研究 技術 計画
Online ISSN : 2432-7123
Print ISSN : 0914-7020
事例に見る新しい企業コンセプト : 技術開発の方向を探る
池島 政広
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 10 巻 3_4 号 p. 248-251

詳細
抄録
今日、日本企業は、欧米先進国の企業へのキャッチアップの体制を脱却して、独自の企業コンセプトを持ってマネジメントしていかねばならないと論じられている。現実にはこのような大転換は相当困難であると思われるが、今までのような現場の改善の努力だけでは発展途上国の猛烈な追い上げ等により険しい状況にさらされてくる。そこで、今回のシンポジウムでは、トップ主体による個性的な企業コンセプトを構築し、独自な技術開発を展開している企業を取り上げて議論していく。 まず、基調講演において、膨大な実証研究を踏まえて、優良な企業の条件を個性化・活性化の視点から論じていただいた。これは、他社が容易に追随できないような中核能力をどう築き、どのように活用していくかということであると思われる。企業コンセプトを構築していく際の重要な要素になってくる。もちろん、社会の中での役割、消費生活との関連等を踏まえて、研究者自身が創造的な仕事にチャレンジできるような企業でなければならない。 現在のような低成長期でも活力ある5社の事例をもとに、従来とはひと味違ったこれからの新しい企業コンセプトを、(1)商品・サービスの斬新さ(特殊な技術・市場の開発、システム商品)、(2)企業の形態(グループ経営、規模の問題、機能の特化)、(3)組織構造(技術と市場との相互作用を促進する仕組み等)、(4)研究者の活性化(人事評価、研究環境等)等の切り口から論議して、今後の技術開発の方向を探ってみたい。
著者関連情報
1997 研究イノベーション学会
前の記事
feedback
Top