本研究は色彩の調和理論に基づいた連続的な景観の調査や分析・検証を通じて、配色の調和性を構成する要素や景観色彩構造の秩序を探る実証的なものである。そのため、街並みの景観色彩をうまく維持、管理しているドイツを中心としたヨーロッパの伝統的な街並み15箇所の区域を対象として選び、現地調査を行い、その結果に対してマンセルの標準カラーチャートを用いた基調色の把握とその調和度を算出した。主な分析は、「色相?明度」「色相?彩度」分布の特徴を把握することで行った。次に、連続的な色彩配列について、景観基調色の関係性を分析することにより景観色彩構成特徴を明らかにした。本研究の結果より、集中度が高い高明度の色相YRを中心とした景観色彩の基調色や対象景観の配色パターンの特徴が把握できた。特に連続的な色彩配列から、その関係性を考察することによって調査対象景観のそれぞれの配色特徴や構成が把握された。