2016 年 62 巻 6 号 p. 6_85-6_94
首都圏の駅構内コンビニエンスストアにおける交通系ICカード利用率を向上させる方策の検討を目的として、グループインタビュー、観察調査、ワークショップを実施した。その結果、ICカード利用率を向上させるための、複数の改善策を提案することができた。更に、それらの改善策を複数の実際の店舗に適用をして、その効果を検証した。最終的に、これらの改善策により、店舗でのICカード利用率を向上させることができた。また、当初想定していない効果や新たな仮説も導出できた。
この研究により、駅構内コンビニエンスストアでのICカードの利用率向上のための改善策が提案できただけではなく、そこでの新しいサービスの提供に関する基本的な知見を得ることができた。また、今回採用したデザインプロセスにより、仮説の構築の段階で複数の手法を併用することで、仮説構築に網羅性が出たり、人の意識や行動に関する理解をより深めることが可能となることがわかった。