日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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早期公開論文
早期公開論文の8件中1~8を表示しています
  • 松木 美貴, 植木 純, 野村 菜摘, 黒澤 一, 須田 茂明
    原稿種別: 原著
    論文ID: 23-07
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/12
    ジャーナル フリー 早期公開

    スパイロメトリーは呼吸機能のスクリーニング,呼吸器・呼吸器関連疾患の診断,治療,管理において必須の検査である.一方で,被験者の最大努力を得るための様々なスキルや検査中の妥当性,再現性の評価が検査者に求められ,環境面では掛け声が大きな騒音となる.施設規模や対面検査者のスキルに依存せずにサイレントに実施可能なフローセンサを接続したノートPCを遠隔から操作するモバイル検査システムを開発し実行可能性を検討した.検査者(n=5)のSystem Usability Scaleは平均65.0,User Interface 4.2±0.6(SD),検査者,被験者と同席するファシリテータの検査環境調査は全体で4.6±0.4とそれぞれ良好で,騒音レベルも日常会話レベルに止まった.測定結果(肺活量・努力性肺活量)の妥当性,再現性も良好であった.検査中のタイムラグの指摘もなく,遠隔医療や防音設備のない施設,COVID-19病棟等,様々な臨床の場で活用できる可能性が示唆された.

  • 高岸 弘美, 乙黒 恵子
    論文ID: 22-23
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/01/23
    ジャーナル フリー 早期公開

    【目的・方法】在宅酸素療法患者への災害時支援体制を構築するために、全国の保健所に調査を実施した。

    【結果】469か所に配布し、158枚の回答を得た。小児慢性特定疾患と特定難病のみ把握しているという回答が42%であった。支援計画があると答えたのは26%で、人工呼吸器を使用している者のみが多かった。HOTセンターを設置する計画がないと答えたのは89%であった。HOT患者が避難したことがあると答えたのは10%であった。行政独自の取り組みがあるのは24%で、名簿の作成や停電時の安否確認、関係機関との連携の確認などであった。関係機関と連携した取り組みは5%があると答えた。酸素業者との取り組みの有無は、12%があると答え、災害時の協定や酸素供給体制の構築をしていた。

    【考察】今後の課題は、HOT患者全体の把握ができていないこと、安否確認方法、避難所までの移動手段がないこと、災害時の電源の確保、関係機関との事前の連携体制の構築などが明らかになった。

  • 木戸 孝史, 奥野 将太, 白土 健吾, 川満 謙太, 大神 汰一, 小須田 シオン, 樋口 卓哉, 三宅 彩音, 安田 学, 山下 智弘
    論文ID: 22-30
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/12/27
    ジャーナル フリー 早期公開

    【目的】肺癌手術患者における入院期間中の運動耐容能改善が,術後1ヶ月の運動耐容能に影響を与えるか検証した.

    【方法】対象は,非小細胞肺癌に対して肺葉切除術を施行した105例.入院期間中の6分間歩行距離(以下,6MWD)の変化量(退院前6MWD-術前6MWD:以下,入院中Δ6MWD)が,術後1ヶ月での術前6MWDへの回復の有無に影響を与えるか,多重ロジスティック回帰分析を実施した.また,術後1ヶ月での術前6MWDへの回復の可否に関する入院中Δ6MWDのROC曲線を描写した.

    【結果】入院中Δ6MWDは,術後1ヶ月での術前6MWDへの回復の有無に影響を与える独立因子であり,カットオフ値は-17mであった.

    【結語】肺癌手術患者における入院期間中の運動耐容能改善は,術後1ヶ月での術前運動耐容能への回復に影響を与えることが示唆された.また,退院前6MWDが術前6MWDから-17m以内に改善することで,術後1ヶ月に術前6MWDへの回復を予測する可能性がある.

  • 矢野 志帆理, 新貝 和也, 池内 智之, 松尾 聡, 森 駿一朗, 森 大地, 六反田 雄一, 井元 淳, 河野 哲也, 津田 徹
    論文ID: 22-33
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/12/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    【背景と目的】慢性呼吸器疾患患者における介護保険下での通所呼吸リハビリテーションが費用面に及ぼす影響を検討すること.

    【対象と方法】慢性呼吸器疾患患者13例を対象とし,通所呼吸リハビリテーションを利用した1年間(PR実施期間)と,通所リハビリテーションの利用がなかった1年間(PR非実施期間)の費用面を比較,検討した.

    【結果】PR実施期間では非実施期間と比較して,医療保険料,総保険料が低い傾向を示した(p=0.099,0.075).また,入院率も同様にPR実施期間でより低い傾向を示した(p=0.063).加えて,PR実施期間中には入院がなく,PR非実施期間中に入院をした症例が5例(38%)あり,このサブグループではPR非実施期間と比較してPR実施期間の医療保険料および総保険料が有意に低かった(共にp = 0.043).

    【結語】介護保険下での通所呼吸リハビリテーションにより,入院を予防し,医療費削減に寄与できる可能性が示唆された.

  • 三木 啓資, 辻野 和之, 福井 基成, 北島 尚昌, 宮本 哲志, 三橋 靖大, 長田 由佳, 新居 卓郎, 松木 隆典, 橋本 尚子, ...
    論文ID: 22-35
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/11/21
    ジャーナル フリー 早期公開

    背景:これ迄、COPDは末梢気道閉塞によるとされ、須らく吸入薬中心に治療がなされるも十分な運動耐容能獲得には至っていない。我々は、COPDに対する呼気圧負荷トレーニング(EPT)効果を多施設無作為化コントロール比較試験で検証し、全病期のCOPDで、EPT後の運動耐容能改善を報告した。

    方法:今回、そのサブ解析として、EPTによる運動耐容能向上が声門閉塞変化および換気能変化に依存するかどうか喉頭鏡下漸増負荷検査による声門開大比(最大開大面積に対する比)と換気指標を用い検討した。

    結果:ステップワイズにより最高酸素摂取量向上により関連する指標を検討すると、平均呼気1回換気流量の変化量(p<0.0001)および 声門最大閉塞時の声門開大比変化量(p<0.0001)が選択された。

    結論: EPTによる上気道の声門開大化と換気量向上が下気道疾患であるCOPDの運動耐容能改善に繋がった可能性が示唆された。

  • 松尾 聡, 池内 智之, 新貝 和也, 矢野 志帆理, 森 大地, 森 駿一朗, 井元 淳, 河野 哲也, 津田 徹
    論文ID: 22-08
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/10/17
    ジャーナル フリー 早期公開

    【目的と方法】COPD増悪入院後,呼吸リハビリテーションを実施した84例を対象とし,後方視的に退院後1年以内の増悪による再入院に関連する因子について患者特性,肺機能,在宅酸素療法の導入有無,前年のCOPD増悪,退院後の呼吸リハ継続有無を調査し,1年以内の再増悪との関連を検討した.有意であった因子についてはカットオフ値を算出した.

    【結果】年齢,性別,%FEV1を調整変数としたCox比例ハザード分析の結果,再増悪は外来・訪問呼吸リハ継続有り(HR, 0.409; 95%CI, 0.191-0.876),CAT得点(HR, 1.071; 95%CI, 1.026-1.118)に有意な関連を認めた.1年以内の再入院を予測するCATのカットオフ値は22.5点(感度 = 0.44, 特異度 = 0.90, AUC = 0.72)であった.

    【結語】CATのカットオフ値を用いることで,1年以内の再増悪リスクが高い患者を抽出することが可能となる.また,退院後も呼吸リハを継続することで,再増悪リスクの低下に期待ができることが示唆された.

  • 上原 直子, 駒瀬 裕子, 國島 広之, 奥田 知明
    原稿種別: 研究報告
    論文ID: 21-46
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/09/26
    ジャーナル フリー 早期公開

    【背景と目的】吸入指導や肺機能検査におけるCOVID-19の感染リスクを推定するために微粒子可視化装置を用いて飛沫を測定した。

    【対象と方法】呼吸器の基礎疾患がない非喫煙者の男性・女性1名。ピークフロー値の測定、エアロチャンバーを用いたMDIの吸入、ドライパウダー製剤の吸入、呼吸機能の測定での飛沫数を測定し、マスクなしの会話と比較した。

    【結果】1)飛沫の数には個人差があった。2)ピークフロー値の測定では口元での飛沫はほとんどなく口元から30cmで見られた。3)MDI+エアロチャンバーでは口元での飛沫はやや多かったが口元から30cmではほとんど見られなかった。4)エリプタトレーナーでは飛沫は少なかった。5)肺機能の測定では飛沫は少なかった。

    【考察】いずれもマスク無しの会話に比べて飛沫は少なく、適切な感染対策を行えば吸入指導及び肺機能検査は可能と考えられる。

  • 大嶋 佑紀, 松嶋 真哉, 相川 駿, 小林 孝至, 駒瀬 裕子, 粒来 崇博, 吉田 美紀, 清水 朋子
    論文ID: 22-18
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/08/08
    ジャーナル フリー 早期公開

    【緒言】COPD患者への栄養食事指導(以下、栄養指導)は、個別化した食事療法の提案が可能で外来患者に適応しやすい反面、効果を検証した報告は少なく、特に病期が軽度な患者への介入効果は明らかでない。今回病期Ⅰ~Ⅱ期の安定期外来COPD患者へ栄養指導を実施し、効果を検討した。

    【方法】対象は当院の外来COPD病診連携クリニカルパスを利用し、栄養指導を実施した患者98例。摂取栄養量、体重、体組成を評価し、初回栄養指導時(以下、介入時)と介入時から1年後の栄養指導時(以下、介入後)で比較した。

    【結果】1日の摂取エネルギー量は介入時1,667 ±322kcal/day、介入後1,795±394kcal/dayと有意に増加。体重は介入時59.0±11.2kg、介入後58.7±11.2kgと有意な変化を認めなかった。除脂肪体重指標は介入時16.3±2.2kg/㎡、介入後17.1±2.6kg/㎡と有意に増加した。

    【考察】病期Ⅰ~Ⅱ期の安定期外来患者への栄養指導は、摂取エネルギー量の増加、体重の維持及び除脂肪体重指標の増加に寄与することが示唆された。

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