抄録
共生社会の実現が求められる中、障害当事者の視点を政策やデザインに反映する重要性が高まっている。しかし現状では、市民団体や当事者が政策形成に直接参加する具体的プロセスが明確化されていない。本研究では、脳性麻痺の保護者団体が政策提言を通じて行政や政治を動かした事例を質的に分析し、インクルーシブ・デザイン視点によるソーシャルイノベーション創出プロセスを明らかにすることを目的とした。 事例研究では、当事者同士のネットワーク形成やメディア活用、専門家や政治家を巻き込んだ政策介入プロセスを検討した。その結果を基に、社会課題解決を継続的かつ主体的に推進する「当事者主導型フレームワーク」と行政や政治など公共セクターとの協働を促進する「共創型フレームワーク」の2つの実践的手法を開発した。 さらに、脳性麻痺児の就学問題に関する調査では、アンケートを通じて就学相談プロセスにおける情報非対称性を分析し、提案フレームワークを用いて情報共有の促進策と政策共創の実践的可能性を示した。本研究の成果は、障害当事者や市民団体が主体的に政策形成に関わるプロセスを具体化し、共生社会の実現に向けた政策的示唆を提供するものである。