自然選択説は,生徒にとって適切に理解するのが難しい理論である。そこで,自然選択説について分かりやすく解説するための漫画教材を開発した。開発にあたって,生物学史・生物哲学の分野における知見に手掛かりを求めた。具体的には,C.Darwinによる自然選択説の思考過程を分析するため自然選択説を5つの事実と3つの推論からなるモデルに整理した,E.Mayrによる研究に基づくことにした。この事実と推論をそれぞれ1ページの漫画にまとめ,表紙を除くと合計8ページの漫画冊子を完成した。これを,教職課程の学生に対して試行した。試行時には,プレテストとポストテストも実施した。対象が学生であり人数も多くはないものの,試行結果から開発した漫画教材の有効性が示された。