超音波検査技術
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超音波検査が診断・経過観察に有用であった複雑な形態を呈する頸部仮性動脈瘤の1例
手嶋 翔一朗西浦 哲哉梅橋 功征石松 卓於久 幸治安藤 諭吉
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ジャーナル 認証あり 早期公開

論文ID: 444

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抄録

仮性動脈瘤は,動脈壁の破綻によって動脈内腔と周囲組織が交通し,血液漏出による腫瘤を形成する病変である.医原性の発生も多く,迅速な診断と適切な治療が求められる.今回,カテーテルアブレーション後に頸部仮性動脈瘤を呈した60代男性の1例を報告する.本症例では,右甲状頸動脈を責任血管とする40 mm大の第1仮性動脈瘤と,瘻孔で交通する20 mm大の第2仮性動脈瘤が認められた.頸部疼痛は自制内で,気道圧迫のリスクが低かったため,直接経口抗凝固薬(Direct Oral Anticoagulant: DOAC)を休止して保存的治療を実施した.経過観察は超音波検査を中心に行い,5日目には血腫化,20日目には供給血流の消失,9か月後には瘤の著明な縮小を確認した.

本症例は右甲状頸動脈由来というまれな病態を呈し,超音波検査が形態,血流,内部血腫化の評価に有用であった.また,DOACの短い半減期により血腫化が促進され,保存的治療が奏功したと考えられる.頸部仮性動脈瘤の非侵襲的治療および経過観察において,超音波検査が有用であったため報告する.

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