日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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ワークショップⅢ
呼吸器疾患と呼吸筋
横場 正典阿部 直
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2005 年 14 巻 3 号 p. 406-409

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抄録

呼吸筋は吸息筋と呼息筋に分けられ,代表的な吸息筋には横隔膜や傍胸骨肋間筋,外肋間筋があげられ,そのほかにも頸部補助吸息筋群が含まれる.呼息筋には腹筋群,特に腹横筋や内腹斜筋,また内肋間筋があげられる.呼吸筋は横紋筋であり,筋力はアクチンとミオシンの距離,すなわち筋長によって変化する(長さ-張力関係).骨格筋では静止時の自然長の付近で最大張力が発生するが,これは呼吸筋では安静呼気位(FRC位)付近に該当する.慢性肺気腫患者では肺気量が増加して横隔膜が平低化しており,横隔膜の筋長は短縮して筋収縮力は小さくなる.また,ドーム状の形態をしている横隔膜にはLaplaceの法則が適応されるので,慢性肺気腫では横隔膜によって発生Pdiが小さくなる.以上の2つの理由により,肺気腫などのCOPD患者では重症になると横隔膜が発生する力が低下し,呼吸筋疲労を呈しやすくなる.

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© 2005 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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