日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第51回研究発表大会
セッションID: G11
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大正
森谷延雄、型而工房、商工省工芸指導所椅子の規範原型制作班の家具の標準化から
*敷田 弘子
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抄録

本論は、「標準」という概念の変遷についての考察を、家具、特に椅子の標準化から行おうとするものである。この考察にあたって、それぞれ家具の標準化を行い、かつ人的・方法的継続性を持つ森谷延雄、型而工房、商工省工芸指導所椅子の規範原型制作班を取り上げた。この3者は、1920年前後に始まる生活改善運動から発生した共通条件の下、家具の標準化を行っている。しかし、それぞれの標準化の結果表れる「標準」には性格と目的の相違が認められる。目的の相違は、1920年前後に始まる生活改善運動の観点の下、生活の向上を目指した私的な領域をベースとする「標準」から、日中戦争勃発後の戦時体制下、人々の生活を最低のラインに統制する国家主導の「標準」へのスライドに示される。性格の相違は、私的な領域の中で浮かび、それぞれことなる動機や影響、アプローチの方法を取り、森谷延雄はサンプル、型而工房は「定型」、規範原型制作班は「典型」としての「標準」を提出しているのである。このように「標準」は、デザインが意図されるところを如実に示す重要性があるのである。

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© 2004 日本デザイン学会
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