抄録
介助犬は使用者の身体機能改善、社会参加促進を図る効果が報告されている。しかし介助犬が使用者の家族に、どのような変化をもたらすかについて明らかにした報告はない。そこで頸髄損傷受傷後に、介助犬を使用したユーザーとその家族の合計4人に対しインタビューを行い、質的記述的研究デザインを用いて、介助犬使用前後で生じた変化について調査を行った。
受傷後から介助犬使用前は、家族関係は緊密化し、家族は介護者としての役割に固定され、精神的ストレスを抱えていた。 介助犬使用後は、家族がお互いに協力する機会が多くなり、家族間に緊張が生じても緊張が緩和し、家族関係が健全化する変化が生じていた。介護者被介護者役割固定からの解放が得られ、家族に感謝の気持ちを表明し、お互いに相手を承認するようになっていた。
介助犬の使用は、家族を介護者被介護者役割固定から解放し、家族がお互いに承認する機会を提供し、健全な家族関係の構築を促す可能性がある。