デザイン学研究
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エレベータ「開閉」サインに関する識別容易性の評価
延 明欽原田 昭
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2003 年 50 巻 2 号 p. 63-72

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抄録

本研究は、エレベータの「開閉」サインの識別容易性を実験により評価したものである。研究目的は、英語、漢字、矢印という3つの類型のサインの中で、どのサインが識別しやすいか、識別容易性に影響を及ぼす要因は何かを、究明することであった。実験のタスクは、人がエレベータに乗ったり降りたりするシーンを被験者に提示し、その状況に相応しいサインを選んでもらうことであった。実験結果、英語の「OPEN/CLOSE」サイン、漢字の「開/閉」が「OPEN/CLOSE」より識別しにくかった理由を究明するため、「押/引」と「Push/Pull」サインを比較するドア実験を行った。その結果、形状が似ている「Push/Pull」サインの法が識別しにくいことが明らかとなり、サイン形状の類似性が識別に影響を及ぼす重要な要因であることがわかった。また、英語圏の被験者は英語サインを、漢字圏の被験者は漢字サインをよく識別したことから、文字に対する「慣れ」も重要な要因であることがわかった。そして、矢印サインが識別しにくい原因や状況提示の重要性などを考察したうえ、エレベータ・サインの識別容易性とその要因をまとめた。

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© 2003 日本デザイン学会
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