿管の有無による抜管2時間後のP/F比とROX indexの比較および高流量鼻カニュラ(high flow nasal cannula:HFNC)導入・再挿管のCut-off Pointを後方視的に検討した。抜管後にHFNCを導入した患者は14例(19.7%)、再挿管患者は8例(11.3%)であった。初回挿管期間(ICU入室から抜管までの期間)は3.6(1.9~6.3)日、延べ挿管期間(再挿管後も含む挿管の期間)は3.9(1.9~8.9)日、ICU在室日数は5.0(3.0~10.0)日、抜管2時間後のP/F比は307.5(230.0~360.0)、ROX indexは15.3(12.3~17.8)であった。再挿管の有無による抜管2時間後のP/F比は(176.6 vs. 315.0、p<0.05)で、ROX indexは(10.4 vs. 15.4、p<0.01)とROX indexで1%水準の有意差を認めた。再挿管の有無におけるICU在室日数は(24.0日 vs. 5.0日、p<0.05)と再挿管で有意に延長した。ROX indexの再挿管におけるCut-off Pointは10.2、HFNCのCut-off Pointは13.5であった。つまり、ICUに入室した挿管患者の再挿管はICU在室日数延長につながり、抜管2時間後のROX indexはHFNC導入・再挿管の一指標となる可能性がある。