日本デザイン学会研究発表大会概要集
最新号
選択された号の論文の270件中1~50を表示しています
  • 山本 彩智, 土井 俊央, 瀬戸 大地, 清水 義孝
    セッションID: 1A-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    本研究では電子レンジを対象として,Structural modelに対応する「電子レンジのしくみについての概念情報」を紙および動画で説明することの有効性を検討した.4つの条件(マニュアルなし,従来マニュアル,紙による仕組みの説明,動画による仕組みの説明)における電子レンジについての理解度を比較した結果,しくみの概念の説明が電子レンジの動作原理および使用時の注意点についての理解を促進することが示された.特に,動画による理解度促進効果が大きいことが示された.

  • アクターネットワーク理論を用いた方針浸透開発プロセスの分析
    鷲谷 佳宣
    セッションID: 1A-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    企業組織における経営理念をもととした方針の浸透は非常に重要である。

    しかし、経営層が組織方針を策定し、組織構成員への教化のみでは、方針の浸透が進まないという課題がある。そこで、本研究では、経営層からの直接的な関与による教化がなくとも方針を浸透できる浸透策を組織構成員参加型によって開発し、経営理念浸透プロセスを明らかにすることを目的とする。方法として、経営層が組織構成員への直接関与が難しい規模の企業A社の事例を用いてアクターネットワーク理論を用いて分析する。その結果、浸透プロセスでは、組織構成員による重要な「組織方針の選択」、「個人方針の選択」、「人工物を用いた対話」が組織方針の理解を深めることを示した。しかし、具体化には課題があるために、方針浸透を組織内で大きく実行する前に更なる検討が必要である。さらに、浸透過程におけるANTによる分析が、組織方針浸透策をバウンダリーオブジェクトとして人と人工物との相互作用を促進し、その挙動の分析に援用できる可能性を示した。

  • 金城 秀都, 蘆澤 雄亮
    セッションID: 1A-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    中小企業のウェブサイト制作において、情報整理が不十分であるため、利用者側と運営側が扱いづらいウェブサイトとなってしまうケースが増えている。そこで、データベースを活用して情報整理を行い、利用者にとって必要な情報の優先度を考えて画面設計をすることで、制作者、利用者が共に利用しやすい製品情報ページの制作を試みた。各利用者が訪れているページごとにどのような目的を持っていて、どのように情報を表示して誘導していくのかが、製品情報ページを制作する上で重要になってくると考えられる。

  • 安井 重哉
    セッションID: 1A-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    本稿では、従来提案方式の「引き込み式ストッパーによる異方性触感生成部材」の実用性向上を企図した、緊急時の経路誘導のケーススタディについて、以下の3点の改良点を中心に詳述する。

    1. 引き込み式ストッパー配置部を挟むように、上下のエリアに「土手」を設ける

    2. 手指のふれる部分を軟質の発泡性素材(EVA)のシートで覆い、そのシートが、可動部でヒンジの機能を兼用する

    3. 従来提案方式のヒンジ部分を改良し、EVAシートによる「ひれ」を設ける

    また、本ケーススタディをイベント出展した際に得られた社会からの反応を記述することで、筆者らの今後の研究の方向性について論じる。

  • 中山 真太朗, 小早川 真衣子
    セッションID: 1A-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    <自分ごと>認識で考えることが重要とされているが、どうすれば<自分ごと>認識を形成できるのか、その方法は明らかにされていない。本研究では所与のデザイン課題に対する<自分ごと>認識の形成方法を明らかにし、<自分ごと>を促す手法の提案を行う。これまでの調査から、<自分ごと>認識の形成にはフィールドで得た気づきと「自分の過去体験」を比較することが必要であると考えられる。

  • Fei Fan Chao
    セッションID: 1A-06
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    This study will use Esperience Design to explore Green Design, extend the thinking about the nature and meaning of Green Design, and the relationship between sustainable environment and human behavior, and explore how designers can use mass communication strategies and creative advertising to integrate public sustainable and environmental design devices into "experience design". In this study, we explore how designers can use mass communication strategies and creative dimensions of advertising to integrate public sustainable and environmental design devices into "experiential design" to enhance the public's experience of using sustainable and environmentally designed devices and products, and to achieve the design purpose and effect of these devices. From the literature and case studies, it can be found that the interactive experience generated by the public in using the public sustainable and environmental design device products, and the sense of accomplishment and entertainment generated, can enhance the recognition and frequency of using the devices.

  • 三澤 柾文, 伊集院 幸輝, 春日 智哉, 小早川 真衣子, 須永 剛司, 鎌田 政智, 西村 拓一
    セッションID: 1B-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    近年、製造現場においては熟練作業員の退職に伴う知識の喪失や流出という問題が生じています。この問題に対処するためには、エンジニアリング的な解決策だけでなく、知識の集約と活用の循環を作り出すような新しい活動の設計が必要であると指摘されています。そこで、製造業務計画審査会議を用いた熟練工の経験や知識を集約する方法を検討するための研究が行われました。2回の現地調査および2回のワークフロー分析を通じて、私たちは2つの知見を得ました。1つ目は、業務計画審査会議の議論には熟練工の経験や知識が含まれていること。2つ目は、上記議論は発言のオブジェクト化とその性質付けによって整理でき、見える化が現場の人に対して面白い体験となるという気づきです。この知見に基づいて議論を流れで捉えることで、「問い」から「応答」へ至る議論の展開に着目して残すことが知識の共有の促進に対する重要性を示唆していると考えられます。今後は、業務の中で議論の流れを見出している新たな活動及びその活動をサポートする道具のデザイン開発と評価を行っていきたいと考えています。

  • 春日 智哉, 三澤 柾文, 小早川 真衣子
    セッションID: 1B-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    近年、仕事の現場ではベテランの従業員をはじめとする特定の人材のが持つ知識や技術を後継者に引き継ぐ活動知識伝承活動の重要性が増している。しかし、また、伝承に有益な従来の活動主体組織の問題として、これまでにコミュニケーションがOJTや業務時間中の余白時間は、業務の効率化に伴い減少しており、そうした活動が現場で起こる可能性は低下している。このことは、伝承活動の土台となる伝承する人/される人の関係構築に影響を与えていると考えられる。 図 1:本研究で検討する活動の位置づけ しにくい状況が挙げられ、OJTや直接対話が減少しており、また自由な時間が取れないといった課題がある。一方、一般的には飲み会や喫煙所でのの場で、ベテランから過去体験や思いを聞く等、時間などの業務時間以外の(非公式時間)ににベテランの体験を聞有用なくことで知識を得ることも多い。それらは非公式でありながら、人間関係の構築と知識伝承が一体となることで活動が活性化している理想的な状態と言える。しかし、知識伝承が起きるという事実もある。しかし、現状ではこの方法だけでは話す参加者人がの偏るうえに、ほとんどの場合その対話内容はりが起きることや記録に残らない(残すことを前提としていない)らないため、正統的な伝承活動として扱うことには限界があるといった問題がある。つまり、知識伝承の活動主体間の関係構築を伴わせながら当該活動を活性化するには、直接の業務でもなく非公式の活動でもない第3の活動が必要と考えられる。そして、そのデザインが課題となる。

  • 長谷川 千晴, 小早川 真衣子
    セッションID: 1B-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    現在インターネット上ではさまざまな分野の知識獲得が容易になっており、作品作りを生業としない人(以下、非専門家)にとっても創造活動を行うことは身近なものとなっている 。 本研究では非専門家がオンライン上で鑑賞活動を行うための要件を明らかにすることを目的とした。関連研究調査から鑑賞行為は十分な作品の閲覧と省察によって成立するとわかった。また鑑賞媒体の先行事例調査から、オンライン上での鑑賞行為は作品閲覧と省察において課題があるとわかった。

  • 酒井 晟義, 横井 聖宏, 中島 瑞季
    セッションID: 1B-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    イラスト制作における色彩は,作者の表現意図を反映させる重要な要素である.そのため,体系化された色彩論等に加え,個人が制作を通して形成する暗黙知から成る知識を用いて,効果的に表現することが望ましい.加えて現在のイラスト制作はデジタルツールを用いることが多く,その利点として色数が豊富であることがあげられるが,知識の少ない初心者が効果的に用いることは難しい.そこで本研究は色選択ツールに着目し,描きながら学べるツールのデザイン要素を決定するため,デジタルイラスト制作において熟練度の違いが着色工程へ及ぼす影響を明らかにすることから,着色における初心者の抱える問題点や必要な知識を抽出することを目的とした.その結果,初心者は色の種類,混色の法則,色が相互に与える効果といった色に関する知識に加えて, 配色バランスや色の統一感といった作品の完成度に関する知識が不足していたことで,着色工程に違いが生じ,効果的な表現ができないことが分かった.以上から,上級者に見られる着色工程に沿って,その都度知識に基づく補助を色選択ツールで行い,描きながら効果を実感することで,初心者の能力向上が望めると考える.

  • 日中比較を中心に
    陳 嵐清
    セッションID: 1B-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    モバイルインターネットの普及、エンターテイメントの大量消費、デジタルインターネット技術の発展により、新たな形態のショート動画である「インタラクティブ動画」が登場した。インタラクティブ動画は、ショート動画 + インタラクティブアクション(モバイルではタッチ、PCではクリックなどのインタラクティブボタン)+ ストーリーライン(プロットツリー)が融合したものである。本研究の目的は、インタラクティブ動画の発展状況を分析するとともに、日中インタラクティブ動画プラットフォームの機能を比較参照することで、従来動画とインタラクティブ動画を比較するための機能カテゴリの抽出と検証方法を見出すこと、また、コミュニケーションの手段としてのインタラクティブ動画の優位性と将来的な可能性を検証することである。

  • デザイン研究者の活動を事例に
    是澤 亮輔, 小早川 真衣子
    セッションID: 1B-06
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    情報過多などの状況から、人の認知能力を超えたサイバー空間とのインタラクションの事実上の破綻が指摘されている。そこで、本研究では、まず、道具と人の理想的なインタラクションとは何かを問い直すために、現在使われている道具と人とのインタラクションの調査を行った。まず、理想的なインタラクションの形は、「行為者の道具に対するイメージと道具の使われ方が一致している状況」ではないかと仮説をたて、人が道具を選択する際の動機と実際の利用状況との差に着目して調査を行った。本稿では、その過程での気付きについて報告する。

  • 佐々木 俊弥
    セッションID: 1C-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    現在、テクノロジーの進化によって、あらゆるものを取り巻く環境の複雑性や不確実性が増してきている。それに伴い、企業はデジタル変革への対応、社会的価値の創出のために、デザインのアプローチを活用する人材の育成や社会に変革をもたらす構想を生み出す力を高めることが求められている。社会的価値を考慮したサービスをデザインするためには、サービスのコンセプトが重要になるため、本研究ではIT企業を対象として、コンセプトデザインのための構想力の育成方法を提案することを目的としている。

  • 高校生のより良い進路選択プロセスの実現をめざして
    山本 尚毅, 菊田 隆一郎
    セッションID: 1C-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    高校生が卒業後の進路を選択する際に利用できる意思決定プロセスを支援するツールキットをデザインした。本ツールキットは、卒業後の進路について、彼らが持つ選択肢や重視する判断基準などを可視化するものである。高校生が直面する複雑な進路選択に対し、思考を外化しマトリックス上で整理をする。ツールキットを活用した高校生は主体的に新たな選択肢の探索や判断基準の再検討を行い、マトリックスを作り直し、選択への納得度を向上させた。本ツールキットの柔軟で直感的なデザインは、中等教育機関に属する高校生が合理的な進路選択を行うことを容易にするとともに、日本の教育機関とそれを取り巻くステークホルダーが抱える進路選択に対する体系的な問題の克服に貢献できる可能性がある。

  • 山崎 和彦
    セッションID: 1C-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    IoTを活用したサービスデザインをより重要になってきている。ここでは、IoTとデータを活用したサービスデザインアプローチ方法について解説する。このアプローチには、サービスデザイン、プロダクトデザイン、ソフトウエアデザインとデータデザインを含む。

  • 自発的な学びの機会に関する実践 ~「こどもラボ」から「おとなの自由研究のススメ」へ~
    小原 大樹
    セッションID: 1C-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、小学校の自由研究支援の活動である「こどもラボ」の実践と課題について述べるとともに、私たちが「おとなの自由研究のススメ(Free-sky resrarch)」と呼んでいる大人が自発的、かつ主体的に学ぶ機会の創発について、2015年からの振り返りをし、成果と課題を明確化するとともに、今後の展望を述べる。

  • 石崎 淑乃, 篠崎 巧真, 橋田 規子, 阿部 真帆, 木澤 航輝, 新熊 亮一
    セッションID: 1D-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    私たちの生活では、色彩は欠かせない存在となっている。特に、インテリア設計において色は重要な要素である。色による心理的変化に関連した研究は多く存在したが、人の行動と色についての研究は少ない。本研究は、故意的に色を見せずに、空間の色と人の行動の関係を調査することを目的とする。日常生活に近い条件で実験空間を設定し、色に対してどのような反応を示しているのか明らかにする。空間の色と人の自然な行動から、色と人の行動に関する何らかの関係性を導き出すことができれば、様々な空間における色彩調節に役立つのではないかと考える。

  • 音の印象を視覚化し、製品デザインに活用する
    山邊 航太, 橋田 規子, 鹿田 昂平, 大庭 麻衣, 直江 学, 近藤 孝
    セッションID: 1D-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    現在、モビリティの電動化が進んでおり、エンジン音の存在がなくなりつつある。これまでは快適さを追求するために、エンジン音を低減するような、騒音に関する研究が主に進められていた。エンジン音が低減され、電動化によって静粛性が向上していることから、今後は感性的なアプローチが必要となると考えられている。感性的なアプローチとしてクロスモーダルがあげられる。本研究では聴覚と視覚のクロスモーダルを研究テーマとし、エンジン・モーター音と形状や色との関係、それらが人に与える印象を調査する。この調査により音と形状の違いや組み合わせによる、好感度や心地よさ、快適さなどに関する指標を立てることができる。

  • 嚥下機能と認知機能に働きかけるリハビリテーションプログラムの開発
    吉岡 聖美
    セッションID: 1D-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    嚥下訓練に含まれる口・頬の運動と発声とを,口腔顔面運動による後出し顔ジャンケンに取り入れた「顔ジャンケン」プログラムを考案した。タブレット端末やPCを用いて,手軽に,嚥下機能および認知機能の維持向上に働きかけるリハビリテーションプログラムを実行することができる。更に,気分が改善する心理的効果が期待できるプログラムを開発するために,表情の異なる「顔ジャンケン」プログラムを実施した際の心理評価について調査したところ,「チョキ」の表情で舌を出すプログラムよりも,「チョキ」の表情で口を左右に伸ばし口角を上げて笑った顔になるプログラムが有効であると考えられる結果が得られた。

  • 黄金長方形は本当に美しいか?
    杉本 洋介, 平尾 章成
    セッションID: 1D-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    一般に黄金比は美しいと言われる。以前の研究では、横長の長方形では黄金比、縦長の長方形では白銀比が美しいと報告されている。しかし、以前の研究には以下3点の不明点がある。1)縦横比が連続的な値として提示されていない、2)なぜ美しいのか?その理由、3)横長は黄金比、縦長は白銀比が美しい理由。結果は、以下を示している。1)美しい長方形は正確には黄金比、白銀比と一致しない、2)美しいアスペクト比は身の回りのものに影響される、3)縦方向を過大評価する。

  • 永盛 祐介, 柳 亜里紗
    セッションID: 1D-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    R.Willamsの「ノンデザイナーズ・デザインブック」には「良いデザイン」には「コントラスト,反復,整列,近接」という4つの基本原則が見られると記載されている.この4つの基本原則について,言葉としては理解出来るものの,はたしてこれらの原則の有無が具体的に人間に影響の違いをもたらしているのかは明確では無い.本研究ではこの基本原則の有無が人間に与える影響をの機能計測によって定量的に検討することを目的とする.脳機能計測の結果は,「良いグラフィックデザイン」と「悪いグラフィックデザイン」の9枚中4枚の有意差が認められた(p < 0.05).悪い例のグラフィックデザインは,ヘモグロビン濃度変化量が上昇しているものが多く,宣伝フライヤーの悪いグラフィックデザインでは,前頭葉前額部左右どちらもヘモグロビン濃度変化量が増加していた.反対に良い例のグラフィックデザインでは,ヘモグロビン濃度変化量は低下しているものが多く見られた.

  • リンク機構のアニメーションを用いた実験検証
    本多 詩聞, 柳澤 秀吉, 加藤 健郎
    セッションID: 1D-06
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    本研究は、デザインにおけるイノベーションの創出に不可欠な創造性と、それに必要な推論の一つである仮説形成(アブダクション)に着目し、美的興味を引き起こすためのモデル選択の条件を示し、被験者実験により検証することを目的としている。仮説は、切り替え前の複雑なモデルと、切り替え後の単純なモデルの選択が、美的興味を引き起こすというものであり、変分自由エネルギーを用いた体系的な説明も可能である。VFEの減少が生物学的に意義のある情報を収集し、予測する能力の向上を意味するため、単純なモデルが選択されると非流暢性が減少し、美的興味が生じることを説明している。実験参加者は、点が動く映像を見て質問に答え、その後2自由度または3自由度のリンク機構を付加した映像を見て再び質問に答えた。複雑なモデルで単純な動きが実現されるとき、美的興味が高まるという実験仮説のもと結果の分析を行った結果、有意差は見られなかったが、仮説を支持する傾向が見られた。この研究は、創造性におけるアブダクションの重要性を再認識させるとともに、アブダクションに関連する神経現象を解明するための一助となる可能性がある。

  • 大学院で実施されたデザインプロジェクトを例に
    三冨 敬太, 赤木 真由, 五百木 誠
    セッションID: 2A-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    本研究では、プロトタイピングとチームの創造性に関する定量データと、大学院で実施した新製品開発の初期段階に関わるデザインプロジェクトの参加者への半構造化インタビューから得られた定性データに基づいて、プロトタイピングとチームの創造性の関係について分析した。

  • JIANG PENG, 田中 隆充
    セッションID: 2A-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    本研究は,ユーザに可能な限りネジ等の部品を使わずに容易に組立可能な方法を考察する研究である.例えば,継手だけで構成された家具はこれまでの研究で容易に組立が可能であることが分かっている.本研究ではユーザに複雑な組立の負担を軽減させるために,錯視を用いた視覚的な補完を組立プロセスに取入れることで,組立の効率性やそれを用いたユーザの視点を意識化させる空間認識のあり方が知覚にどのような影響を与えるかについて実験を通して考察する.実験は視覚的な補完を用いた3種類の図形情報をそれぞれ組立てパズルの部品に貼付け,被験者8人を対象に分解された組木を組上げるまでのプロセスを観察した.その結果,視覚的な補完の文字キャラクターの要素を用いた組木では,図形要素を用いた組木よりも早く視点を意識させることができ,組立効率性の向上が認められた.さらに,視覚的な補完要素を情報として使用した場合,部品に配置する位置や提示した図形の輪郭の情報等はユーザの空間認識に相互作用が示されると推測した.

  • 張 紫薇, 前川 正実
    セッションID: 2A-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    本研究ではアイデアを発想する際の二種類の推論における脳前頭前野の働き方と心理的ストレスについての知見を得ることを目的とする。取得する生理指標データとして,脳前頭前野の賦活状態をNIRS(Near-Infrared Spectroscopy)で計測し,心理的ストレス状態の指標としてRRI(R-R Interval)を計測する。約3ヶ月の時間間隔をおいて,2回の実験を行った。 実験では,これら二種類の生理指標を測定し,実験データを分析して最終的な結論を導き出した。

  • 前川 正実, 中路 理沙, 山内 優季
    セッションID: 2B-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    デザイナーには,創造力と批判的思考態度という,異なる能力と性質を備えることが要請されている。本研究ではこの両者の構成要素の関係の有無と内容を理解するための調査を行った。分析の結果,重回帰式を得ることはできなかったが,双方の項目間に,ある程度以上の正相関が複数存在することがわかった。ただし,創造力の「独自さ」と批判的思考態度の「客観性」には,他方のいずれの項目とも関係がみられなかった。以上から,両者は基本的に相反する性質ではないと考えられるが,デザインでの思考の結果品質に影響する「独自さ」については批判的思考態度とは関係しないことが示唆された。

  • 互助に基づく協調学習の可能性
    坂川 侑希, 堀江 政広
    セッションID: 2C-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    本稿は2022年度に行った「遊びのデザイン」の教育実践について報告するものである。学生たちは、「日常の行為」をテーマに、それぞれの経験からルールを構築し、遊びをデザインした。また、2022年度は個人での制作としながらも、互助に基づく協調学習の考え方を採用し、グループ内で助け合うことができるシステムを導入した。結果、学生達はそれぞれが持つ経験やスキルを共有することができ、広い視野で遊びを捉えることで、2021年度よりも柔軟な発想を実現できた。

  • - SDGsをテーマにしたワークショップを事例にして
    堀江 政広, 坂川 侑希
    セッションID: 2C-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    東北工業大学ライフデザイン学部産業デザイン学科では、3年生後期の実習授業で「ワークショップのデザイン」を2019年度より開講している。この授業の目的は、ワークショップについて体験・理解し、ワークショップのデザイン・実践ができるようになることである。この授業で対象とするWSは次の3つである。1つ目は「デザイン教育・表現のためのワークショップ」、2つ目は「企業における製品・商品の企画・開発のためのワークショップ」、3つ目は「社会的な課題についての対話のためのワークショップ」である。本稿では、学生による「SDGsをテーマにしたワークショップ」のデザインプロセスと、1つの事例を報告する。

  • 大庭 広明, 坂爪 康太郎, 安積 伸
    セッションID: 2C-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    3Dプリンタは学校機関でも多く活用されるようになり、小学校~高等学校のSTEAM教育の用途のみならず、大学でも利用されている。 特に工学系・製造やものづくりに係る学生にとっては3Dプリンタや3Dモデリング技術は必須である。しかし多くの学校で用いられているFDM方式の3Dプリンタでは、基本的には単色の硬い種類の樹脂を扱うこととなるため、工業製品のプロトタイプなどが題材になりやすく、それ以外の素材を必要とするものづくりではデジタルがなかなか教育現場に導入できていない現状がある。特に「モールディング」においては樹脂以外は学校現場ではあまり実践することができず、その特性を演習として理解することが難しい。そこでこの「モールディング」のように型を作り、それに泥漿を入れて作る泥漿鋳込みという磁器の制作方法について着目し、3Dプリンタとこれを組み合わせることにより、デジタル技術を用いたモールディングを実践できないか検証した。

  • データを切片化しない描き方の可能性
    安武 伸朗
    セッションID: 2C-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    製品やサービスが私たちに生み出している価値として、機能や効用が優れていること以上に、体験そのものに個人的な意味を見出せることが重要である。筆者はサービスデザイン教育における定性調査について、対象者により語られた事実を切片化して分析するフレームワークと、文脈をできるだけ残し、ものがたりや図解という別のメディアに置き換えて解釈するやり方を実験した。学修者は、生活の文脈を知る上で、論理的な理解よりも自分自身が共感できる意味を見出すことの重要性に気づくこととなった。

  • プロダクトデザイン教育におけるラピッドプロトタイピング研究(1)
    三浦 慎司
    セッションID: 2C-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    プロダクトデザイン教育の場を想定した、低融点金属を用いた試作プロセスを開発した。このプロセスは、民生用としても普及する材料押出式の3DプリンタでPVA(ポリビニルアルコール,ポバール)材によるモデル造形を行い、シリコン塗工紙による面貼りとモデルの水中溶解を経て、転写型を作成し低融点金属を鋳込むものであり、その特徴は水溶性であるPVAの性質から水による簡易な設備での消失模型が実施可能となる点にある。この方法は近年普及するジェネラティブな形状モデルのデザイン試作を、3Dプリントでは用いられていない材料で作成する方法の一つとしても期待される。

  • 青木 幹太, 井上 友子, 星野 浩司, 佐藤 慈
    セッションID: 2C-06
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
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    本研究は、プロジェクト型デザイン教育の理論化、体系化を目的にしている。本年度は、これまでのプロジェクト活動を対象に、連携の形式や事項、内容を基準に分類する、多様なプロジェクト活動をチャート化することである。その結果からプロジェクト型デザイン教育の枠組みを明らかにする。

  • 米国情報局の情報戦略「カラマズー展」
    井口 壽乃
    セッションID: 2D-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的は、第2次世界大戦中にアメリカに移住したドイツ人デザイナーのウィル・バーチン(Will Burtin, 1908-1972)のデザイン活動に着目し、冷戦期にいかにアメリカが対ソ情報戦略のためにヨーロッパ移民芸術家を利用したかを探求することにある。冷戦初期の1950年代において、アメリカ政府広報機関である米国情報局(USIA)は対ソ情報戦略に乗り出す。USIAは展覧会を企画し、バーチンにデザイン協力を依頼する。本論文では、このアメリカ中西部都市カラマズー展について焦点をあて、カラマズー展の企画の主旨と1958年西ベルリンでの巡回展について検討し、ヨーロッパのモダンデザインの理論と手法がいかにアメリカのプロパガンダに利用されたかを実証する。第1にUSIAの対ソ連政策とその政治的背景について検討する。第2にカラマズー展の内容を明らかにし、USIAの情報政略とバーチンの関係について明らかにする。第3にベルリン巡回展のバーチンの企画について考察する。結論として、移民デザイナーのアメリカの対ソ政策協力の局面をデザイン史に位置付ける。

  • 徐瑾,丁乃剛,黄鋭の来歴
    周 晨禾, 樋口 孝之
    セッションID: 2D-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は1899-1914年の間に東京高等工業学校工業図案科における中国留学生の統計,留学実態及び帰国後の経歴の調査成果を基づいて,代表的な人物を着目し,徐謹,丁乃剛,黄鋭三人を選び,彼は近代中国最初の図案教育は創立した北京美術学校及び北平大学芸術学院(現中央美術学院の前身)の図案科教員を務めた,ともに印刷製版業界で活躍した。 研究目的は三人の留学経験と卒業後動向の考察を通じて,工業図案科時代の中国留学生は中国最初の図案科教育における位置及び印刷製版業界での貢献を推察する。

  • 小学校「総合的な学習の時間」における実践を通じて
    佐藤 慈, 青木 幹太, 田代 雄大, 井上 友子, 星野 浩司
    セッションID: 2D-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    筆者らは、伝統文化とデジタルファブリケーションの学習を統合的に実施できるSTEAM教材の開発を目的として、福岡市にある小学校5年生の「総合的な学習の時間」において、福岡の伝統工芸品である博多張子を、3DCADソフトウェアと3Dプリンターを使って制作する授業を試験的に実施した。授業後に、児童を対象に、ARCSモデルに基づいたアンケートを実施した結果、授業が高い評価を得ていることが分かった。今回の実践を通じて、地域連携に基づいた授業を継続的に実施するためには、遠隔と対面のそれぞれのメリットを活かしながら、地域の多様な人々が円滑にコミュニケーションできるような仕組みを整えることが重要であることが示唆された。

  • 松浦 李恵, 中村 泰之, 神林 優
    セッションID: 2D-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    宝塚大学東京メディア芸術学部では、初年次教育科目として「表現実践」「表現思考」「表現とICT」「コンピュータデザイン基礎」の4科目を設置しており、クリエイターに必要な基礎力に加え、社会で活躍するための姿勢を養うことを目指している。本学では美術系大学である特色を踏まえて、初年次教育にPBL型の制作系の課題を積極的に取り入れてきた。さらに、本学は新宿区健康部と事業協定を結んでいることから、初年次教育の課題に地域連携を取り入れる試みを2019年度から開始した。本稿では2022年度の「表現実践」におけるPBL型を授業を用いた地域連携課題の取り組みについて報告する。

  • 横浜市金沢動物園×横浜美術大学プロダクトデザインの連携授業の取組み
    上綱 久美子, 山路 康文, 辻 康介
    セッションID: 2D-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    本稿は、2021および2022年度に横浜市金沢動物園と横浜美術大学の包括連携事業の一環で、同動物園と同大学美術学部プロダクトデザインコース3年生の演習を連携授業として取組んだ内容について述べる。 本連携授業の基本姿勢は、学生に、屋外環境におけるパブリックデザインの視点を通してプロダクトデザインの役割を捉え直してもらうことである。課題テーマを「動物園のストリートファニチュアデザイン」として、学生を軸に動物園運営者、来園者をデザインパートナーとして、インクルーシブデザインの手法にそったデザインプロセスおよびデザイン提起・解決の演習を目指す。学生は、動物園の特性や役割と動物園運営者の問題を把握し、動物園利用者(主に来園者)の不特定多数の多様な問題も知り、動物園と来園者が抱える問題について整理・考察・定義してデザイン提起・解決することを学ぶ。動物園と来園者に対しては、デザインの表層的な活用から、深層的な「デザインすることの意義」の重要性について理解してもらい、動物園×デザインの新たな楽しみと学びの価値について協働・連携につなげることを目標とする。本包括連携事業は2023年度以降も継続される。

  • 徳永 竜也, スコット アレン, 徳井 直生, 三澤 直加
    セッションID: 3A-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    本稿では創造的対話におけるビジュアルファシリテーションに注目し、特にブレインストーミングでビジュアルの効果を発揮させるため、AI等のデジタル技術はどのような役割を果たすべきか、またそれによって議論方法はどのように変化すべきかについて報告する。具体的には、従来の議論方法をベースにデジタル技術によるビジュアルを用いた実験の考察をもとに、その有効性に寄与する要因や課題を指摘し、デジタル技術に求められる要件や新たな議論方法について解説する。 最後に、今後の課題と展開について述べる。

  • 内田 隼人, 梶谷 風翔, 加藤 健郎, 西村 秀和, 平尾 章成
    セッションID: 3A-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    Covid-19の急速な普及により,労働者はリモートワークへ移行したことで,歩行頻度の低下や,個人の労働環境が長時間の労働に適さない状態で用いられるようになったことが,LBP患者を増加させる原因として懸念されている.さらに,個人の労働環境下では周囲の人間による監視が行われないため,長時間崩れた姿勢での作業が継続しやすいこともLBPの増加因子として挙げられる. LBP予防のための姿勢改善を促すシステムの開発に関する研究は,近年様々な手法が検討されているが,作業姿勢に対する介入は労働者に煩わしさを覚えさせる可能性が高く,効果が十分に得られないことや,作業効率を低下させることが懸念されている.したがって,本研究では,システムズエンジニアリングの手法に基づき,労働者に与える煩わしさを抑え,労働者自身の作業姿勢への意識を促すことで,LBP予防効果をもたらすことが期待されるフィードバックシステムの提案および構築を行う.

  • 辻村 和正, 筧 康明
    セッションID: 3A-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    本稿では、デザインプロセスにおけるデザイナとマテリアルの「共創」による機会探索の手段としてのマテリアル・ティンカリングを提起する。

    デザイナによるマテリアル特性の主体的な探索とその探索過程で表出するマテリアルへの実験的態度と体験的理解による、「デザインの知」の生成行為であり、マテリアルの開発者とデザイナによる、それぞれの認識論的立場を超克した共創関係を創出する端緒にもなる。

  • 林 淳平, 加藤 健郎, 柳澤 秀吉
    セッションID: 3B-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    感覚間協応とは異なる感覚モダリティに与えられる刺激の属性や,次元の間に適合性が見出される効果であり,その効果により生み出される独特な体験に注目が集まっている.その中でも,視覚と聴覚の感覚間協応は,Music Visualizationと呼ばれる音楽の可視化による音楽体験の向上などに応用できるとされ,注目されている.視覚と聴覚の感覚間協応に関する国内外の研究状況としては,とがった形は高い音に,丸い形は低い音に対応していることが報告されているが,それ以外の形状特徴に関する研究はほとんどされていない.ここで,このような形状と音の対応は,生得的に得られるものである可能性が指摘されており,人間の感情に媒介されている可能性がある.一方で,形状特徴のうち,形状の「複雑さ」や「秩序」は人間の快・不快感情に大きな影響を与えることが知られている.そこで,本研究では,形状特徴の定量化指標を利用して,形状の「複雑さ」と高い音,「秩序」と低い音の対応を検証した.結果として,形状の「複雑さ」と高い音,形状の「秩序」と低い音の対応が一部形状を除いて確認できた.

  • 雪本 愛佳, 加藤 健郎, 柳澤 秀吉
    セッションID: 3B-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    人間は日々の生活でユニモーダル(単一感覚)な情報処理よりもマルチモーダル(複数感覚)な情報処理を行っているとされ,マルチモーダルな情報処理の結果は,ユニモーダルな情報処理の結果の線形和よりも大きいことが知られている.近年,食生活の改善を目的として視覚と味覚の感覚間協応が注目を浴びている.感覚間協応とは,異なる感覚モダリティに与えられる刺激の属性や次元の間に適合性が見出される効果を指す.本研究では,視覚情報における形状の「複雑さ」を用いて,感覚間協応の検証をすることを目的とする.その方法として,まず,形状の「複雑さ」を表現する定量化指標の選定をし,同指標を用いて,視覚刺激となるカップホルダを生成する.次に,カップホルダに味覚刺激となる飲料としてオレンジジュースを入れ,味の評価を行う.最後に,この結果を用いてカップホルダの「複雑さ」が味覚に与える影響を解析する.その結果、オレンジジュースの味覚評価において、曲率エントロピーと甘味の間に負の相関、曲率エントロピーと酸味の間に正の相関が確認され、曲率エントロピーが甘味および酸味の評価に影響を与えることが示された.

  • 黄 輔立, 堀川 将幸, 佐藤 浩一郎, 寺内 文雄
    セッションID: 3B-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    精神価値の充足は、習慣化を促し、顧客生涯価値を高めるだけでなく、社会全体の活性化に繋がることが期待できる。そこで、サービス使用時に経験する価値構造を明らかにし、精神価値の成長を促すUXデザインの指針を検討する。本稿ではサービス使用時に発生・成長する精神価値の時間変化を表現しうる基礎モデルの提案を行う。

    まず、長期利用しているサービスの価値体験エピソードを収集し、価値に関する記述を抽出・整理し、モデルに使用する19要素の精神価値を選定した。その後、収集した各エピソードについて、サービスの利用を使い始めた頃の「短期間」から使い慣れた頃の「長期間」までの3期間に分け、それぞれの期間で経験した精神価値を評価項目としてクラスター分析を用い、分類を行った。その結果、「短期間」では、安心感を伴う精神価値を経験する「安心感型」や、高揚感による「高揚感型」など、3つの傾向が見られ、中期間、長期間でもそれぞれ4つずつ傾向が確認された。この結果をもとに精神価値の時間変化モデルを構築し、28の成長パターンが確認された。今後は、価値の発生・変化前後の価値影響要素と価値の関係性についても考察を深める必要がある。

  • 藤木 淳
    セッションID: 3C-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、自分を探し続けることをコンセプトとしたインタラクティブアート作品「P055E5510N25」を提案する。本研究ではP055E5510N25のプロトタイプを作成し、デモンストレーションを行うことで、本作のインタラクションデザインの指針に関する知見を得ることを目的とする。本稿では、P055E5510N25の初期設計方針から得られた考察とデモの結果を通じて、自分を探し続けるアート体験のための設計プロセスとそこから得られた知見を紹介する。

  • 石崎 航琉, 松永 康佑, 藤木 淳
    セッションID: 3C-02
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    これまで,ロジックパズルやナンバープレースパズル分野における難易度評価の研究では,同じルールにおいての難易度評価に焦点が当てられているのに対し,本研究ではルールの異なるパズル間の客観的指標を用いた難易度評価を検討する.

    本研究は,ルールの種類と難易度および完成までの時間との関係を明らかにすることを目的とする.ルールの異なるパズル間の難易度評価が可能となることで,より正確で短時間でのレベルデザインが可能となる.ルールが異なる複数のデジタルジグソーパズルを作成し,被験者実験により得られたデータを元にルールと難易度の関係を検証する.実験では15名の被験者の主観的な難易度評価と完成までのタイムを取得し,それらを一元配置分散分析した結果,ルールの種類がクリアタイムと難易度評価に優位な影響を与えていることが示唆された.また,各被験者における完成までのタイムと難易度評価の相関を分析したところ,15のサンプルのうち14の場合において正の相関が認められる結果となったことから,ルールの異なるパズル同士の難易度評価にクリアタイムを用いることが可能であると考察する.

  • 長野 翼, 蘆澤 雄亮, 野田 夏子
    セッションID: 3C-03
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    近年プログラミング的思考力が重要視され、それに伴い小学校から大学まで幅広くプログラミングの授業が行われている。しかし、その学習過程の初歩で「目標を達成するために必要なものや手順がわからない」といった理由から躓く初学者が多い。このような初学者に対する支援が求められる。ただし初学者といっても様々な特性を持つため、その特徴に合わせた学習方法を考える。プログラミングと類似点のあるものについて考えたところ、イラスト制作が当てはまることに気づいた。そこで本研究ではイラスト制作に素養を持っていたり、イラスト制作の知識を持つ初学者を対象とし、イラスト制作時のステップや考え方を取り入れたp5.js学習サイトを作成した。

  • 五十嵐 大智, 安井 重哉
    セッションID: 3C-04
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    「触覚」を活用した遊びはいくつか存在するが、「視覚」を活用した遊びと比べると発展途上であり、筆者は、触覚をうまく活用して遊ぶことで、他にも面白いゲームを作ることが出来るのではないかと考えた。本研究の目的は、触覚を活用することで多種多様な人々が遊べるゲームを制作することである。筆者は「柱体を2つ組み合わせたオブジェクト」と「その複合された形状の抜き型を持つリング」をペアとする玩具「パスル」を制作した。パスルは、リングをオブジェクトに通すことでペアを探すゲームである。晴眼の大学生に実際に遊んでもらったところ、普段使わない感覚で複数の図形を読み解き、その複合形状を想像してリングを探すところに面白さがあり、ゲームとして楽しめるものであることを確信した。今後は、パスルを視覚障がい者と一緒に遊べる玩具にすることを目標としており、実際に盲児らに遊んでもらうことで改良を行なっていく予定である。

  • 小説および映画との比較を通じた朗読劇の独自性
    関 博紀, 亀井 翔太, 佐藤 翼, 平林 知樹, 深川 奈未
    セッションID: 3C-05
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では朗読劇の魅力を探るため、朗読劇の表現手法を、同じ作品を扱った別の媒体、すなわち小説と映画と比較した。その結果、朗読劇と映画の言語表現は小説から大幅に減少していること、また、映画と比較すると、朗読劇は、減少した言語表現を他の表現手法で代替する傾向が低いこと、さらに、朗読劇では、映画には見られない“声の技術”とも言えるものが確認された。朗読劇に見られた“声の技術”は、小説における言語表現の豊富さや、映画における視覚表現に相当するものであると考えられ、いわば発声による言語表現の立体化を担っていると考えられる。対象の豊富化と精緻化が今後の課題である。

  • 多田 亮平, 亀蔦 邦彦, 出原 立子
    セッションID: 3C-06
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    従来のプロジェクションマッピングの多くは、目的に応じて特定の構造物に対する映像をあらかじめ設計製作し投影することが多い。また、特定の構造物に合わせた映像を制作するためには、事前に構造物の測定やCG制作など手間を要し、一度制作した映像を異なる構造物に対して汎用的に活用することも難しい。そこで本研究では、空間形状の特徴を抽出しその情報に基づきイメージを生成し、形状に合った映像投影ができるシステムを開発することを目的とする。本研究のねらいは、あらかじめ形状に合わせて意図的に投影イメージをデザインするのではなく、投影対象の形状によりイメージが生成される新たなデザイン手法を提案することにある。

    開発したシステムは、以下の3つの機能で構成される。すなわち、RGBカメラを使用して空間形状の特徴を抽出するための機能と、カメラ画像と実空間におけるプロジェクタによるイメージ投影の位置合わせを行う機能、そして、特徴情報を元にイメージを生成する機能である。

  • 吉原 千智, 小早川 真衣子
    セッションID: 3D-01
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/13
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は、「差別される側」からの告発に問題があることを背景に、性差による差別解消に焦点を当て、より効果的な方法を検討することを目的とする。 される側からの告発には3つの問題点がある。まず、告発の正当性が疑われることがあり、する側によって差別が無効化されることがある。次に、カテゴリー化の問題があり、女性が女性差別に対して告発すると同じカテゴリーの女性から反発が起こることがある。そして、される側の告発により、する側が差別を認識しても、損益を鑑みて差別を正当化することがある。 したがって差別解消を目指すためには、する側からの働きかけも必要不可欠だろう。そこで、本研究ではする側の視点に立ったアンコンシャス・バイアスを克服するための体験学習プログラムをデザインする。関連研究調査では、アンコンシャス・バイアスに関する議論や実践事例を参考に、課題を明らかにした。する側を「差別者」とし、差別者に同化を求められる第三者を「共犯者」と置くことで、する側にとって差別がどのような意味を持つのかを明確にし、アンコンシャス・バイアスの克服を促す体験学習プログラムを設計する。

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