日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
セッションID: D9-03
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文楽の技術を適応するロボットの感情表現メカニズム
*中川 志信檜垣 智也蔡 東生董 然劉 飛
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抄録

文楽人形は生命感のある感情豊かな表情や表現を,演者による音や動きの演技演出デザインで創造している。17世紀から継承される文楽の演技演出デザインには,定量的に研鑽された型(デザインパターン)が潜在する。これらをロボットに適応して,人間以上に感情豊かなロボットを創造する研究を継続している。

 本稿では,人が無意識に錯覚することを利用した文楽人形遣いの技と,感情表現の動きに音を加えた文楽のメカニズムを明らかにし,ロボットに適応できる演技演出デザイン法則の創出が目的である。人の無意識の錯覚では,人のメンタルモデルを壊し無意識に多くの情報を提供する人形にしかできない動き,動きに敏感な周辺視野を利用した錯覚の仮説を提示した。文楽における音(テンポと旋律)と動きの調査から,先ず,音のテンポと人形の動きが,日本の伝統芸能の基本である速度の3区分「序破急」パターンになっていること,次に,太夫の語りの音高変化と人形の部位ごとの動きの変化が同期していることを明らかにした。

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© 2019 日本デザイン学会
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