超音波検査技術
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乳房自動スキャン超音波検査の有用性~手動スキャン超音波検査との比較~
原 真弓三塚 幸夫緒方 秀昭丸山 憲一八鍬 恒芳工藤 岳秀原田 昌彦
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論文ID: 294

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抄録

目的:乳房病変の検出能とその判定に関する乳房自動スキャン超音波検査(automated breast ultrasonography: ABUS)の有用性を従来の手動スキャン超音波検査(handheld ultrasonography: HUS)と比較・検討した.

対象・方法:2016年8月~2017年4月にABUSとHUSの両方を行った64症例128乳房で,病変が同一乳房に複数存在していることもあったため156例のカテゴリー判定を対象とした.ABUSおよびHUSは検者2人がそれぞれ独立して検査・判読し,乳房超音波診断ガイドライン第3版(日本乳腺甲状腺超音波医学会編)による検診の診断基準に準じてカテゴリー分類した.これをもとに①カテゴリー判定一致率,②要精査判定一致率の検討,さらにABUS・HUSのいずれかで要精査とし,かつ良悪性診断の得られた38病変を対象に,病変の良悪性診断とABUS, HUSの判定結果の比較を行った.

結果:①カテゴリー判定一致率は76.9%,Κ係数は0.67であった.HUSカテゴリー判定ごとに一致率をみると,カテゴリー1または5で一致率が高いが,カテゴリー3または2で一致率が低くなる傾向がみられた.②要精査判定一致率は89.7%,Κ係数:0.74であった.③ABUS・HUSのいずれかで要精査とし,かつ良悪性診断の得られた38病変を対象に,カテゴリー3以上を要精査判定とすると,陰性反応的中度はABUS, HUSとも100%,陽性反応的中度はABUSで50.0%,HUSで54.8%であった.カテゴリー4以上を悪性判定とすると,感度はABUS, HUSとも94.1%,特異度はABUSで95.2%,HUSで90.5%であった.

結論:ABUSとHUSではカテゴリー判定においてバラつきが生じ,その病変判読能や判定基準に関しては更なる検討を要するが,今回の検討においてABUSはHUSとほぼ同等な病変検出能や良悪性判定精度が得られた.

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© 2020 一般社団法人日本超音波検査学会
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