今日,我が国では大学の研究成果の実用化に向けた各種の施策が進められようとしているが,産学連携が本格的に進展している状況にはなく,十分にその役割を果たしていない。ドイツでは,米国のような組織的な支援体制は不十分であるが,外部からの研究資金を受け入れやすい環境を整備し,教官の自発的な産業界との連携活動を制度として認めることにより,産業界との研究協力や大学発のベンチャー企業設立が行われている。本稿では,ドイツの産学連携システム等の調査研究により,今後の日本の大学における産学連携施策のあり方について考察を行った。