「橋」は第一次大戦前のドイツで、紙の規格統一を推進した組織として、主に情報学やメディア論の分野で知られている。この報告では、グラフィックデザインの観点から橋の活動の特徴を検証する。考察において、以下の点が重要な特徴として導き出された。橋の目標は、情報化社会の確立にあったと言えるが、橋の活動の1つとして体系的な広告デザインの組織化の提唱があった。また橋の印刷物のデザインにも同様な組織的手法が用いられていた。こうした特徴は、橋がすでに合理的なデザイン方法を実践していたことを示している。「橋」は関連団体との連携活動を行ったが、特に「ポスター愛好家協会」および「ドイツ工作連盟」が重要な団体であり、それらは、部分的に紙の規格統一案を受け入れていた。しかし、全体としては橋のデザイン思想は十分受容されたとは言い難かった。