デザイン学研究
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台湾におけるスクーター利用実態調査と普及要因の考察
高 瑞禎釜池 光夫
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2004 年 51 巻 1 号 p. 29-38

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抄録

台湾は何故、スクーターが特異に普及していているのであろうか。本研究の目的は、台湾におけるスクーターの利用実態を明らかにし、その要因を考察することにある。はじめに、スクーターの推移に関する文献調査を行い、産業保護政策が大きな影響を与えたことが明らかになった。さらに、使用状況の観察・インタビュー調査を行い、普及要因と思われる項目を整理した。この要因項目をベースに、台湾の代表的都市である高雄市において利用実態調査を実施した。アンケートデータおよび各要因項目間の関係性を分析し、考察を行った。その結果、国民所得の増加、通勤労働者の急増を背景とする人の生活の変化、スクーターの軽便性、経済性などの製品特性、公共交通機関の衰退、約10kmを範囲とする都市の地理条件、温暖な気象など環境要素が主な普及の要因であることがわかった。台湾は、「ひと-もの-環境」に係わる要因の相乗効果から発展、普及したことがあきらかとなった。

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© 2004 日本デザイン学会
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