本研究は、方向感覚の個人差の視点から街路空間の連続的認識について議論する事を目的に行った実験の報告である。実験は格子状の街区で行われた。被験者数ha19名(男性13名、女性6名)であった。実験前に被験者には来街経験と、道に迷う程度について質問した。被験者は実験地で25分間の自由散策行動を行った。被験者の経路選択時のプロトコルデータ、撮影写真と認知地図、歩行経路行動を分析した結果、空間認識のレベルが高い被験者は、街区の全体的な空間構造を把握して移動するため行動範囲が広かったが、空間認識のレベルが低い被験者は、街区の全体的な空間構造を把握していないため、自己の行動範囲が制限され、行動範囲が狭かった。このことから都市における空間構造の明確化と、それを分かりやすく示すサインをつくることが、空間認知度の低いグループの行動範囲を拡大し、既存の都市のレジビリティを向上させる有効な方法となることが分かった。