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チームワークにおける創発的行動を誘発しうる手描きポンチ絵の資性と構造
桑原 隆彰, 浅井 由剛, 早川 克美
セッションID: A1-01
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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本研究は、チームワークで行うデザイン思考のプロセスにおける、手描きポンチ絵のコミュニケーション面の役割と可能性に焦点をあてている。まず、ポンチ絵の語源と事例から、読み手へ意図的に余白や含みを持たせてメッセージを伝えられるツールであることを示した。さらに大学院チーム研究での観察から、手描きであるポンチ絵のラフさゆえ、何かしらの余白が存在し、提示された側に好奇心を芽生えさせる資性を持ち合わせていることを見出した。また、小川(2005)の面白さと情報負荷の関係図をもとに、INTERESTとCURIOUSの関係性と、さらに好奇心におけるピアジェの理論「不整合」とローウェンスタインの「情報の空白」との高い相関も明らかにした。最終的には、その相関関係と手描きポンチ絵の資性、「足りない」情報のズレから、創発的行動を内包しうる手描きポンチ絵の構造を導き出し、デザイン思考プロセスにおいて初動から、手描きポンチ絵でコミュニケーションを行うことは、「足りない」情報のズレにより創発的行動を誘発させ、チームの意識共有に有効であることを示した。
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中国の大学生を対象とした首都圏観光ツアーの企画を事例として
佐々 牧雄, 中本 和宏, 板垣 順平, 玄永 明日真, 島崎 猛
セッションID: A1-02
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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日本ではデザイン思考が広く認知されているにもかかわらず、インバウンド観光計画における実用化はまだ限られている。本研究では、デザイン思考を用いて、中国の大学生を対象としたパーソナライズされた首都圏観光ツアーの開発を試みた。しかし、ワークショップのファシリテーションが不十分であったこと、テーマと方法論が不一致であったこと、参加者が課題取り組みに対して困難であったことなどの課題があり、結果は満足のいくものではなかった。本研究では、デザイン思考を実践する際に遭遇した障害を明らかにし、留学生グループのためのオーダーメイドツアープログラム作成におけるデザイン思考の適用を改善するための提言を行うものである。
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馬 振宇
セッションID: A1-03
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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本研究では、デザインプロセスにおけるスケッチの使用法と役割を説明するために、多様なパラメータを持つスケッチ分類法とUncertainty Driven Action (UDA) モデルを統合した包括的なスケッチ活動モデルを提案する。包括的なフレームワークが欠如していることに対処することで、このモデルは、学生の中核的デザインスキルの習得を阻害する現象であるスケッチ抑制の知的問題を軽減することを目的とする。模擬的なシナリオ分析を通じた理論モデルの開発、構成、および検証について議論し、デザイン教育と実践におけるスケッチの役割の理解を深め、AIに依存したデザインプロセスの時代におけるデザイン思考能力とビジュアルコミュニケーションスキルの発展を支援する可能性を強調する。
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楊 碩, 陳 貴榮, 張 芬溶, 黃 友聖
セッションID: A1-04
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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目的:設計美学研究は設計学における重要な研究内容であり、中国の設計美学研究領域の研究現状と発展の脈絡を明確にするため、著者らは設計美学研究領域の文献に対して収集、分類と総括を行います。 . 分析してみます。方法:中国知識ネットワーク(CNKI)のテーマを通じて"デザイン美学"を検索して、有効な文章1550編をダウンロードして、CiteSpace 6.1を通過しました。 R6バージョンは可視化バージョンで知識マップ出力が可能で、キーワード共起、キーワードクラスタリング、機械的共起、著者共起、タイムライン図、キーワード顕在度などを可視化分析することができます。結果:中国のデザイン美学研究分野の文献数は増加し、上昇傾向を呈しました。作者と機構の分布は主に吉林大学、蘇州大学、武漢科学技術大学などの18個の研究機構に集中しています。12個の研究クラスターがあり、研究方向はデザイン美学思想、美学科、造形デザイン、グラフィックデザイン、ファッションデザイン、展示デザインなどです。
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諸橋 利奈, 内田 隼人, 加藤 健郎, 平尾 章成
セッションID: A1-05
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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近年,オフィスワーカにおける腰痛(Low back pain: LBP)が問題視されている.LBP予防のための姿勢改善システムに関する既往研究では,ユーザの姿勢をモニタリングし,画面通知や音および触覚刺激による提示を行うことで姿勢改善を促す方法が用いられてきた.しかし,これらは強い介入効果による作業負担の増加が課題とされており,代替手法として介入効果の弱い視覚提示の提案が行われている.介入効果の弱い視覚提示は,ユーザが主体的に提示を受け取ることで,心理的・認知的負担の低減につながると考えられる.さらに,二次元画面上に提示されたロボットよりも三次元のロボットの方がユーザの行動意欲を掻き立てる効果があるという研究事例もあり,姿勢改善を促すシステムにおいても同様の効果が期待できる.しかし,このことは定量的に評価されておらず,検証の余地が残されている.そこで本研究では,ユーザが主体的に提示を受け取ることができる姿勢改善システムを構築し,その心理的・認知的・身体的効果を評価した.その結果,パフォーマンスに影響を与えることなくより良い姿勢を促すことが確認され,提案システムの有効性が示された.
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探究サイクルモデルに基づく美的な動きの設計
本多 詩聞, 柳澤 秀吉, 加藤 健郎
セッションID: A2-01
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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製品のデザインにおいて、製品の動きは機能の実現と美的品質に寄与する。好奇心や興味をもたらす動きは、ユーザの探求心を刺激し、製品への愛着を深める契機となることが期待される。本研究では好奇心と興味を、探求を推進する感情として位置づける。典型的な動きからの最適な予測誤差が興味を生み出し、予測誤差の変動が好奇心をかき立てると演繹した。探求サイクルは、脳の統一原理である自由エネルギー原理に基づく感情の数理モデルである。探求サイクルに基づき、予測誤差の変動を好奇心、予測誤差の減少を興味の尺度として定式化した。さたに、予測誤差とその変動を独立に制御して動きを生成するシステムを開発した。生成した動きを用いて被験者実験を行ったところ、興味の評価が予測誤差に対して上に凸となることが確認された。また、予測誤差の変動が好奇心を高めることが確認された。実験結果とモデル予測との一致から、好奇心と興味を効果的に喚起する動きのデザインには、典型的な動きからの適度な逸脱と予測誤差の変動が関わっていることが示唆される。デザイナーやエンジニアは、これらの洞察を用いて美的に魅力的な動きを創出することが期待される。
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辻川 和花, 依田 智也, 小澤 裕太, 与那嶺 瑠夏, 宮崎 みおり, 加藤 拓巳
セッションID: A2-02
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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車の外観デザインに関する既存研究は豊富に蓄積されてきたものの,付属品である充電スタンドのデザインについては議論が不足している。そのため、「電気自動車(EV)の充電スタンドでは、ガソリンスタンド風のデザインよりもデジタル家電風のデザインのほうが商品の魅力を高める」という仮説を立て、オンライン調査をもとにランダム化比較試験を実施した結果、この仮説が裏付けられた。 その効果は40~60代よりもデジタル家電に慣れている20~30代の方が大きい。消費者は備品のデザインまで商品魅力に含めて評価しているため、商品そのものだけでなく付属品のデザイン性の向上にも努める必要がある。
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九冨 沙耶乃, 白髪 誠一, 赤井 愛
セッションID: A2-03
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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本研究は,VR空間に設置された放物面シェルの相貫体からなる空間造形物の開口高さが,その空間の体験者が感じる「入りたさ」にどのように影響を与えるのかを感性評価によって調べることを目的としている。実験協力者は大学生の男女22名である。VRゴーグルを装着し,5種類の空間形態モデルを配置したVR空間を体験した後,5種類の空間形態を対象に24の形容詞対を用いたSD法による感性評価を行う。また,各空間形態モデルについて100点満点で「入りたさ得点」をつけてもらい空間の印象についてのインタビューも行った。因子分析と重回帰分析を用いて評価データを分析した結果,4つの主要な因子が抽出され,特に評価性因子が「入りたさ得点」に最も影響を与えることが予測できる。
評価性因子と他の因子の相関を調べた結果,開口高さが低い空間造形物では,安心感や落ち着きによって「入りたさ得点」が高い傾向が見られた。開口高さが高い空間造形物では,明るさや開放感によって「入りたさ得点」が高い傾向が見られた。一方で,開口高さが高すぎる印象を与えると,落ち着きなさや非現実感によって「入りたさ得点」が低い傾向が見られた。
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佐藤 美遊, 荒畑 徹汰, 関谷 帆華, 永田 ひより, 古城 美紬, 加藤 拓巳
セッションID: A2-04
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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広告に登場するモデルは,消費者が感じる商品イメージに影響を与える.しかし,モデルの表情が与える影響についてはあまり議論されていない.そこで本研究では,広告に登場する日本人モデルの笑顔は過剰な親近感を与え,日本人消費者にとっての商品魅力を損なうのではないかという仮説に基づき,ランダム化比較試験を実施した.その結果,化粧品広告において笑顔は商品魅力に負の影響を与えるが,欧米人モデルの場合には笑顔が負の影響を与えないことが示された.
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増村 光春, 島内 涼雅, 上村 真利奈, 萩尾 勇太, 大亦 寿之, 奥田 誠, 橋田 規子
セッションID: A2-05
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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番組を見ながら感情表現動作をするロボットが一緒にテレビを見ている人に与える影響と、テレビ視聴ロボットの外観の印象について調査した結果を述べる。調査は実機版とアプリ版を対象とし、20~50代の男女計28人によるロボットとのテレビ視聴実験を実施した。
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澤田 一葉, 柳澤 秀吉, 加藤 健郎
セッションID: A2-06
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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追加的な規則性の認識は、形状の美的評価を向上させます。 本研究では、美しさと形状の秩序、複雑さ、意外性の3つの要素との関係をモデル化することで、追加の規則性によって与えられる形状の美的評価を定式化します。 このモデルでは、形状の美しさは秩序と正の関係、複雑さとは負の関係、そして意外性と逆U字型の関係があると仮説を立てています。 プリミティブ形状の組み合わせを使用した実験結果は、仮説を裏付けています。 提案されたモデルは、デザイナーが美しい形状を体系的に作成するのに役立ちます。
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モジュールの組み替えによる平常時の用途開発と検証
畔柳 加奈子, 金尾 伊織, 阪田 弘一, 多田羅 景太
セッションID: A3-01
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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自然災害発生時に避難所となる小学校や地域のコミュニティーセンターでは生活に必要な家具や什器が不足しがちだが、平常時からそれらを備蓄することは難しい。また、非常用品が備蓄されていてもその使用方法が当事者に共有されず、被災時に使用できなかったケースもある。一方、避難生活が長期化した際、共同生活を送る他者とコミュニケーションが取れないことや、その場に仕事や役割を持てないことから心身に不調をきたす被災者がいる。本研究では、平常時から避難所の備品に親しんだ被災者が主体的に避難所の設営に関わること、長期化した避難生活の中で被災者同士の協業が生まれることを目指して、災害時と平常時に使用可能な木造ユニットシステムをデザインした。細い木材を組み合わせた柱と梁は軽く、工具を使わずに組み立てることができ、災害時に避難所で役立つ家具や什器になる。それらのモジュールを組み替えると休憩場所や屋台となり、日常的に地域の行事で使うことができる。本研究ではニーズ分析に基き災害時に必要とされる什器を設計した上で、平常時における使用例としてマルシェの休憩所と茶道体験用の茶室を制作し、実際の地域イベントで効果の検証を行った。
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本家 侑弥, 佐中 瑠奈, 橋本 萌夏, 丸山 実花, 加藤 拓巳
セッションID: A3-02
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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サービスのデジタル化は,コスト削減と利便性向上という大きな効果をもたらす一方で,店員と顧客の間のコミュニケーションの機会の減少という新たな問題が発生している. そこで本研究は,飲食店でのモバイルオーダーにおける商品受け渡し時を想定し,ニックネームと絵文字による親近感の創出の効果についてランダム化比較実験を実施した.その結果, フルネームよりもニックネームを用いた方が魅力を高め,さらには笑顔の絵文字を加えると,魅力をさらに高めるということが明らかになった.
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郎德上寨村を事例として
沈 晏如, 上田 知正
セッションID: A3-03
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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郎徳上寨の文献資料を整理し、現地調査で村落と民居建築を写真やビデオで記録し、村民や管理者にインタビュー調査を行った。民居建築の建築本体、増築部分、細部問題の3つの部分の分析と整理を行った。郎徳上寨の民居建築の風貌の現代化の要因は次のようにまとめることができる。生計方式の多様化、建築工法と建築材料の工業化、保護主体と保護方法の変化、異なる民族文化の影響の4つである。
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井谷 直渡, 田中 一成
セッションID: A3-04
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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本研究では、音環境に対する人間の認知とそれに対する生理的指標についての関係を明らかにする。新型コロナウイルス感染拡大以降、リモートワークを導入する企業が増加している。一方で、在宅時間の増加にともない騒音の苦情件数の増加がみられるなど住環境における音環境整備への問題が指摘されており、近年サウンドスケープに対する関心は高まりつつある。現在の音環境整備は遮音壁の設置などハード面による対策が主流であり、ソフト面から講じる対策については、その普及が不十分であると考える。そのため、本研究では、人間の認知プロセスに着目することによって、ハード面以外を活用した音環境に対するアプローチを目的とし、音環境にもとづいた都市空間構造の把握を試みた。認知プロセスに着目するにあたり、私たちは聴覚情報をもとにした認知距離の抽出実験と脳波測定実験をおこなった。実験の結果、一部の音環境については認知距離と生理的指標との間に関係を見出すことができた。
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グッドデザイン賞とRed Dot Design Award を事例にして
武井 優空, 佐藤 弘喜
セッションID: A3-05
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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グッドデザイン賞とレッドドット・デザイン賞の評価視点の違いを調査するため、両方の賞を受賞した作品を対象にテキストマイニング分析を行った。それぞれの賞で頻繁に出現する単語やその共起関係を比較した結果、グッドデザイン賞は操作性や外観などの消費者中心の評価を重視する傾向があり、一方で、レッドドット・デザイン賞はより技術的な視点からの生産者中心の評価を重視する傾向があることが分かった。
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成田 瑠七, 森岡 大輔
セッションID: A4-01
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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手すりは設置が容易なため,様々な場面で用いられる.一方で手すりにかかる荷重を主体とした研究は極めて少ない.本研究では,上り動作をおこなう際に階段用手すりに作用する力学的負荷の分析をおこなった.計測装置には,把持した際の純粋な荷重を測定するため,ひずみゲージと3軸力覚センサを設置した.成人健常者10名(年齢:23.3±3.6,体重:68.2±17.3)に協力を依頼し,階段上り実験を実施した.実験の結果,上り動作では手すりに対して約170.0 Nの把持をおこなっていた.また,上る際に手すりを引き寄せる動作と押し出す動作をおこなっており,引張力は7.36 N,押出力は16.5 Nであった.
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ダークパターンが主観的なユーザ体験に影響するか?
羅 雷, 高野倉 雅人
セッションID: A4-03
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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ユーザエクスペリエンス(UX)は顧客の購入決定に大きな影響を与え、幅広い注目を集めている。ショッピングサイトを研究対象として、レトロスペクティブ(遡及的)手法で、UXの時間的な変化を考察した研究は少ない。本研究はUX カーブ法とウォークスルー法を使用して、4 つのショッピングWeb サイトのデザインを評価した。7人の学生がデザイン評価に参加して、2 つの視点 (満足度、魅力) からPCモニタを購入するときのUXが時間の経過とともにどのように変化するかを評価した。また、ダークパターンにより、UXが影響を受けるかどうかを調査した。
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価値が低いとされた物に人は同情するか
遠藤 柊奈, 桐谷 佳惠
セッションID: A4-04
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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弱者に同情し,応援・支持したくなる心理効果(アンダードッグ効果)は,生物でない対象に対しても,生物らしさが感じられれば生じることが明らかになっている。本論文は,生物らしさが与えられていない物がある基準において価値が低いとされた場合に,同情を引き起こすか,そして同情により良い印象が生じるか,実験により検討したものである。
実験は,抽象的な立体物について「検品をクリアした,使えるもの」(クリア群),「検品をクリアしなかった,使えないもの」(非クリア群),「まだ検品をしていないもの」(未検品群)の3種の教示の下で,実験参加者に形についての印象評価を行わせるものであった。その結果,クリア群よりも非クリア群の方が「かわいそう」と評価されやすいことが,統計的に明らかになった。その一方で,全ての参加者は「かわいそう」の評価基準として「検品をクリアしたかどうか」を挙げなかった。これらのことは,人はある基準において価値が低いとされた物に,無自覚のうちに同情することを示唆している。しかし,同情により「好きな」などの良い印象が生じることは確認されなかった。原因として,同情の程度が弱かったことなどが考えられる。
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質問紙作成に向けて項目の検討
桐谷 佳惠
セッションID: A4-05
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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LINEなどのインスタントメッセンジャー(以下IM)は,今日広く利用されているが,年代によって使い方が異なるともいう。本研究は,最終的には,性格特性とIMコミュニケーション行動の関係を明らかにすることを目指す。今回は,これらを測る尺度構成を目指した基礎調査である。調査1では,IMツール利用の実態について,独自に41項目を作成し,15歳,18歳,21歳計300名に対してweb質問紙調査を行った。その結果,項目に偏りや識別性の問題はなく,4因子構造(LINE使用,気遣い,絵文字・スタンプ,Instagram使用)であることがわかった。一般的なIM使用の項目は,独立した因子として抽出されなかった。調査2では,上述の3年代計267名に対し,性格についてweb質問紙調査を行った。項目は,先行研究で使用された共感性10,同調性15,認知的失敗25項目を使用した。その結果,項目の偏りや識別性に問題はなかったが,共感性の因子構造が先行研究と異なった。同調性と認知的失敗は先行研究と矛盾しない因子構造となり,今後の測定にも問題なく使えると考えた。今後は,回答者の生活状況を鑑みて異なる時期に調査を行い,質問項目の妥当性や信頼性をさらに高めることを目指す予定である。
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NIRS基づく集中度判定のロジック構築に必要なデータの収集と分析
戴 聞汐, 蘆澤 雄亮
セッションID: A5-01
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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情報社会の到来にともない、カメラから動作や感情などの情報を読み取る技術は高まりをみせている。この中にあって、特に教育現場を中心に集中度を測定するニーズが高まるであろうことが推測される。集中度測定においては、fMRIやEEGなどによる血流変化に起因する事象の測定や、拍動、瞬目などの測定などによって、これを同定する試みが行われているが、手法として確立されたものはまだ存在しない。本研究では、オンライン学習時の集中度測定を念頭に、fNIRSで計測した血流状態変化とカメラ測定による挙動変化の比較、および被験者の主観との比較から、集中時の挙動変化について法則性が見出だせる否かの試行を行った。結果として、法則性を見出すには難しいであろうと結論付けた。
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長岡造形大学の1年次必修科目「発想・着想概論」の実施とその学習効果の検討
板垣 順平, 佐々 牧雄, 中本 和宏
セッションID: A5-02
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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本研究では,長岡造形大学において令和5年度より新たに開講した講義式の前期必修科目「発想・着想概論」の授業を対象として,デザイン教育における「講義」の初年次教育のあり方について再考するとともに,その後の「実習」や「演習」等への接続に有効な要因について提示することを目的としている。
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石森 聖麻, 桐谷 佳惠
セッションID: A5-03
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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通常,文章を読む場合,眼球運動は停留とサッケードをくり返す.サッケードとは,視線を素早く移動させるときに生じる急速な眼球運動のことである.サッケードを削減する提示方法としてRSVPを用いた読書がある.本研究では,凝視点となる場所への誘導や,画面の提示の速さの観点から,日本語文章のRSVPの提示形態を検討することを目的とした.実験1では,ストーリー性のある文において,凝視点の場所への誘導が文章理解と読みの快適性に与える影響を検証した.実験2では,知識をベースとした文において,提示の速さが文章理解と読みの快適性に与える影響を検証した.実験1の結果から,ストーリー性のある文において,凝視点の誘導がないRSVPを用いた読書が,文章内容を理解しやすいことが示唆された.実験2の結果から,知識をベースとした文において,横書き形式の読書が読みの快適性が高いことが示唆された.
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世利 幸代
セッションID: A5-04
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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一般に、大学における嫌がらせ、暴力行為を「アカデミック・ハラスメント」と言う。これは指導的な立場にいる者がその優位な関係性を利用し、相手に研究や教育上の不利益をもたらす行為を指す。アカハラは、多くの大学に共通した問題であり、様々な対策が練られているが効果が表れているとはいえない状況である。また、芸術大学のアカハラには、一般の大学と同様の対策では対応できない側面がある。本稿では、近年の芸術大学におけるハラスメントの分析を行い、芸術大学特有と考えられる加害のあり方を考察した。その結果、芸術大学特有と考えられるものには①男性教員による加害②長時間の拘束③学外の加害者④卒業生に対する加害行為があることがわかった。いずれも学内の対策のみでは解決が難しい問題と考えられる。こうした状況の改善のために、近年、学生や被害者自身による独自のハラスメント防止運動が活発になっている。本稿ではそれらの運動の傾向をあげ、ハラスメント防止を目的としたソーシャル・デザインを考える糸口とした。
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メノテックデザインに関する研究
劉 彦, 佐藤 弘喜
セッションID: A5-05
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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本研究は、更年期女性と更年期前の女性を対象にインタビューを行い、日常生活やメノポーズケアに関する課題やメノテックのニーズを明らかにした。将来のメノテックのサービスデザインの方向性を検討し、主題分析を通じてポジティブとネガティブな要素を区別した。更年期女性のニーズは健康的な生活習慣や精神的支援があり、適切な対策としてホルモン療法や漢方薬の利用が必要である。また、仕事と家庭の調和、健康問題、情報アクセスの問題も浮かび上がった。今後は総合的なアプローチを取り、適切な情報提供やサポートが必要である。
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企画・開発系の職場に焦点をあてた検証を踏まえて
栗原 渉, 長谷川 敦士, 石川 卓磨
セッションID: A5-06
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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本論文では、失敗学習ができる職場づくりが重要であるとした上で、特に企画・開発系の職場において失敗学習の入り口である「情報収集・知識創出」が進んでいない点に焦点をあて、文献調査をもとに失敗学習における妖怪文化の活用可能性を考察し、妖怪文化を知恵として活用した「失敗の妖怪化ワークショップ」というプログラムを開発し、検証を行なった。結果、5つの価値およびWSの3つの狙いについて可能性を確認し、失敗学習において妖怪のテーマおよび妖怪化のプロセスが有効である可能性がある、という結論に至った。
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佐倉 寧音, 安井 重哉
セッションID: A6-01
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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クラゲ好きな筆者は、日ごろ一番リラックスしている自身の部屋で、クラゲと一緒にゆるく「ぼーっと」生活したいと考えているため、本研究ではクラゲ映像と映像を投影するための装置を制作する。制作に向けて、自身が一番「ぼーっと」できるクラゲの生態やクラゲとの適度な繋がりが感じられる距離感を明らかにする。映像にはインタラクティブな要素を追加し、筆者がクラゲとの間に適度な繋がりを感じる要素を比較検証することで、筆者がより飽きずに「ぼーっと」できる設計要件を決定する。本研究は、クラゲ好きな筆者のための装置を制作して筆者が無意識に行っている「ぼーっと」をより深く知るためのケーススタディである。クラゲ映像を投影する装置を通して、筆者が日常的に行っている日々の「ぼーっと」について考える。
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鹿児島県阿久根市における観光拠点のデザインリサーチを題材として
菅原 真唯, 田中 芽衣, 佐藤 綾音, 石川 秀和, 木村 梨沙, 上平 崇仁
セッションID: A6-02
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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本研究では,観光者(=大学生)と,地域在住者(=市民)の双方の視点を活かし,観光体験のアイデアを幅広く引き出すための装置として,ガチャガチャを応用して無作為な動詞の組み合わせを発生させるデザインゲーム開発について報告する。このゲームは,鹿児島県阿久根市における観光拠点づくりのデザインリサーチの一環として行ったワークショップのためにつくられた。これは架空の地域ニュースが掲載された新聞をつくるもので,SFプロトタイピングの要素を取り入れて地域資源を活用した観光体験の可能性を探るものである。ゲームは主に2つのねらいを持つ。偶発的に与えられるルールに則って遊ぶことで,ともに考える楽しさを生み出すことと,固定観念に縛られがちな観光体験をガチャガチャの無作為性によって撹拌し,思いがけない切り口から発想を引き出すことである。実践をもとに考察を行った結果,双方の視点を活かしたアイデアを幅広く引き出すための装置として十分に機能したと判断した。そして地域において協働のデザインに取り組む際に有用となる知見として,1)装置以外の「共通項」の準備,2)動詞による「連続性」への気付き,の2点にまとめた。
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「“現実”の自給自足展」という実践の考察を通じて
島影 圭佑
セッションID: A6-03
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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本論においては、ABR、マルチモーダル文化人類学、RtDなどの文脈のなかに本展を位置づけ、本展で用いた方法論などを考察し、その方法論の特性について明らかにする。また2024年1月14日に開催された前橋映像祭にて、本展の記録をもとにした映像作品を発表し、この映像作品自体を新たなアーカイブの方法論と捉え、アーカイブの方法論としての特性も明らかにする。
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ワークモデルを用いた小学校教員の業務実態の分析
長谷川 敦士, 若狭 風花, 郡 祐太郎, 佐野 実生, 中安 晶, 川西 俊之, 鈴木 七世, 山岸 慧, 高田 裕美, 朱 心茹
セッションID: A6-04
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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本研究では、ディスレクシアのある児童生徒の学習環境を理解するために、デザインリサーチ手法の一つであるワークモデル分析を適用し、小学校教員の文書化実践を可視化した。その結果、教師の文書化実践の多様性や教師独自の教育実践など、ディスレクシア支援に影響を与える環境要因に関する知見が得られた。また、ワークモデル分析が学習障害の理解に寄与することが示唆された。本手法は、障害の社会モデルに基づく支援策の開発に貢献することが期待される。
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―文系大学のグループワーク型講義を事例として―
繁田 智行, 植村 朋弘, 伊藤 泰信
セッションID: A7-01
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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本研究は、デザイン思考を用いた授業におけるグループワークから生じる創造性を、協働的創造性と位置付け、その活動の変化に着目し分析を行い、デザイン思考における創造性とは何かを明らかにすることを目的としている。また、分析に際し分析方法の検討を行なった。具体的には、会話内容の図式化を行い、行為のパターンを抽出するという方法である。分析の結果、学生たちはデザイン過程のなかで、問いと解決策の関係性を変化させながら、デザインを詳細化していることが明らかになった。
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ルーブリックを足がかりとした教育目標の作成
木塚 あゆみ, 上田 香
セッションID: A7-02
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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本研究では、eテキスタイルを題材にして、人間中心設計の視点から人間性中心設計の視点へ視点を広げる教育を提案する。6つの教育の事例をもとに、ルーブリックの評価項目を作成した。検証の結果をもとに、視野を広げるために8つの教育モジュールと、3つの実践現場との連携の枠組みを設計した。このeテキスタイル教育を実施することで、学習者は自分のデザインの活動や成果物の意味を、以前より広い視野で理解できるようになると考えられる。今後はこの教育の枠組みを実践し、内容や評価方法の妥当性について検証を進める。
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水野 悠子
セッションID: A7-03
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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2018年4月に精神障害者の雇用が義務化されて以来、国は障害者の雇用促進に力を入れてきたが、精神障害者の職場定着率の低さが課題となっている。
ここでは、障害者の就労を支援する施設(就労移行支援事業所)と連携して、デザインの力を活用して精神障害者の就労に関する課題を抽出し、課題解決のための支援教材を開発したプロセスを解説する。
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足利 えりか, 横山 実紀, 嶋 彩花, 松浦 克太, 木村 篤信, 出口 康夫, 登嶋 健太, 山内 泰
セッションID: A7-04
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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地域において一人ひとりがウェルビーイングに暮らすうえでは、共同的アプローチによって「意欲」が形成される場や機会が重要である。従来研究では、運動機能の指標を計測することで「意欲」形成の一側面を表現してきた。筆者らは、本人を含めた周囲の人や環境を評価するSelf-as-We尺度を用いることで、「意欲」形成を表現できるのではないかと考え「VR旅行ワークショップ」を題材に実践を行った。その結果、今後サンプル数を増やした検証を行うことで指標の有用性を示せる可能性が示唆された。
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組織における共同的な知の探索方法の形式知化を事例とした考察
瀧 知惠美, 西村 歩, 本間 篤, 田幡 祐斤, 塙 達晴
セッションID: A7-05
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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本研究では、暗黙知の形式知化をはじめとする組織のナレッジマネジメントに関わる活動とデザインの方法論との関係性を考察し、本稿ではナレッジマネジメント活動にデザインの専門性を活かすこと際の特徴とその意味の仮説を示す。
本稿の事例考察から、デザインの専門性を活かした暗黙知の形式知化の特徴は、形式知化する対象の出来事に自分自身が身を置くつもりで具体情報を収集する点と、関わるものごとの関係性の解釈を図で抽象化してわかろうとする点の2点、そしてこの具体化と抽象化を何度も繰り返す点があげられる。
これらの特徴から、デザインの専門性を暗黙知の形式知化へ転用する意味について仮説を2点示す。
1つは、具体化と抽象化を何度も繰り返すことで、一度言語化やモデル化して満足することなく知を探索し続け、本質へ迫っていける点である。知を言葉にするだけではなく図にすることで、知の意味が多面的に見えてくる。
2つ目は、具体化と抽象化を繰り返す中で暗黙知を持っている人たちを中心に周囲の人たちとともに知を探ることになり、それを通じて出来事の意味解釈が深まっていくと同時に、ともに知を探索する仲間としての関係性も生まれていく点である。
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ログの分析に関する試行
安齋 利典, 柿山 浩一郎
セッションID: A8-01
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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本研究の目的は、操作ログの要素を分析し、その活用方法を検討することである。機器装置が記録する操作ログに新たな視点を加えることで、操作性の向上につながると考えられる。その結果、正しいログと正しくないログを比較する手法として、ログを併記することで共通部分と異なる部分を明確にし、過不足を比較することができた。ログの連続作業を色分けすることで、工程内の順序を可視化することができた。また、正しい操作ログをもとに、理想的なログを導き出すことができた。本研究の成果は、ログ分析の新たなアプローチとして、操作性の向上や新たなビジネスチャンスにつながる可能性がある。
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ログ解析の観点から
柿山 浩一郎, 安齋 利典
セッションID: A8-02
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
会議録・要旨集
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BtoB企業の製品評価研究を行う際の、特徴の明確化を行うことを本研究の目的とした。実践的に行われた試みの記録を対象に、プロセスを記述し振り返った。その上で、BtoC企業の製品を対象としたユーザビリティ評価研究との差異の観点から考察した。
結果、”対象とするログの規模が異なること、Business to Specialistといった高度で機密性の高い領域にユーザーが存在していること”が特徴であることがわかった。また、ユーザー不在の状況でのデザイン研究法の模索が課題となることを知見として得た。
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その1:認知マップ調査と年齢比較
東 彩夏, 村元 至穏, 田中 一成
セッションID: A8-03
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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この研究では空間認知データを得るための調査計画と内容および、発達段階による空間認知の差異を明らかにする。 2022年12月、奈良県内のA小学校の5・6年生を対象におこなった。空間認知調査により得られたデータを基に,GISを用いて空間の歪みを計測する。通勤通学路等のよく利用する街路・道路,店舗や施設など描画要素に着目した分析により認知空間を把握する。この結果をもとに空間的に認知空間と現実空間とのゆがみを定量把握する。 5,6年生の認知マップから歪みを抽出した地点と1番の地点を歪み抽出の基準点として1番のX,Y残差が0となるように1番の地点を除き3地点以上抽出した。また、X,Y残差の平均値を用いて5,6年生各学年の地図を歪ませ認知空間の歪みを示した。 結果より5年生は6年生と比較して大きく歪んでいることが読み取れる。また、5,6年生ともに駅周辺では大きく歪んでいることから、駅までの直線の道でなにか気になるような引きつける要素がある可能性が考えられる。スーパーや飲食店が多くあるエリアでは大きく歪んでおり、日常よく利用すると考えられる場所がエリアとして短く認知されている可能性がある。
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その2:対象地域の特性とイメージ
田中 一成, 村元 至穏, 東 彩夏
セッションID: A8-04
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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この研究は,我々の都市空間に対する認知距離を用いて,避難計画を作成することが目的である。この計画は,誰もが抵抗なく避難できるものであり,特にこれまで災害から逃げることをためらう人々が避難しやすさを意図している。地区に住む住民たちは,この計画を用いたセミナーや避難訓練を開催し,パンフレット等を作成するなど,災害対策をしやすくする。このような提案を行うことを,この研究の最終的な目的としている。2023年12月に我々は,地方都市を対象として調査を行い,人々に認知される都市の形態を探ってきた。この報告では,2019年11月に大都市郊外で行った同様の調査との違いについて比較分析を行う。この結果を用いて,計画図の表現方法についての材料を得ることを目的としている。調査は,小学生に認知地図を描いてもらう方法を用いた。被験者に,用意した白紙に自由に自宅からの地図を色鉛筆を用いて描いてもらった。分析の結果,大都市郊外の都市では多数が同じ空間認知をしている傾向がわかった。地方都市では,多様性をもった傾向がみられ,ふたつのタイプは異なる可能性があることをみいだした。
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志村 駿太
セッションID: A8-05
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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本研究の目的は,防災教育のような複雑な活動を効率的に学習できる学習順序の体系化である.既往研究によれば,事前学習によって活動に対する理解が深まり,作業スピードは早くなるとある.そこで実験では,被験者に2種類のパズルをおこなわせ,事前情報の提供が作業効率および脳活動量に対してどのような影響を及ぼすかを脳血流の変化量から検証した.
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髙島 健輔, 伊藤 俊介, 中島 瑞季
セッションID: A8-06
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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物語読後の満足度を高めることから、豊かな読書体験を実現できるサービスのデザイン提案を目指すため、読書時の没入にともなう物語内容のイメージ化に着目し、イメージ化と満足度の関係を明らかにすることを本研究の目的とした。没入は、文章内の情報をカテゴリ化して整理し、自己の解釈から内容を理解することで物語世界を構築し、物語世界へ意識を集中させることが必要であると言われる。また物語世界の構築にはイメージ化すなわち物語の場面が画像もしくは映像化されることを伴うことが考えられる。しかし自己の解釈からイメージ化が生じることを考えれば、その結果には、鮮明な像が映し出されているのか、情報のカテゴリによって鮮明度が異なるのかなど、個人差が生じている可能性がある。以上から、イメージ化が生じる場面、文章内の登場人物、舞台、時間に関わる情報と理解度、イメージ化の鮮明度が、本の形式や読者の感性による読後の満足度とどのような関係にあるのか、またそこに個人差は生じるのか、実験から明らかにする。
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李 天雨, 崔 烘碩, 森岡 大輔, 中橋 孝晃
セッションID: A9-01
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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本研究では、子どもが慣れない病院内での移動を体験するためのプレパレーションツールとして、3次元フルドーム型VR映像を開発した。子どもの視点、親の視点、着ぐるみキャラクターが登場する前2つの視点の映像の計4本のVR映像を制作した。完成した動画をVR HMDを用いたVRプレパレーションに使用し、口頭プレパレーションとの効果の違いを分析した。その結果、視覚的アナログ尺度を用いた評価では、口頭プレパレーションとVRプレパレーションの差はほとんど見られなかった。しかし、親目線でVR映像を視聴した場合、子どもの不安状態が半減することがわかった。また、アンケート調査の結果、着ぐるみキャラクターを登場させないVR映像の方が、口頭プレパレーションよりも理解度が統計的に高いことが明らかになった。さらに、心拍データを用いた評価では、VR映像に着ぐるみキャラクターが登場すると、被験者の心拍数が上昇する傾向が見られた。
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趙 一帆, 崔 烘碩
セッションID: A9-02
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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本研究では、入院中の患児に対するバーチャルリアリティ(VR)ストレスコーピングツールの有効性を調査し、その利用を最適化するコンテンツデザイン要素を評価する。入院はしばしば小児の身体的苦痛や心理的不安を引き起こす。VR技術は、ストレスコーピングのための斬新で魅力的な体験を提供することで、病院環境の限界を克服する可能性を秘めている。本研究では、様々なコンテンツを持つ2つのVRツールを開発し、特定のデザイン要素がストレス対処の効果に与える影響を分析する。本研究が新たな手法に貢献し、小児看護分野においてVR技術を応用するための参考となることを期待している。
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プロジェクションアートの事例報告
渡邊 哲意
セッションID: A9-03
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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宝塚大学東京メディア芸術学部渡邉研究室では2020年からプロジェクションアートを校舎に投影する「光のアートで校舎を包もうプロジェクト」を実施してきた。主に高校を対象とした企画であったが、小学校での実施事例も増えてきている。この背景にはプロジェクションマッピングが多くの人に認知されたことや、機材や実施のソフトウェアの充実などが考えられる。また図画工作の指導要領において光の表現の項目があり、ICT教育に取り組む学校によってはプロジェクションアートを積極的に取り入れる学校もある。2023年度デザイン関連学会シンポジウムではソーシャルデザインというテーマについて教育の視点からプロジェクションアートを事例に取り上げた。そこでの発表も踏まえ、今回はプロジェクションアートを授業の取り組みとして共同実施した小学校の事例について報告する。
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村上 泰介
セッションID: A9-04
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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人が産まれた時期の原初の感覚経験を乳幼児の心身の追体験を通して探求する.乳幼児の感覚経験は成人のそれとは大きく異なっている.それは脳や神経における外界の情報処理や,身体の運動機能が発達していないからである.この未発達な状態を成人以前の成熟していない状態として捉えるのではなく,人間の多様な可能性を考察するための基盤として提示するために,成人が乳幼児の心身をヴァーチャルリアリティ技術の持つ心身変容の効果や,特殊な膜構造体で造形されたボディスーツによって追体験できる装置を製作した.
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井部 和樹, 出原 立子
セッションID: A9-05
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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近年SDGsなどが注目され、環境問題が取り沙汰される中、その被害は私たち人間だけでなく、同じ地球に住む動物たちにも及んでいる。そこで私たちは、石川県能美市に所在するいしかわ動物園のスタッフによる協力のもと、子供を中心とした体験者に地球を守るための行動を意識してもらうことを目的としたインタラクティブなデジタル体験学習システムを開発した。このシステムは4つの環境問題をテーマとしており、体験の中心となるゲーム体験は、手を用いて直感的に操作できるようになっている。開発したシステムは、いしかわ動物園内の動物学習センターにおいて実証実験を行い、効果検証を行った。
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2023年度「デザインブラッシュアップ講座」受講企業の成果と波及効果
隈本 あゆみ, 青木 幹太, 楠本 幸裕, 富永 由佳
セッションID: A10-01
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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地域企業の発展を支援する実践的研究開発機関である福岡県工業技術センターが主催するセンタークラブデザイン部会は、これまで県内中小企業と数多くの共同プロジェクトを実施し、多くの製品を商品化に導いた実績とノウハウを持つ九州産業大学芸術学部の青木研究室と連携し、県内中小企業が抱える商品企画、開発、販売等の課題に対してより現実的、実践的な解決策を見出すことを目的とした「デザインブラッシュアップ講座」を2011年に立ち上げた。本学会においては、2023年度に受講した企業2社の同講座による成果と波及効果について発表する。
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与論ファクトリーの事例
松原 かおり, 木川 剛志
セッションID: A10-02
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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筆者はこれまで地域デザインの観点から、地域資源を活かした暮らしの記録をテーマとして、映像を用いた地域の課題解決方法や表現手法を模索してきた。また研究活動の一環として和歌山大学観光学部の木川剛志教授と共に、街の記録の物語が多く描かれる福井駅前短編映画祭(1)の運営・イベント主催を2015年より8年続けてきた。その他に、同氏がディレクターを務める、日本国際観光映像祭(2)の運営にも携わってきた。
2023年度より九州大分にある日本文理大学で教鞭を取ることになり、鹿児島県与論町の観光資源を映像作家と共に探り観光映像を制作するプロジェクト「与論ファクトリー」のプロデューサーとして与論町役場と映像作家のコーディネートを担当した。 本研究では、観光映像のあり方としてクライアントニーズではなく、作り手の目線で地域の魅力を発見し、伝えることに主眼を置き、ファクトリー手法で観光映像を制作する「与論ファクトリー」の活動を報告する。
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会津若松市湊町の炭焼きプロジェクト
横尾 誠
セッションID: A10-04
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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会津若松市湊町のNPOは、炭焼き技術の継承を目的としたプロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトに我々は参画した。そして伝統産業の技術の継承に対してサポート目的として、炭窯の形状を仮想空間上に再構築できるツールを提案した。今後は、ネットでの公開や、地元の小中学校での教材としての活用目指していく。
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堀江 宙生, 三浦 秀彦, 檜尾 安樹絵, 小野 健太
セッションID: A10-05
発行日: 2024年
公開日: 2024/10/03
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本研究では、「下町木密地域の特徴を活かし『暮らしをPLAYする』魅力的な空間や道具のあり方を見出す」ことを研究題目とし、「町の持つくつろぎの場としての価値を自らで見出すくつろぎの道具の提案」を行うことを目的に研究を行った。多様な視点で旅先の魅力を見出し愉しんでいる旅人の「PLAY」する姿に着目し、日常の町に対しても旅人のように柔軟な眼差しを向けることができれば、今まで目を向けていなかった魅力に気づき町をより愉しむことにつながると考えた。ピクニックをする人で賑わう公園を例に、町の中で自由にくつろぐ人が増えれば町全体が居心地良く活気に溢れると考え、特にくつろぎの体験に着目してプロトタイプの制作と検証を重ね、くつろぎの道具に『暮らしをPLAYする』要素を付与する手法の検討を行うことで、最終プロトタイプとして靴を脱いで足を解放することに着目したユーザー自らが工夫して考えながらくつろぎの環境を作り出すことのできる道具を提案した。ユーザー自らが工夫して潜在するくつろぎの場を見つけ出す行為は、町を舞台としたある種のゲームを「PLAY」しているような感覚をもたらし、町へ出る期待感へとつながった。
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