デザイン学研究
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近隣住宅地における子供の遊び環境 : 遊び行為と利用される空間・モノとの関係
内藤 裕子
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1987 年 1987 巻 61 号 p. 5-12

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抄録

本稿は,近隣住宅地および周辺街路においての子供の遊び行為をフィールド・サーベイし,遊びに利用される空間およびモノの使われ方の現状を明らかにするものである。ここでは,抽出した空間およびモノを,空間形状,装置,素材,雰囲気の四種の評価項目に分類し,考察を加えた。空間形状においては,多くの遊びが,街路と小広場を複合的に使って,遊びを成り立たせている。装置は,遊びのきっかけとなり,遊び行為を誘発させ,遊び行為を介助する道具的役割を担い,遊び方を変化させる。素材は,遊び行為を助け,内容に魅力を与える。素材そのものがあって初めて成り立つ遊びもある。雰囲気は,想像力を高め遊び全体の内容を盛りたてる。さらに,街路を中心とした上記の要因の複合的使われ方により,遊び行為の活性化が生じることが観察された。よって,子供の遊びにとっては,近隣住宅地および周辺街路が重要な場となっていると言える。

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© 1987 日本デザイン学会
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