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盲児が「食べることが体をつくる」を知るためのやわらかい人体模型の開発(2)
三代 晃司, 岡田 ちなつ, 倉田 晃希, 三科 聡子, 赤井 愛
セッションID: A-01-01
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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幼児期の盲児は、体内が不可視であることに加え、絵本や他者観察などの視覚情報による補完が難しいため、「食べる」と「排泄する」の間の出来事を連続した因果として把握しにくい。本研究は、ヴィゴツキーの生活的概念/科学的概念の区別を援用して食育理解を3段階に整理し、幼児期に対応するステップ1(生活的概念)「食べる→(身体の中を通る)→出る」の成立を支援する触察教材プロトタイプの設計・試作と、設計要件および制作再現性を含む知見整理を目的とする。宮城・京都の教職員への半構造化インタビューをM-GTAで分析し、①単純化による直感的理解、②身体スケールとの整合、③過程を追える操作性(追従性)、④身体化(当てる・着用)による位置関係、⑤語りかけと結びつく導入、の5要件を抽出した。要件を反映した反復試作を4フェーズで整理し、PLA・TPU・PVCの役割分担による多層構造とマグネット内蔵食べ物モデルを備えた統合プロトタイプを構築した。次報では現場提示を通じ、出来事が「体内で起こること」として意味づけられる条件や運用上の論点を検討する。
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盲児が「⾷べることが体をつくる」を知るためのやわらかい⼈体模型の開発(3)
岡田 ちなつ, 三代 晃司, 倉田 晃希, 三科 聡子, 赤井 愛
セッションID: A-01-02
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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幼児期の盲児において、食物が体内を通過し排出される過程の理解は難しく、プロセスの連続性を感覚的に捉える教材の整備は食育上の重要課題である。前報では、盲児の教育における「食べる・身体の中を通る・出す」というプロセスを理解するための教材プロトタイプを試作した。本研究では、教育・療育現場の教育者を対象とした半構造化インタビューにより教材の有効性と課題を検証した。視覚支援施設での調査では、通路が一本道であるという驚きの再現に留まり、教材上の出来事が自身の身体と結びつかない状態を「迷路化」と定義した。これに対し、通過時の手応えの付与や身体との位置関係を明示する要素を追加し、対応関係を強化した改良モデルを制作した。特別支援学校での調査では、教材を身体に装着し操作する構成が、体内現象を自己の身体内の事象として捉える促しに有効であると示唆された。一方で、食物モデルの形状や提示位置には改善の余地が指摘された。本研究により、教材と身体の対応関係を直感的に理解させる構造の重要性が確認された。今後は最終モデルを用い、子どもによる使用検証を通じて実用性と有効性を精査する。
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アートワークショップの実践から導くデザインの創造性
細谷 多聞, 小宮 加容子
セッションID: A-01-03
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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札幌市立大学のデザイン学部とダンロップタイヤ北海道カンパニーは、小学生を対象に廃タイヤの不法投棄問題を考えるアートプロジェクトを実施しました。プロジェクトでは、フロッタージュ技法を用いて子どもたちが廃タイヤをモチーフにアート作品を制作し、環境意識の向上や創造的表現の体験を目指しました。 ワークショップは2025年8月に札幌市立磐溪小学校の2年生、18人を対象に行い、子どもたちは約1000枚の作品を制作しました。本報ではフロッタージュ技法を通じて、観察力や探究心が引き出された理由に言及するとともに、子どもたちの制作の過程で4つの典型的な表現展開がありそうなことを発見しました。最終的に、制作された作品は「タイヤカエル」として札幌市役所のロビーに展示され、多くの市民に楽しんでもらいました。 今後は、ワークショップの効果をより詳細に分析し、創造性の原理を明らかにする必要があります。
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群馬県みどり市大間々町の私設公園「わがままパーク」における実践
太田 裕通
セッションID: A-01-04
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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本研究は、群馬県みどり市大間々町の私設公園「わがままパーク」における、子どもと大学研究室による遊び環境の共創プロセスを分析した。2025年4月より実施されたWSでは、個の発想の継続性を担保する「記名性」と、学生が1対1で支援する「バディ制」を導入。まち探検での遊び要素抽出や116件のアイデアに基づく模型制作、空間的翻訳を経て最終案を統合した。分析の結果、バディ制は子どもの潜在的な意図を空間提案へと橋渡しする「翻訳行為」として機能し、記名性は個の関心の変遷を一貫して捉える有効な手法であることが確認された。多数決ではなく、対話を通じた相互作用により他者の提案を調整・拡張するプロセスは、個の発想を起点とした自己組織的な環境形成の一端を示している。本実践は、多主体協働のデザインにおいて子どもの意図を空間へ実装するための方法的知見を提示した。
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公立高校の新学科設立プロジェクト事例からの考察
中山 郁英
セッションID: A-02-01
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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本報告では、筆者が参与した公立高校の新学科設立プロジェクトを事例に、公共領域のプロジェクトに長期間携わる一つのデザイナー像を示す。本プロジェクトでは、筆者は当初地域住民とともに構想を検討し行政や高校に提案を行う外部の提案者として関与した。その後、高校内部のコーディネーターとして構想の実行に直接携わった。本報告では、この立場の変化によって、ステークホルダーとの関係性や実践上の役割、ならびに実践者の考え方がいかに変化していったかを検討する。解決することのない厄介な問題を取り扱う公共領域の実践において、デザイナーはプロジェクトに長期間伴走し、時には組織の内部メンバーとして活動することもあり得る。組織内部の実行者として利害や制約に向き合うことになれば、自らの判断や価値観がより直接的に問われ、その姿は中立的な専門家像のみでは捉えきれない。事例の振り返りを通じて、デザイナーに求められる広範なスキルや共感をともなった意志が求められることを示す。
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ローカルな場における活動生成と属人性の受容
原田 泰, 南部 美砂子, 畠山 悟子
セッションID: A-02-02
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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本研究は、北海道森高等学校における授業「住生活デザイン」の実践を対象とし、ローカルな学びの場においてデザインがどのように生成されるのかを検討したものである。本実践では、あらかじめ定められた方法や技能の習得を目的とするのではなく、生徒と地域住民、教員、外部スタッフが協働しながらプロジェクトに取り組む中で、状況に応じた問いを見出し、試行錯誤を重ねていくことが重視されている。特に、個々人の経験や感覚、関心といった属人性を活動の出発点として受け入れ、それらが他者や環境との相互作用の中で変化しながら具体的な活動として立ち上がる点に特徴がある。こうした実践を通して、デザインは専門家による問題解決の技法ではなく、人々が関係を編み直しながら生活を形づくる営みとして捉え直される。また本研究は、このようなデザインのあり方が、認知と行為が環境や他者との関係の中で生成される過程として理解されるデザイン認知科学の視点とも接続することを示した。
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誰もがデザインする社会に向けた世界の変容可能性の発見
宮田 義郎, 鈴木 真帆
セッションID: A-02-03
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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約300名の大学生が,日常生活で必要なものを不要品を活用してデザインし制作した実践の過程で,素材や他者と関わりながら生活世界を再構築する過程の楽しさを発見した.さらに,不要品の可能性の発見や既製品を使わなかった経験が一般化されたことで,廃棄やエネルギー消費の抑制の可能性に気付き,自分の生活世界と社会との関わりの認識も生まれていた.このような気付きの過程で,切り離され固定化した世界観から,より流動的で関係的な世界観への変容が観察された.誰でも自らの生活世界をデザインする社会に向けて,このような世界観の流動化の意味を考察した.
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狛江ほこみちでのエスノグラフィーを通じて
太田 蒼良
セッションID: A-02-04
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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本研究は、全国の市で2番目に小さい東京都狛江市におけるエスノグラフィーを通じて、公共空間における市民参与の質的変容を明らかにするものである。狛江駅前のほこみちで実施した三つの実践(将棋盤の設置、定期ナイトマーケット「狛江夜市」、清掃活動「ほこみちそうじ」)に着目し、市民参与が「偶発的接触」「自発的参与」「継続的運営参加」という三段階で変容するプロセスを見出した。参与は設計された動線によってではなく、偶発的な接触を起点として生まれていた。この変容を促す条件として、参与の入口の偶発性、役割の可視性、そしてコンパクトな都市形態と中間的組織の自律性という構造的前提の三点を示す。
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仲沢 実桜
セッションID: A-03-01
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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本研究では、絵を描くことに抵抗を感じるグラフィック・ファシリテーション(GF)の初心者向けに、人物像を作成するためのツールを開発した。GFは対話を促進するが、事前の描画指導には多大な時間がかかることが少なくない。提案するステンシルを用いたこのツールにより、参加者は思考を具現化した人物像を作成することができる。AIに関する議論を行ったワークショップの結果から、このツールが参加者が比喩や空間的な配置を通じて複雑な価値観を表現するのを助け、事前の描画技術がなくても視覚的な記録と有意義に向き合うことを可能にすることが示された。
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─2080年デジタル脳相続を題材としたLARP実践研究─
鷲谷 佳宣, 池田 眞実, 上野 道彦, 富田 剛史, 畑中 貴久子, 林田 章吾, 本村郁美 郁美
セッションID: A-03-02
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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本稿は、スペキュラティブデザインにおける意味生成プロセスとしてのLARP(Live Action Role-Playing)の可能性を検討する。LARPをスペキュラティブデザインに用いる試みは既に報告されているが、多くは研究者がシナリオを設計し参加者はプレイに参加する形式であり、参加者自身が設計に関与する実践は限られている。また、プレイ中の体験に焦点が当てられることが多く、設計段階や省察段階での意味生成は十分に検討されていない。本研究では、2080年の「デジタル脳相続問題」を題材に、7名の参加者がシナリオと登場人物を約1ヶ月間かけて協働設計し、60分のロールプレイと省察を実施した。分析の結果、(1)設計フェーズでは概念的・構造的な理解が、(2)実践フェーズでは体験的・情動的な理解が生成され、(3)省察フェーズでは参加者間の認識ギャップが可視化され体験が洞察として言語化されることが確認された。LARPは、設計・実践・省察の各段階で異なる性格の意味が生成されるプロセスとして有効である可能性が示唆された。
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力関係が意味形成と評価に与える影響
田崎 咲絵, 安藤 昌也
セッションID: A-03-03
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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本研究は、商品開発におけるフィードバックや議論、レビューを包括して捉える「デザインクリティーク(DC)」を対象とする。DCは最終成果物の質に関わる重要なプロセスであるが、プロダクトデザインの分野においては十分に整理されていない。本研究では、DCの進行に着目し、参加者の力関係がどのように作用するかを検討する。そこで、企業の担当者および外部デザイナーを対象とした半構造化インタビューに基づき、再帰的テーマティック分析(Reflexive Thematic Analysis)を用いて再分析を行った。その結果、参加者間の力関係のあり方に応じて、DCにおける意味形成と評価の進行に差異がみられた。具体的には、力関係が均衡している場合、対話を通じた意味形成が先行し、その後に評価が行われる傾向が確認された。一方、力関係が非対称である場合には、意味形成が十分に行われないまま評価が早期に前面化し、対話が制限される傾向がみられた。これらの知見は、DCが意味形成を経て評価へと至るプロセスとして理解される必要があることを示している。
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― 社会価値創出に向けた場の類型化と制度設計のモデル化 ―
川合 俊輔, 蘆澤 雄亮
セッションID: A-03-04
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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本研究は、企業・大学・地域における共創空間の構造と課題を明らかにすることを目的とする。共創空間は拡大しているが、プロセスの分断や価値創出の不透明性など構造的課題を抱えていケースも少なくない。
インタビューに基づく質的分析の結果、共創空間は「機能特化型」「プロセス設計型」「生態系型」の概ね3類型に分類できことが判明した。また、共創は「空間」「制度」「関係性」の3レイヤーと段階的プロセスによって構成されることを仮説として生成した。
さらに、多くの共創空間は部分最適に留まり、関係形成と価値創出の間に構造的断絶が存在することをまとめた。
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―デュアルサイクルモデルの展開とデザインケイパビリティ活用のポテンシャル―
小田 裕和
セッションID: A-03-05
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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本稿は、組織の価値創造サイクルにおける「翻訳」構造を提案することで、デュアルサイクルモデル(小田他, 2023)を発展させる。ストーリーワークショップの質的分析を通じて、①経営の意図を現場行動に翻訳する「方針の翻訳」、②専門知を受益者体験に翻訳する「価値の翻訳」、③同僚間で実践知を共有する「実践知の翻訳」、④現場の違和感を意思決定に届ける「現場知の翻訳」という4つの意味再構成プロセスを同定した。組織の成熟とともに①②が標準化されると③④が「非効率」として構造的に抑制され、その結果として①②への主体性も失われ、価値創造サイクル全体が機能不全に陥ることを見出した。最後に、デザインケイパビリティが各翻訳構造の回復にどのように寄与しうるかについて仮説を提示する。
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AR技術による台湾日常風景の浮世絵美学的再解釈――異文化対話型インタラクティブ彩色システム
施 文礼, スー キャスリン
セッションID: A-04-01
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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本研究は、台湾の日常生活を浮世絵の美学に基づく新たな様式で再解釈するAR(拡張現実)インタラクティブ・アートシステム「福爾摩沙浮世繪」を提案する。浮世絵の造形原理――流麗な輪郭線、平面的な色彩構成、大胆なトリミング――を援用し、台湾の飲食・街並み・暮らしを描いた10点のオリジナル作品を制作した。美人画は現代台湾女性の化粧風景に、騎馬武士はバイクで都市を駆ける台湾人に、江戸の茶席は熱炒店の活気ある集いに翻案される。これは模倣ではなく、浮世絵の構図文法を尊重しつつ台湾の色彩と物語で満たす敬意ある翻訳である。技術面では木版刷りの工程に倣い「スキャン・分解・再構成」のARワークフローを設計した。利用者がモバイル端末で作品をスキャンすると画像認識により4~6層に分解され、物理作品が墨版、ARオーバーレイが色版として機能する。利用者は各層に自由に彩色でき、受動的鑑賞者から能動的共創者へと変容する。本研究は浮世絵を生きたデザイン言語として捉え、その美的哲学が文化的境界を超えて創造を促す可能性を示す。
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台湾王爺信仰の図像学をARで再解釈する異文化参加型創作システム
スー キャスリン, 施 文礼
セッションID: A-04-02
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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本研究は、台湾の王爺(ワンイェ)信仰における神像を、モジュール式の「視覚デザインシステム」として再定義する拡張現実(AR)対話型システムを提案するものである。
本システムでは、伝統的な聖像を「表情、甲冑、法具、印相、装飾文様、象徴的背景」という6つの意味層(Semantic Layers)に解体。利用者はモバイルARインターフェースを通じて、各構成要素の観察や再構築を行い、文化的な再解釈を試みることが可能となる。
民俗宗教の図像を単なる静的な遺物としてではなく、参加型デザインの枠組みとして位置づけることで、本システムは異文化間の対話を促進し、受動的な文化遺産の見学を「身体的な共創」へと変容させることを目指している。
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徳山 美結, 武藤 慎哉, 出原 立子
セッションID: A-04-03
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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本研究では、伝統工芸作品の魅力を高めるインタラクティブな展示手法を提案する。毎年金沢市では、伝統工芸の裾野を広げることを目的としたイベント「KOGEIフェスタ!」が開催されている。2025年度は新たな取り組みとして工芸とデジタルを組み合わせた展示が企画された。本研究にあたり、金沢市の金工作家・古田航也氏の作品Protectopusを対象として選定した。自在置物は関節が可動する特徴を持つが、従来の展示では触れることができず、その魅力を十分に伝えられないという課題があった。そこで本研究では、作品の世界観を拡張し、鑑賞者の興味を喚起するとともに体験的な理解を促すことを目的に、プロジェクションマッピングとセンサを用いた展示手法を設計・実装した。作品周囲にタコの動きや水中環境を映像として重ね、さらに鑑賞者の接近に応じて映像が変化するインタラクティブ表現を導入した。本展示は「KOGEIデジタルアートミュージアム」にて実施し、来場者に対してアンケート評価を行った。その結果、金属工芸の動く魅力や世界観の拡張に加え、作品理解の促進にも有効であることが示された。
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ライフプロジェクトに基づくデザインリサーチの再構築
山崎 和彦
セッションID: A-04-04
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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キャリアや働き方においても大きな変化が見られる。従来のように企業に所属し、その中で役割を果たすことが人生の中心となるモデルは相対化されつつある。代わりに、自らの価値観や関心に基づいて複数の活動を組み合わせる「人生中心」のキャリア観が広がっている。このような変化は、「Work as Life」という概念に象徴されるように、仕事と生活が分離されたものではなく、相互に統合されたものとして捉えられるようになっている。さらに、AIや自動化技術の発展は、個人が低コストでビジネスを立ち上げることを可能にし、ソロプレナーの増加を後押ししている。
このような社会的な文脈において、デザインの役割は従来の枠組みを超えて再定義される必要がある。すなわち、デザインはもはや専門家による問題解決の手段にとどまらず、人々の生活や関係性、さらには生き方そのものに関わる実践として理解されるべきである。本研究は、このような問題意識に基づき、「ライフプロジェクト」という概念を中心に据え、それに基づく新たなデザインリサーチの枠組みとして、「リサーチ・スルー・ライフ」を提示することを目的とする。
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林 睿思
セッションID: A-04-05
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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本研究は、人工物と生命の境界を再構築することにより、非生物に対する道徳的配慮や愛着を誘発する手法を模索するものである。物理的な恒常性を保ち、生物学的な死のリスクを持たない「造花」に着目し、動的な「痛みの信号」を実験的な媒介として用いた。フィールドワークの結果、対象からのネガティブな反応は、ユーザーの擬似的な罪悪感や当事者意識を顕著に喚起し、無機物を感受性のある存在として知覚させる傾向があることが明らかとなった。一方で、即時的な回復はユーザーから「介入の余地」を奪い、深い関係性の構築を阻害する要因となる。そこで、人間と人工物の間に新たな情緒的契約を確立するための手法として、「スロー・インタラクション」を提案する。
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李 卓然
セッションID: A-04-06
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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本研究は、デジタル時代における書籍の変容を検討し、歴史的展開を踏まえつつ、将来の「体験的書籍」のあり方を考察するものである。近年、読書行為はスクリーン上のインタラクションへと移行しつつあり、紙の書籍が有してきた触覚的・身体的経験は相対的に希薄化している。アーティストブックおよび関連実践の分析を通じて、書籍を物質性・知覚・身体的関与を統合する体験的メディアとして再定義する。さらに、プロトタイプの制作および観察を通じて、日常における「小さな幸せ」を喚起する新たな書籍形式を提案し、読書を単なる情報取得にとどまらない多感覚的体験として拡張する可能性を示す。
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下田 剛士, 山本 篤毅, 山城 恭子, 村下 美香, 木村 浩明, 濱田 織人, 浅井 由剛, 早川 克美
セッションID: A-05-01
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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本研究は、家庭系食品ロスの過半数を占める「過剰除去」のうち、特に野菜類における無意識な調理行動に着目し、意識と行動の変容を促す情報デザインの検討を目的とした。観察調査およびインタビューの結果、無意識の調理行動には、一時的な不注意による「うっかり」型と、可食部の認識不足に起因する「知らず知らず」型の2つの様態があることを明文化した。 特に「知らず知らず」型を、情報の欠如によって維持される行動と再定義し、トランスセオレティカル・モデル(TTM)における無関心期から関心期への移行を促す設計課題を設定した。具体的には、調理前のタイミングで可食部の情報を提示するため、擬人化表現とメッセージを用いた野菜パッケージをプロトタイプとして制作した。プロトタイプを用いて 成人26名を対象とした比較実験の結果、介入群において除去重量の低減傾向が確認されたほか、意識変化においては統計的な有意差が認められ、約6割の参加者に意識の更新が見られた。本研究の結果は、適切なタイミングでの情報提示と擬人化による受容性の向上が、日常の習慣化された無意識行動の再評価を促し、認知の更新を通じた行動変容に寄与する可能性を示唆している。
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心拍変動(HRV)による生理的指標の客観的評価と主観的尺度を用いた効果の検証
佐倉 寧音, 安井 重哉, 伊藤 精英
セッションID: A-05-02
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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現代社会における過度な認知負荷に対し、「受動的な休息」の必要性が高まっている。本研究では、意識的な努力を伴わずに「ぼーっとする状態」を誘発するため、1/fゆらぎを用いた反転フラップ式機構のプロトタイプを開発した。ゆらぎのある低速パターン(A)と等速の高速パターン(B)を比較した実験の結果、パターンAが副交感神経の回復(心拍変動)および主観的なリラックス効果を顕著に高めることが明らかになった。本研究は、アナログ機構を休息のためのメディアとして再定義し、情報過多な環境における精神的健康のための新たな設計指針を提示するものである。
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菊池 里香, 繁里 光宏
セッションID: A-05-03
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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本研究は、株式会社UACJとの産学連携プロジェクトにおいて、アルミニウムの認知向上を目的としたデザイン提案を行ったものである。まず、既存の啓蒙事例約80件を収集し独自のマッピングを作成することで有効な啓蒙の要素を分析した。その結果、ユーザーの関心を喚起するには、「物語性」および「エンタメ性」が有効であり、体験を通じた価値伝達が重要であると示唆された。初期段階では複数のアイデアを検討したが、中身のストーリーに依存する構造ではアルミニウム自体の特性が伝わりにくいという課題が明らかになった。そこで、素材の物理的特性に着目し、熱伝導性の高さを活かした「白湯たんぽ」を提案した。本提案は、白湯をキャップ付きアルミ缶で提供するアイデアであり、飲料としての機能に加え、手で持って温まるという身体的体験を通じてアルミニウムの特性を直感的に伝えるものである。アンケート調査により一定の共感が得られたが、認知向上への効果検証は今後の課題である。
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文化の祭典実行委員会の活動に着目して
新井 佑奈, 小早川 真衣子
セッションID: A-05-04
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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本稿は、任期が1年と短い学生組織において、運営実践の引き継ぎが困難である問題に着目し、その改善に向けた仕組みの共同デザインを目的とする。対象は千葉工業大学文化の祭典実行委員会であり、従来の引き継ぎが形式的で文脈を欠き、次代の構成員にとって自分ごと化されにくい点が課題として明らかとなった。そこで本研究では、先輩と後輩が対話を通じて実践知を共創する「場」の設計を提案する。その中核として、一人称的記述である「行動手記」に着目し、その構造と特徴を分析した。分析の結果、行動手記は状況や気づきを含む文脈的理解を促し、実践の追体験や自分視点の解釈を生じさせ、事象を自分ごととして捉えられる可能性が示唆された。これにより、単なる情報伝達ではなく、構成員が主体的に意味づけを行う引き継ぎが実現されると考えられる。今後は提案した場を実際の活動に導入し、その有効性を検証するとともに、第一筆者がいない状態でも場づくりが持続する状態をつくる。
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岡山県警アプリ「ハレノポリス」での実践を通して
山下 万吉, 齋藤 美絵子
セッションID: A-05-05
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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本研究は、警察が運営する防犯アプリにおける情報提示の優先順位とインターフェースデザインの関係について、岡山県警察の「ハレノポリス」の開発実践を通して示すものである。先行アプリの調査では、トップ画面での情報過多により必要な情報へ辿り着きにくいという課題があるのではないかと推察した。先行研究、大学生へのユーザーテストおよびヒアリング等の調査の結果、利用者にとって事件・事故等の地図上の発生場所よりも、発生有無や内容の即時把握を優先すべきであると考察した。また、メニューのスクロール機能の看過、多数のメニュー配置による重要情報への認知負荷など、UI構造上の課題も判明した。調査結果を踏まえ、岡山県警察の「ハレノポリス」のトップ画面では注意情報の有無が直感的に把握できる構成とし、色彩やピクトグラムを整理した、全体的にシンプルな印象のビジュアルデザインを提案した。さらに、岡山らしさを表現する色彩計画を取り入れることで、信頼性と地域性を両立したデザインを試みた。
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ゼーディ アールージ, Yamaoka Junichi
セッションID: A-05-06
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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本研究は、タンジブルな学習システムが、研究者から教師へのファシリテーションの移行をどのように支援できるかを、学校における放課後活動の文脈で検討するものである。本稿では、リアルタイムの視覚的フィードバックを備えた構築型システム「タンジビルド」を提案する。2つの小学校での実践(構造化活動および自由遊び)を通して、教師がシステムのフィードバックを活用しながら学習者の行動や相互作用を支援し、より自立した教師主導のファシリテーションが可能となる様子が観察された。
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形状・素材・文様・色彩を中心に
呉 卓桐, 青木 宏展, 植田 憲
セッションID: A-06-01
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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本稿は、中国チベット自治区シガツェ市ギャンツェ地域において制作・使用される伝統的敷物「カデン」を対象とし、その形態的特質を明らかにすることを目的とする。カデンは寒冷な高原環境のもとで保温のために用いられると同時に、日常生活や儀礼において広く使用される生活用品である。しかし従来研究は制作技術に偏り、生活実践との関係は十分に検討されてこなかった。本稿では、実物資料150点の観察および聞き取り調査に基づき、形状・素材・文様・色彩の四側面から分析を行った。その結果、第一に、カデンの形状は身体尺度と生活様式に対応し、「座る」と「横になる」という行為に適合する寸法として構成されていることが明らかとなった。第二に、素材は地域資源と生業構造に基づき、羊毛・ヤク毛といった在地資源に加え、綿糸は交易を通じて導入されたものであり、時代的変化が反映されている。第三に、文様および色彩には宗教的象徴と生活に対する願いが表現されるとともに、外来文様の再解釈が確認される。また色彩の使用には場面に応じた区別がみられる一方、日常空間にも宗教的意味が取り込まれている。以上より、カデンは当該地域の生活文化を物質的側面から表出する存在であり、身体・資源・意味の三側面において構成されていることが示された。本稿はその基礎的整理を行うものであり、今後は使用実践や儀礼的側面を含めた総合的理解が求められる。
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中国湖南省桃源県における聞き取り調査に基づいて
楊 夢妮, 青木 宏展, 植田 憲
セッションID: A-06-02
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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本稿は、中国湖南省常徳市桃源県の民家にみられる伝統的寝台「彫花床」を対象とし、民家調査および聞き取り調査に基づいて、住空間におけるその中心性を考察したものである。彫花床の中心性は、三つの点から捉えることができる。第一に、寝室内で居住条件に配慮した位置に据えられるとともに、床体と廊廡による階層的な構成を通して空間の最奥部を成していること。第二に、起居・労働・休息の反復のなかで、日々の出発と帰還のリズムを支える拠点となっていること。第三に、出産や葬送といった人生の節目において重要な場となること。こうした中心性が、空間への配置と実践の反復を通して形成されるところに、彫花床にみられる空間意匠が成立している。
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秋田県仙北地域の高齢女性への聞き取り調査を中心に
易 前燚, 張 思琦, 南 友基, 田村 隼, 仁木 俊平, 中村 涼太郎, 青木 宏展, 植田 憲
セッションID: A-06-03
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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本稿は、秋田県仙北地域において人びとの生活において営まれてきたドブロクの醸造の実態を明らかにすることを目的とする。得られた知見は、以下のとおりである。第一に、ドブロクの醸造は、原料の標準化が進んだ酒の製造とは異なり、身近に得られるものに人びとが継続的に手をかけながら営まれてきたものであり、人びとの日常生活に欠かせない一部であった。第二に、ドブロクの醸造は十日余りにわたり、人びとが日々その状態を気にかけながら見守ることで進められた。 第三に、手づくりされてきたドブロクは出来具合に応じて多様に活用され、そこには資源の全体を活用する生活の知恵が表出している。
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神奈川県藤沢市における市民アンケートに基づく地域資源認知と回遊構造の分析
山本 快, 小島 仁志
セッションID: A-06-04
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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本研究は,すごろく形式の枠組みを用いて,藤沢市における地域資源の認知構造を明らかにすることを目的とする。アンケート調査(N=358)を実施し,主観的評価,資源認知,および空間的関係性の観点から分析を行った。
その結果,認知は江ノ島に代表される沿岸部の象徴的資源に強く集中している一方で,内陸部および北部の資源は十分に認識されていないことが明らかとなった。また,地域への愛着は認知される資源の量および多様性の双方と関連していることが示された一方,居住年数との関連は弱いことが確認された(r=0.27)。
さらに,すごろく形式は空間的関係性の可視化に有効であり,回遊を誘導することにより,資源認知の再編成を促進する手法として機能することが示唆された。
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A市における実践事例より子どもの声が公共圏へ接続される構造に着目して
西山 朋代, 五百蔵 咲季, 石塚 胡春, 今橋 萌乃佳, 太田 来和, 湧口 朋, 上須 道徳
セッションID: A-06-05
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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本研究は、子どもの意見を施策に反映する取り組みにおいて、その生成から政策接続、フィードバックに至る一連のプロセスの構造と特徴を明らかにすることを目的とする。近年、こども基本法の制定により子どもの意見反映が求められているが、意見聴取後の整理・分析や政策過程への接続、さらには子どもへの還元のあり方については十分に検討されていない。本研究では、A市における自治体と大学の協働による意見聴取プロジェクトを対象に、実施記録やアンケート、それらへの混合アプローチの結果等を用いて分析を行った。その結果、子どもの意見は、事前準備・意見形成、生成・収集、整理・分析、行政への接続、フィードバックという5段階のプロセスを経て公共圏へ接続されていることが明らかとなった。また、学校・大学・自治体といった複数主体の役割分担と、意見の段階的な変換がプロセスを支えていることが示された。以上より、子どもの意見反映においては、意見聴取にとどまらず、一連のプロセスとそのデザインが重要であることが示唆された。
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清水 彪太郎, 佐藤 弘喜
セッションID: A-06-06
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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本研究は、計画都市つくば市における新旧住民の関係性を明らかにすることを目的とする。つくば市は研究学園都市計画期やつくばエクスプレス開通期など複数回の人口流入を経て形成され、異なる価値観や生活様式を持つ住民が重層的に存在している。インタビュー調査の結果、新旧住民の間には明確な差異が見られ、新住民は利便性や効率性を重視し地域との関わりが希薄である一方、旧住民は地域コミュニティを重視する傾向が確認された。交流センターでは共通の関心を基盤とした接点が存在するが、その多くは講座内に限定された一時的・個人的な関係にとどまっている。以上より、新旧住民の分断は価値観の違いに加え、短期間に繰り返された人口流入による関係構築時間の不足という構造的要因に起因すると考えられる。今後は、個人的な接点を地域全体へと拡張する仕組みの検討が求められる。
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久保 圭輔, 飯塚 恵, 坂倉 杏介, 青嵜 直樹
セッションID: A-06-07
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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現在日本では、少子高齢化と人口減少に伴い地域社会の担い手不足が深刻な課題である。引地ら(2009)によると、居住年数が地域の愛着形成に与える効果は小さいことが示唆されている。そのため、居住期間に関わらず、住民自身が言語化しにくい曖昧な地域の良さを実感できなければ、地域の衰退は加速する懸念がある。こうした課題に対し地域住民の意識を高める取り組みは数多く実践されるものの、実際の有効性を検証する例は多くない。本研究では、地域住民が曖昧な地域の良さを自覚することを促すため、よそ者である学生が広報的な魅力ではなく、地域住民の日常生活にある等身大の良さを探索しポスターを制作するワークショップを仮説的に設計し、参与観察およびインタビュー調査に基づいて有効性を検証した。 インタビュー調査の結果、ワークショップを通じて「なんかいい」という共有知が醸成され、住民自身の暮らしや仕事に対する自己理解が深まるとともに、意識や暮らしの変化が見られた。以上により、本ワークショップが住民の地域の良さに対する自覚を促す一助となることが示唆された。
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Arana Claudia
セッションID: A-07-01
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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本研究は、日本におけるサステナブル・ファッション研究および教育の現状を検討し、その発展が断片的であり、廃棄物削減などの物質的・環境的側面に強く偏っている点を明らかにする。カリキュラム分析および教員の視点に基づき、制度的支援の不足、サステナビリティ概念の限定的な理解、ならびに学際的アプローチの欠如といった主要な障壁を指摘する。さらに本研究は、地域に根ざした実践や文化的視点を取り入れることで研究の拡張を図る必要性を論じ、多様で文脈依存的なアプローチの統合が、ファッション教育におけるより包括的かつ効果的なサステナビリティの実現に不可欠であることを強調する。
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展覧会の実践から少し離れて
小形 道正
セッションID: A-07-02
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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本発表では美術館で開催されるファッション展を「デザイナー/ブランド展」「歴史衣裳展」「コンセプチュアル展」の3つに整理し、とりわけコンセプチュアルな展覧会の現状と可能性を論じる。近年の「コンセプチュアル展」は大規模な収蔵を前提とする海外の美術館を中心に、たんなる衣服の展示にとどまらず、人間の心理や人種やジェンターなどの社会問題について問い直す。日本では「LOVEファッション――私を着がえるとき」展が挙げられ、本展では①人間の内なる欲望と②ファッションを展示する行為そのものへの問いという2つの意図を持って実践された。特にマネキンを用いない展示手法や、東京会場でのキャプションや解説の撤去など実験的な試みを行った。日本では「コンセプチュアル展」は依然少なく「デザイナー/ブランド展」が中心だが、それぞれの展覧会の意図を区別して理解する必要がある。財政的制約の中で「コンセプチュアル展」の実施は困難になりつつある。しかし、「なぜ人間は衣服を着るのか」という根源的問いを提示し、衣服と人間の関係について再考を促す点において「コンセプチュアル展」は研究、展覧会そして我々の生活に重要な示唆を与えてくれる。
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『国民服の考案』と服飾デザインを手がかりに
西 晃平
セッションID: A-07-03
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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本発表では、1940年に国家政策として取り組まれた国民服の制定に注目する。国民服は、懸賞によってデザインが募集された後、さまざまな被服協会関係者、国の執行機関、軍などが関与しながら制定に至った。そのため、国民服の制定において個人の明確な役割を抽出することは困難である。そこで本発表では、その取り組みの中で中心的な人物の一人として活動した斎藤佳三に着目し、彼の思想が国民服にいかに反映されているのかを、発表者がこれまで研究を進めてきた1930年代頃までの斎藤の芸術観や服飾デザインに加え、斎藤によって書かれた『国民服の考案』、国民服のデザインをもとに明らかにする。そして、国民服の実現が斎藤の志した生活芸術の結実にどのように関わるのかを考察する。国民服における素案やデザインで具体化された日本的なデザイン、機能性、衛生性、規格化や経済性を含む合理性は、初期からの斎藤の思想を少なからず継承していたと言え、国民服の実現は、斎藤の志した生活芸術や生活の合理化が国家政策の中で反映された一例であると考えられる。
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『VOGUE』米国版表紙の分析
伊田 博光, 柿山 浩一郎
セッションID: A-07-04
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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本研究では、ファッション雑誌表紙に表れる社会的メッセージに着目し、『VOGUE』米国版表紙を対象として、その歴史的変遷と日本の作り手・読み手による受け取られ方を検討した。表紙は単に衣服や流行を提示するだけでなく、複数の主体の編集過程を通して社会的メッセージを視覚的に構成する編集装置として機能してきた。そこで本研究では、表紙アーカイブの通時的内容分析、作り手および読み手へのインタビュー、視線行動分析を通して、表紙に表れる社会的メッセージの存在とその表れ方、ならびにそれに対する日本の作り手・読み手の捉え方を検討した。その結果、『VOGUE』米国版表紙には社会的メッセージが認められ、日本の作り手が想定する表紙の意味づけと、読み手の受け取りのあいだには一定のずれがみられた。また、読み手の事前知識が注視傾向に影響する可能性が示唆された。以上より、VOGUE表紙は、読み手ごとに異なる解釈を生みうる視覚表象として捉えられる。今後は、この解釈の差異とメッセージ理解との関係をさらに精密に検討する必要がある。
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学園創立記念誌編纂を契機として
鈴木 桜子
セッションID: A-07-05
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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発表者は、所属する杉野学園が創立100年を迎えるにあたり学園史編纂に携わったことを契機として、アーカイブに関する諸課題に直面した。杉野学園は、日本の近代化の流れの中で他の洋裁学校とともに中核を担い、洋装化を推進してきた教育機関である。その意味において、創立以来蓄積されてきた多様な教育関連資料(学園組織文書、学内刊行物、教本、課題成果物、教員・学生作品、写真、映像資料等)は、ファッション教育史における重要な歴史的資源である。学園史自体、教育史のみならず、ファッション史、デザイン史、文化史、産業史にも繋がり、それらが交差するアーカイブの性格を持つことになる。
こうした多様な資料を単なる保存対象としてではなく、後世に継承可能なアーカイブとして体系的に整理し、保管と活用へとつなげていくことが重要な課題となる。そこで学園資料のアーカイブ化に向けた4つの基礎的整理をあげることから検討を始めたい。
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武蔵野美術大学と中央美術学院との特別共同授業プログラムを対象に
楊 心苡, 路 梦瑤, 陳 蔚, 若杉 浩一
セッションID: A-08-01
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
会議録・要旨集
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現代社会は、ジェネレーティブAIをはじめとする急速に進化するテクノロジーと視覚的に情報過剰な環境により、複雑で予測不能な状況を迎えている。本研究は、このような時代においてデザイン教育が「ものづくり」から「意味づくり」へ移行する中で、身体的経験を伴う写真行為をデザインリテラシーの実践として捉える可能性を検討した。 2025年4月に武蔵野美術大学で実施した中央美術学院(CAFA)学生向けワークショップ「Embodied Observation」を事例に、カメラという装置との融合を逆手に取った写真実践を分析した。参加者は短時間で200枚の写真を撮影した後、シークエンスづくりを通じて自らの経験を編集・意味化した。 その結果、大量撮影の過程では参加者が意図せずに都市空間の断片を選択・接続する無意識的な都市編集行為が生じており、シークエンスづくりではこれが意識的な編集的思考へと発展し、「意味づくり」を促すことが明らかになった。この一連のプロセスは、知覚の再編成と編集意識の醸成を通じて、デザインリテラシーの実践として機能する。 本研究は、視覚的に飽和した現代において、身体的経験を伴う写真行為が単なる表現技法ではなく、都市環境を能動的に読み解き、再構成する都市編集的な実践となり得ることを示した。これは、加速する社会の中で人々が自らの視点で意味を創出し、主体的に環境に関わる力を育む、新たなデザイン教育の方向性を提示するものである。
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武蔵野美術大学と中央美術学院(CAFA)との特別共同授業プログラムを対象に
路 梦瑶, 楊 心苡, 陳 蔚, 若杉 浩一
セッションID: A-08-02
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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本稿は、場所とそこにある雰囲気への感知とエスノグラフィー的記録を軸に、現実の場所に関わりながら経験を構造化するデザインリテラシーの実践的枠組みを提示する。武蔵野美術大学と中央美術学院との共同ワークショップにおいて、24名の参加者が都市エリアを歩き、200枚以上の写真撮影と記述を行い、30枚を選別・配列して シークエンスとして再構成した。分析の結果、身体的な場所への関与が微細な差異や雰囲気への注意を喚起し、断片の選別・配列・記述が経験を共有可能な構造へと編成する編集的実践として機能していたことが確認された。同時に、参加者が自分の感知を既存の語彙へと早期に回収される傾向も示された。これらの知見から、感知・記録・編集の連鎖に基づくデザインリテラシーの形成が、生成AI以降のデザイン教育において基礎的な実践となりうることを論じた。
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—散走プロジェクトにおける〈体験—編集—表現〉モデルの検証—
田邉 雄一
セッションID: A-08-03
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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本研究は、「体験・編集・表現」からなる体験再構成プロセスに基づくデザイン教育モデルを検証するものである。事例として、地方自治体と連携して実施された散走プロジェクトを分析した。学生は、試走、記録、情報整理、SNS発信、マップ制作などの実践を通じて、地域の魅力を再構成し発信した。その結果、このプロセスが学生の視点形成や情報編集力の向上に寄与することが示唆された。本研究は、体験学習と社会実装を結びつけることが、デザイン教育において有効であることを示している。
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徐 慧
セッションID: A-08-04
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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本研究は、AI時代における東アジア漢字文化圏における概念的思考力の低下について検討するものである。デジタル環境の拡大と漢字使用の減少は、抽象的概念理解および意味処理能力に影響を及ぼす可能性がある。日本、韓国、中国の比較分析を通じて、漢字リテラシーの変化が概念語彙、AI活用能力、批判的思考にどのような影響を与えるかを考察する。さらに、漢字リテラシーが概念的思考を支える認知的基盤として機能する可能性を示し、AI時代における新たな漢字教育の必要性を指摘する。
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中区大学拠点の実践と拡散を中心に
張 英裕
セッションID: A-08-05
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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本研究は、台湾における生活美感教育の展開を対象とし、2013年に開始された「統合型視覚形式美感教育実験計画」以降の実践を分析するものである。特に中区大学拠点の取り組みに着目し、美感教育がいかに地域社会へ普及し、教育現場に定着していったかを明らかにする。分析の中心は、美感教育の理論的枠組みである「1(秩序)+6(色彩、質感、比例、構成、結構(structure)、構造(Construction)」の形成と展開にある。この枠組みは、従来の要素分解的理解から統合的認識への転換を示し、学習者が生活環境を総合的に捉えるための基盤として機能している。さらに本研究は、中区拠点における教育実践の蓄積を通じて、知覚から思考への発展プロセスを検討する。すなわち、美感の認識が環境への気づきを促し、改善意識を経てデザイン思考へと展開していく過程を明らかにする。以上より、本研究は、美感教育が単なる芸術教育にとどまらず、市民の認知枠組みを再構築し、現代社会における公民的素養の形成に寄与する可能性を示すものである。
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デザインに対する納得感と制作意識の変容に関する事例報告
佐藤 暁子, 宮田 一乘
セッションID: A-08-06
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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研究成果を効果的に発信し、周囲の理解や助言を得ることは研究の深化に不可欠である。しかし、多くの学生はポスター制作において「センス」や「主観」に頼らざるを得ず、判断基準の欠如による迷いを抱えている。本研究は、客観的データに基づくデザイン教育が、学生の制作時の迷いを低減し、聴衆を意識した情報設計を可能にすることを目的とした。手法として、著者らが実施したアイトラッキング閲覧実験や既発表ポスターの主観評価調査など、客観的エビデンスに基づくデザインレクチャーを受講生18名に実施した。その結果、88.9%が本手法に説得力を感じたと回答し、自由記述からは、デザインを単なる装飾ではなく、情報を咀嚼・伝達するための機能的なツールとして再定義するマインドセットの変容が確認された。あわせて、生成AIの利用実態(利用率88.9%)についても調査を行い、多くの受講生がAI生成物を自律的に取捨選択して活用している現状を確認した。本知見は、エビデンス提示がAI活用の判断基準(審美眼)を支える教育的知見として機能することを示唆しており、理系学生に対する新たなデザイン教育モデルとしての可能性を有している。
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クラフトビール商品化プロジェクトを通して
葛原 俊秀, 小田 敬子
セッションID: A-08-07
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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本研究は、地域のブルワリーとの協働によるクラフトビール商品開発プロジェクトを通して、視覚デザインにおける実践的教育プログラムを検討するものである。本プログラムでは、調査、コンセプト立案、デザイン表現、商品化、販売に至る一連のプロセスを学生が経験した。3商品が実際に商品化され、購入者および参加学生からフィードバックを収集した。その結果、情緒的なコンセプトは複雑な概念よりも効果的に伝達される傾向が確認された。また、実在の関係者との協働および商品化の経験が、デザインプロセスの理解を促進したことが示唆された。これらの結果は、社会と接続したPBL型視覚デザイン教育モデルの有効性を示すものである。
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三星 安澄, 愛甲 香織, 岡本 雄太郎, 片岡 龍之, 僧野 大介, 浅井 由剛, 早川 克美
セッションID: A-09-01
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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本研究は、現代社会における人間関係の希薄化と孤立の進行を背景に、「旧友との再接続」を社会的資源として捉え、その行動を支援するデザインの有効性を検証したものである。成人期以降の新たな友人関係の構築が高コストである一方、過去に関係を持った旧友は低コストで心理的安定や自己肯定感の回復に寄与する可能性がある。しかし実際には、再接続を望みながらも行動に移せない人が多い。本研究では、記憶想起と自己内省を段階的に促すノート型プロトタイプ「I-NOTE」を設計し、行動変容ステージモデルや筆記開示法、ノスタルジアの知見を基盤として介入を行った。実験の結果、社会的自己効力感(PSSE)は有意に向上し、約23%の参加者が実際に旧友へ連絡する行動を示した。また、行動に至らない場合でも「いつでも再接続できる」という心理的準備性の向上が確認された。一方で、過去の想起による心理的負担も一部で報告され、倫理的配慮の重要性が示唆された。以上より、本研究は「過去の関係の再活性化」による孤独対策として、個人の自律性を尊重する「待つデザイン」の有効性を提示するものである。
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―社会関係の「ほつれ」を観察する三つのデザイン実践―
中田 智也, 岩嵜 博論
セッションID: A-09-02
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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日本では寄付文化の未成熟が指摘されてきたが、その説明は税制や所得、制度設計など個別要因に偏りがちである。本研究は、寄付の問題を「行為の不足」ではなく「社会関係のほつれ」として捉え直し、寄付行為を対象とした構成的デザイン研究の方法論的可能性を検討する。具体的には、未来ギフト、意味通帳、納税ガチャという三つのデザイン実践を、寄付を成立させる関係条件を観察する装置として位置づけ、横断的に分析した。その結果、寄付は単独の動機ではなく、未来・意味・制度という複数の関係が編み直される局面で立ち上がることが示唆された。以上より、本研究は、社会課題に対してデザインを即時的解決策として提示するのではなく、関係構造を可視化し理論生成へ接続する方法として位置づけうることを示した。
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暮らしの観察と編集による実践的リサーチ
中山 華琳, 津田 和俊
セッションID: A-09-03
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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本研究は、情報過多でスピードの速い現代社会において、生活の中で失われつつある「間」のあり方を、大学生の暮らしの観察と編集を通して明らかにすることを目的とする。「間」を空間的・時間的・心理的に生まれる余白として捉え、京都府内の五大学に通う20名の大学生を対象に、住居訪問によるインタビュー調査をおこなった。調査の結果、対象者は情報やタスクの速さに流されながらも、日常の中で意識的に「間」をつくり出す実践を行っていることが明らかになった。これらの実践は、時間のリズムの調整、スピードから距離を取る行為、心の余白を育てる工夫の三つに整理された。さらに、調査結果をもとに冊子、ワークショップ、展示を制作・実施し、「間」の実践を共有する試みをおこなった。その結果、行動を強制しない形で生活を振り返るきっかけを提供できることが示された。本研究は、「間」を生活感覚の再編集として捉え、デザインが人々の暮らしの感じ方に介入しうる可能性を示すものである。
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宇宙生活におけるデザイン領域の先行思案
坂口 和敏, 野中 朋美, 白坂 成功
セッションID: A-09-04
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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有人宇宙活動の目的が「生存」から「生活」へと転換する中、身体的・精神的・社会的な「宇宙QOL」の向上はデザイン学の喫緊の課題である。しかし、微小重力環境は1G下の物理法則を前提とした既存のデザイン理論が適用できない「未経験の文脈」であり、デザイナーとユーザーの双方に経験知が欠如している。
本研究は、中川(2025)の物理的・機能的原則と、尾登(2011)の身体的・感性的アプローチを継承し、Buchanan(2019)の「デザインの4つの秩序」を理論的枠組みとして用いることで、微小重力下におけるデザイン領域の体系的な検討を試みた。先行研究が主眼を置いたプロダクトや空間(第1・第2の秩序)の知見を基盤としつつ、本稿ではそれらを活動(サービス)や社会組織(システム)といった高次の領域(第3・第4の秩序)へと拡張・統合した。 結論として、微小重力下の物理的制約を「重力からの解放」という新たな価値へ転換するデザインの可能性を論じた。本研究は、未知の環境における生活システム全体の設計に向けたデザイン学の新たな地平を拓く「先行思案」としての意義を持つ。
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相野谷 威雄, 笠松 慶子
セッションID: A-09-05
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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本研究は、UXデザインおよびプロダクトデザインにおける設計対象の再定義を目的とし、「エンパワメントデザイン」を提案する。現在のUXデザインは使用者を「経験の受け手」として位置づけ、体験の質の最適化に主眼を置いてきた。しかしこの枠組みでは、使用者が本来もつ力・意思・能力(もてる力)を発揮できているかという問いは設計の射程外に置かれている。 本研究はこの問題に対し、設計対象をモノ・コトからさらに拡張し、人・行為・人工物・目的の間の「関係」として捉え直す。エンパワメントデザインとは、使用者のもてる力が活きる関係を設計する方法論であり、看護のエンパワメント論およびSenのケイパビリティ・アプローチを理論的基盤とする。 主体性の発現条件として、①知覚可能性、②行為可能性、③役割獲得可能性、④社会的承認の4階層モデルを構築した。色覚特性ユーザーのための焼き肉トングを事例として分析し、条件①への設計的介入が条件④まで連鎖的に作用し、使用者が社会的役割を獲得できることを示した。本提案はAI時代における人間のもてる力の設計可能性を示す理論的基盤である。
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ラフ集合分析手法によるデザイン要件抽出とプロトタイピング
林 秀紀
セッションID: A-09-06
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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本研究は,高齢者のヘルスケア支援を目的としたアクティビティ・トイのデザイン要件を明らかにし,その要件に基づくプロトタイプの検証を行うことを目的とする。既存のアクティビティ・トイ10点,新規候補25点,2024年度グッド・トイ賞受賞玩具30点の計65点を対象に,ラフ集合決定ルール分析法を用いて分析を行った。その結果,「指の使用」「感覚的な思考特性」「4色以上の配色」「木材」「ゲーム性」「2人以上での利用」といった要件が高齢者向けアクティビティ・トイにおいて重要であることが示された。得られた要件を基に,運動機能,認知機能,およびコミュニケーションを促進する玩具プロトタイプを制作した。今後は高齢者ユーザーによる実使用を通じ,そのヘルスケア効果の検証を行う予定である。
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