1989 年 1989 巻 73 号 p. 51-56
企業における製品開発にとって,デザインの能力と重要性が認められるにつれ,その活動内容も広範囲にまで及び,新たなデザイン開発における問題が発生し始めている。本小論は,企業内デザイン活動に内在する多くの諸問題をデザインプロセスに沿いながら明らかにし,製品開発を行う上で必要となる概念の生成のための現実的で有効と考えられる手法を考察したものである。その結果,実際のデザイン開発において応用された手法事例から,手法的特質を解明し,インハウスデザインが問題解決手法に求める機能と内容を明確に示すことができた。(1)デザイナーの直感・アイデア・思考を構造化し認識するために。(2)デザイン意図を他部門に理解させる共通言語的手段として。(3)デザイン提案の正当化と,十分なコンセンサスを得るために。(4)デザイン提案の検証と,新たな開発への着想を得るために。