本研究は、日本とヨーロッパの携帯電話のインタフェースを比較し、その差を明らかにすることを目的として、カタログ調査や実物操作調査を主たる方法とした調査研究である。カタログ調査の対象は、日本の大手通信社3社のカタログ6冊からの84機種、ヨーロッパの販売会社Fnac社のカタログ2冊からの41機種とした。実物操作調査は15個の携帯電話機を直接操作し、ワークフローを把握する方式で行った。調査結果、スクリーンについては、日本の携帯電話は解像度が高く、カラー数が多いことがわかった。GUIについては、日本はおよそ「格子型」と「ファイル型」を、ヨーロッパは「一項目表示型」と「格子型」を採択していることがわかった。キーパッドについては、日本がヨーロッパよりキーやその指示文の数が多くアイコン表現が多いのに対して、ヨーロッパは記号表現が多いことがわかった。ワークフローについて日本は、ワークフローを経ずにアクセスできる機能がヨーロッパより多い構造であった。そして、如何なる要因がこのような差を生み出したかについて考察を行い、製品企画や製造力、ユーザの使用文化などと共に、文化的背景が遠因として働いていると判断した。