日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
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表紙・目次
発表
  • 新鶴田 道也, 大久保 博和, 岩山 勉
    2020 年 34 巻 10 号 p. 1-4
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/06/17
    研究報告書・技術報告書 フリー

    高等学校物理「電気と磁気」単元において,コンデンサーの電気容量を視覚的に理解するための実験教材を開発する.カーボンファイバー・ペーパーを用いることで,極板の形状加工が容易となり,面積の変化を視覚的に把握することが可能となる.また,極板間に挟み込むコピー用紙の枚数によって,極板間の距離を容易に変化させることができる.開発した教材の電気容量を測定した結果,極板の面積に比例し,極板間の距離に反比例することを示すことができた.また,コンデンサーを並列または直列に接続した際の合成容量を測定し,理論値と一致することを確認した.本教材を活用することで,電気容量が極板の面積及び極板間の距離に依存することや合成容量の関係を,実験において導き出し,視覚的に理解することが可能となる.

  • 猪本 修, 大村 優華
    2020 年 34 巻 10 号 p. 5-10
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/06/17
    研究報告書・技術報告書 フリー

    音の物理的特性は大きさ,高さ,音色の三要素によって特徴づけられる.これらのうち音色は身近のさまざまな楽器や声などの個性や多様性に関わるものであり,音を学ぶ上で欠くことができない重要な要素である.しかしながら中学校理科,高校物理のいずれでも音色についてはほとんど学ぶ機会がないため,音色については分かりやすい教材と指導法が求められる.本研究では,高校物理の教育課程において音色を詳しく扱うにあたって,楽音を構成する倍音成分と波形の関係を述べ,それを効果的に演示するための実験的方法を示した.さらに音色と倍音の関係を調べる対象としてヒトの声に着目した.声の倍音構成を成人116名について調べたところ,第3倍音から第6倍音にかけて性差を反映する特徴が見いだされた.本研究により,音の主要な要素の一つである音色を教材化するには,身近な素材である声を対象とすることが効果的であり,音に対する理解をより豊かなものにできることが示された.

  • ―胡麻塩と地域企業に注目して―
    寺田 光宏, 山口 健三
    2020 年 34 巻 10 号 p. 11-16
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/06/17
    研究報告書・技術報告書 フリー

    資質・能力を育成するために,文脈的にアプローチの授業デザインにおいてレリバンス(Relevance:学習者と学習内容との関係性を表す概念)が重要である(寺田,2018).レリバンスは多様な側面を持ち,主に個人的(面白さ)・社会的(社会とのつながり)・職業的(企業や製品,就職とのつながり)の次元に分類される.本論はこれらの側面を持つレリバンスを高める教材の開発し評価することを目的とする.地域企業に注目しレリバンスに基づいた教材の開発を行った.この教材で試行授業を行い,実践前後及び,企業が存在する地域に存在する中学校を実験群,企業が存在しない地域の中学校を統制群において,認知面及び非認知面の変容を調査した.その結果,両群において認知面非認知面においてほとんどの項目で肯定的な方向に変容した.また実験群の方が,非認知面における個人的・社会的・職業的レリバンスの一部に高揚の差が見られた.生徒たちの身近にある地域企業を教材化することでレリバンスを高めることができる可能性が明らかとなった.

  • ―飽和水溶液と飽和水蒸気量に注目して―
    藤井 史弥, 寺田 光宏
    2020 年 34 巻 10 号 p. 17-22
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/06/17
    研究報告書・技術報告書 フリー

    現在中学校では,飽和水溶液は1年化学領域で飽和水蒸気量は2年地学領域で学習されている。この2つは「飽和」状態における現象であり関係性が単純ではなく理解しにくい内容である。本論では,飽和水溶液と飽和水蒸気量の2つの関係性に共通する概念を明らかにし,共通の概念を架橋するための授業デザインを開発することを目的とした.2つの学習に共通する概念は「飽和」であり高等学校化学で学習する「溶解」平衡の概念である。中学校での溶解平衡概念は「飽和量」「含有している量」「まだ含んでいない量」の3つの要素から成る静的なものである.溶解平衡概念では,飽和水溶液においては溶け出す粒子数と析出する粒子数が等しい状態の動的なものである。溶解平衡の概念に基づけば,飽和状態における出入りする量や数の値を粒子として正確に捉えることができる。また,飽和水溶液や飽和水蒸気量では複合グラフが使用されている。これを溶解平衡の概念でみると,飽和概念が正確にグラフ上に表され,粒子数が質量と正確に一致できる。これらから,飽和の現象を指導するためには,微視的な視点と巨視的な視点を明確に結び付ける溶解平衡の概念としての指導が重要である.

  • 野口 大介
    2020 年 34 巻 10 号 p. 23-28
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/06/17
    研究報告書・技術報告書 フリー

    高等学校化学においてよく取り上げられるナトリウムフェノキシド(NaOPh)の結晶構造データを取得し,その単分子および結晶中三次元構造を調査した。NaOPhのみからなる純結晶はNa2O2四角形単位を含む(Na2O2)nラダー型ポリマー構造を有しており,ユニークな三次元構造を形成している.一方,水和物結晶であるNaOPh・H2Oでは対イオンであるナトリウムイオンとともに水和されている様子が,さらにNaOPh・3H2Oでは結晶水によりナトリウムイオン対が解離して水に溶解したかのような状態が,それぞれ確認できる.その他の溶媒和結晶の構造からも,溶媒和に伴う(Na2O2)n構造の解離の様子が見られた.これら一連の流れを授業で効果的に展開することで,化学物質の構造や溶解現象を分子間相互作用と結び付けて生徒に理解させることが期待できる.

  • 岩本 哲也, 溝邊 和成, 流田 絵美, 平川 晃基, 佐竹 利仁, 坂田 紘子
    2020 年 34 巻 10 号 p. 29-32
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/06/17
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究の目的は,小学校第1学年児童の植物(タンポポ,シロツメクサ,ナズナ)の観察に焦点付けて,諸感覚を働かせる姿に見られる自然理解の表現の特徴を明らかにすることである.対象に働きかける際の諸感覚と気付きの発言を基に,諸感覚を働かせる姿を調査分析した結果,次の点が特徴付けられた.1点目は,植物の特徴を基に,花,茎,葉の部分に着目し,視覚では「色」「形」「大きさ」,触覚では「先」「表面」「重さ」「力を加える」の観点をもって諸感覚を働かせてる姿が見られることであった.また,視覚と触覚を同時に働かせる姿も見られた.2点目は,植物の特徴をとらえる順序は児童によって異なり,諸感覚を働かせる姿に順序性は見られなかった.3点目は,植物に対する特徴的な理解の過程として,諸感覚を働かせながら「予想し,検証する」「複数の事象を関連付ける」「複数の事象の共通点に着目して妥当な考えをつくりだし,その考えを適用する」過程が見られた.

  • ~小学校中学年児童の果実観察より~
    坂田 紘子, 溝邊 和成, 岩本 哲也, 流田 絵美, 平川 晃基, 佐竹 利仁
    2020 年 34 巻 10 号 p. 33-36
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/06/17
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究の目的は,「諸感覚を働かせた自然理解」の基礎的調査の一環として,諸感覚を活用した果実のとらえ方について,その特徴を明らかにすることである.小学校3・4年生を対象に「果実を観察し,その果実を再度選び出したりもっと調べたいことを見つけたりする」活動を個別に行い,動画や観察記録から分析した結果,次の点が明らかとなった.1点目は,主に模様や形について視覚を活用して観察し,果実をとらえる傾向があった.2点目は,観察した果実を再び選び出す際には,観察開始からすぐにとらえた内容を根拠として挙げて確かめていることが多いことや,その順番にとらわれず,追加情報を用いて確認することであった. 3点目は,新しい発見は,感覚内での多様化や感覚間統合による生成が起きるとともに,問いが生まれるときには,諸感覚で得られたことに触発され,これまでの経験や既存の知識と結び付けて思考し,さらに深く検証したり,認識の違いを確かめたりしたいという思いが生じたことであった.

  • ~視覚に焦点づけた児童調査より~
    佐竹 利仁, 溝邊 和成, 岩本 哲也, 流田 絵美, 平川 晃基, 坂田 紘子
    2020 年 34 巻 10 号 p. 37-40
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/06/17
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究の目的は,「諸感覚」の基礎的調査の一環として,児童の視覚での水のとらえ方を明らかにすることである.水を観察しながら質問に回答するインタビューを児童ごとに行い, 目の動きと発言について,動画記録を分析した。その結果,次の点が特徴付けられた.1点目は,児童は水を視覚で捉える際,今までの経験を想起し,既知と結びつけて答える傾向があった.2点目は,児童自身が注視するときは一つの対象物の中の細部の変化や動き等に,視点変化しながら見た場合は,泡の位置や部分ごとの変化等を見取る傾向があった.3点目は,児童が視覚を働かせるときは,自分の言葉から根拠を見出そうとするとき,根拠を探して既知と結びつけようとするとき,質問などにより問いが発生したときに多くなる傾向があるといえる.

  • 荒谷 航平, 郡司 賀透
    2020 年 34 巻 10 号 p. 41-44
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/06/17
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究の目的は,静岡県志太郡島田町第三国民学校の芸能科工作における理数科理科との関連付けられ方について明らかにすることである.本研究は,第三国民学校の実践記録である『我が校藝能科教育の實践』を主な対象として次の2点を分析した.1点目に,第三国民学校で芸能科工作の教科書がどのように受容されたのかについてである.2点目に,第三国民学校の芸能科工作において,理数科理科とどのように関連付けが図られていたのかについてである.分析の結果,次の2点が明らかになった.1点目は,第三国民学校では,芸能科工作は学校の教育方針のもと好意的に受容されていたことである.2点目は,芸能科工作では,国民学校令と国民学校令施行規則に則って,機械教材,特に航空機教材が重視して取り扱われており,その機械教材を通して理数科との関連が図られていたことである.

  • ~授業論を中心に~
    大川 翔平
    2020 年 34 巻 10 号 p. 45-50
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/06/17
    研究報告書・技術報告書 フリー

    ドイツ科学教育におけるプロジェクト授業の授業論についてまとめると主たる点は以下の通りである.第一に,科学教育におけるプロジェクト授業は,「テーマ」,「生徒主体」,「グループ活動」,「作品指向」,「教師の支援」の5つに特徴付けられる.第二に,科学教育におけるプロジェクト授業のプロセスは,「提案」,「計画」,「実行」,「結果」の4段階に分けられ,各段階において,フィードバック・評価を行い,活動が調整されること.第三に,科学教育におけるプロジェクト授業のテーマは,「スターテーマ」と「マグネットテーマ」があり,テーマの扱われ方が2種類あること.第四に,プロジェクト授業における知識や概念の習得の構造には,投射構造と省察構造があること.第五に,科学教育におけるプロジェクト授業の評価には,成果物としての作品やプレゼンテーションを教師と生徒が協議しながら評価しているものの,その評価については,課題がみられること.

  • 渡辺 信
    2020 年 34 巻 10 号 p. 51-54
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/06/17
    研究報告書・技術報告書 フリー

    対数をきちんと理解できているだろうか.対数などは現在の社会では使わないと思う.以前には計算尺があり工学に携わる人々にとって,宝物であったときもある.しかし現在何故,対数が賞味期限切れを問い,その理由は対数を計算技能だけの計算問題として扱う数学教育の問題性にあるという結論から,数学教育の在り方を問う.

  • ―コロナウイルスのデータをいかに読んでいるか―
    垣花 京子, 渡辺 信, 青木 孝子
    2020 年 34 巻 10 号 p. 55-58
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/06/17
    研究報告書・技術報告書 フリー

    コロナウイルスの流行が社会変化をもたらしている.この流行によって数学教育にも大きな変化を求めていることと,今後の国民の教養の在り方を暗示したのではないかと考えられる.今まであまり重要視しなかったデータの扱い方について,数学の新しい分野「データの整理」が重要になる情報化社会の数学教育を考える.

  • ―新型コロナウイルス関連のデータを活用した小・中・高等学校の教材作成を通して―
    槇 誠司, 中野 博幸, 堀田 龍也
    2020 年 34 巻 10 号 p. 59-64
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/06/17
    研究報告書・技術報告書 フリー

    2017年3月告示の学習指導要領では,小学校算数科および中学校数学科の統計に関する学習内容が新領域「データの活用」として独立領域化された.また,高等学校数学Ⅰに仮説検定が新規に加わるなど,情報Ⅰとの連携が重視された改訂となった.加えて,統計的データを批判的に考察し判断する力を小・中学校および高等学校を通じて段階的に指導する内容が含まれた点が強調されている.しかし,これまでの統計に関する学習内容を新領域「データの活用」として体系化しただけでは,教員が適切に指導できるとは言えない.

    そこで,本研究では,教員が「箱ひげ図」など新規に加わった統計の学習の実践を効果的に展開するための教材を作成した.教材作成にあたっては,国民的な関心事でもある新型コロナウイルス関連のデータを活用して,新型コロナウイルス感染者数などの傾向を小・中学校および高等学校を通して体系的に考察できる教材とした.

  • ―理科の授業を通して―
    小林 俊行
    2020 年 34 巻 10 号 p. 65-70
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/06/17
    研究報告書・技術報告書 フリー

    実習中の授業実践を実習生本人とメンター教員がそれぞれビデオ・アノテーション分析を行い,「行為の中の省察」や「自己との対話」を実習生本人が自身の分析を使って単独で行った場合とメンターの分析と比較しながら行った場合で,手続き的知識だけでなく概念的知識を獲得することができるのかを調査してみた.その結果,単独で行った場合には,内容によって一部で概念的知識が見られたが,比較しながら行った場合には,ほとんどの場合で概念的知識が見られた.

  • 太田 明希那, 坂田 明穂, 小林 俊行
    2020 年 34 巻 10 号 p. 71-74
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/06/17
    研究報告書・技術報告書 フリー

    DNAの転写・翻訳・タンパク質合成の学習が,DNAそのものを直接可視化できない,授業が教師による概念の説明になりがちであるといった要因により,生徒の授業への取り組みが受動的になる,内容を理解するのが困難であるという課題が生じている.そこで,DNAの転写・翻訳・タンパク質合成に関する生徒が実際に体験できる新しい教材を開発し,認知面における本教材の効果を検証してみた.その結果,転写に関しての理解度は高かったが,翻訳に対しての理解度は低かったことが明らかになった.

  • 橋爪 勇樹, 前田 令子, 里中 拓馬, 佐藤 達也, 小西 伴尚, 荻原 彰
    2020 年 34 巻 10 号 p. 75-80
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/06/17
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究の目的は,海洋教育プログラムを開発し,その実践を通して学校と学校,学校と地域等が連携を深めるための手だてを提案することにある. プログラムは,2019年度鳥羽東中学校2年生の全生徒を対象とし,理科の生命単元「動物のくらしとなかま」のなかで開発した. プログラムの目的は,生徒が実物に触れながら学習事項の理解を深めること,地元の海に親しむこと,地元の海を知る機会を創出することの3点である. 今回の発表では,開発したプログラムの内容について報告し,学習事項の理解がどの程度深まったかを報告する. 本プログラムの概要は,学校内での座学を中心とした授業,地元の海での臨海実習,採集した動物の観察,ポスター発表である. 学習効果の分析については,プログラム実施前後に記入させた1枚ポートフォリオの対応分析によって評価した. その結果,プログラムが海洋に関する語彙の豊富化に大きく寄与したことがわかった.

  • 岡本 牧子
    2020 年 34 巻 10 号 p. 81-86
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/06/17
    研究報告書・技術報告書 フリー

    日本の手漉き和紙技術は,ユネスコの無形文化遺産に登録されるなど世界に発信できる日本独自の文化である.特に南西諸島及び台湾に生息するアオガンピ(青雁皮)を原料とする琉球紙の製造技術は,沖縄県独自のテーマとして特色のある教材となるが,原料の調達が困難なため持続可能な教材として未だに確立していない.本研究では,学校現場での原料調達を可能にするべく,中学校技術科の生物育成分野の学習教材として取り扱えるよう,アオガンピの栽培方法やコスト,学習指導計画等を提案し,沖縄県独自の和紙製造技術を教材化することを目的としている.本論文では,アオガンピの栽培方法について専門用語をなるべく使用せず,学校現場でも準備可能な道具や方法についてまとめたので報告する.

  • ~誰もが参加できる実習を目指して~
    倉田 智子
    2020 年 34 巻 10 号 p. 87-90
    発行日: 2020/06/20
    公開日: 2020/06/17
    研究報告書・技術報告書 フリー

    新型コロナウイルス感染症の流行により,様々な教育活動の緊急時のオンライン対応が課題となっている.基礎生物学研究所では,アウトリーチ活動の一環として生物の発生過程の観察と研究者による解説を組み合わせたインターネット生中継を行ってきた.2017年実施のアフリカツメガエルの発生過程のオンライン観察は,基礎生物学研究所とニコニコ生放送との共同企画として実施され,採卵から孵化までの約48時間の過程を紹介した.観察のための解像度は十分であり,配信者と視聴者はコメントを介して双方向の交流を実現した.

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