日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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教育講演VIII
高齢者喘息の診療
横山 彰仁
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2012 年 22 巻 3 号 p. 280-283

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抄録

近年の吸入ステロイド薬の普及に伴い,気管支喘息は慢性疾患のなかで最も死亡率が減少した疾患となっている.一方では,喘息による死亡の9割近くが65歳以上の高齢者であり,本邦の高齢化率は年々増加している点から,高齢者喘息への対処が重要となっている.高齢者は加齢変化や多彩な併存症,個人差が大きい点で若年者とは異なる対応が必要となる.個人の身体機能,併存症,内服薬,認知機能,精神心理,社会機能,栄養といった生活機能を総合的に評価することも必要であり,多職種による対応が重要となる場合も少なくない.治療方針の第一は治療の個別化であり,ガイドラインどおりの診療が必ずしも可能でないことも多い.吸入に固執せず,また副作用を極力避けつつ,内服薬や貼付薬による治療がより良いコントロールにつながる場合も少なからずある.本稿では高齢者の特徴に基づいた喘息診療のポイントについて述べた.

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© 2012 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
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