日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
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表紙・目次
発表
  • 渡辺 信
    2022 年 36 巻 7 号 p. 1-4
    発行日: 2022/06/12
    公開日: 2022/06/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    学校教育を終えると数学(科学)からほとんどの人は離れてしまう。生涯学習でも数学(科学)を学ぶことはない。希望しても数学の市民講座はほとんど開かれず数学(科学)を学ぶ機会がない。現在の数学教育(科学教育)は学校教育の中だけで完結している。この学校教育だけが数学(科学)を学ぶ状況を改善したい。今回は数学からのみの問題提起になるが、学ぶことが学校教育で終わるのではなく、生涯にわたり学び続ける社会文化を創り出すことが必要である。学校教育の後の市民講座の重要性から、生涯学習へと数学(科学)の学びを拡げたい。学ぶことは他人から教えられることではなく、あくまでも主体性を持つ学びを問題にしたいためにOut Schoolの生涯学習を提唱する。

  • 西田 若葉, 井田 志乃, 内田 保雄
    2022 年 36 巻 7 号 p. 5-10
    発行日: 2022/06/12
    公開日: 2022/06/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    世界的なプログラミング教育の普及などを受けて,2017 年及び2018 年の学習指導要領改訂により,小・中・高等学校段階におけるプログラミング教育の充実が図られた.さらには,2025年に刷新する大学入学共通テストの出題教科に,プログラミングを含む「情報」の科目が追加されることになった.しかしながら,初学者にとってプログラミングは難しいと言われている.その理由はいくつかあるが,抽象化,パターン化,記号化など具体的な事柄から離れていることが大きいと考えられる.そこで本研究では,プログラミングの要となるアルゴリズム入門教育において,和算の題材を活用することを提案する.和算に含まれる数的処理は繰り返しや条件判断の要素を含んでおり,プログラミングの制御構造との親和性が高いと考えられる.プログラミング未経験者に対して,和算を題材にしたアルゴリズム教材を試用し,教育援用の可能性について考察する.

  • 松岡 克典
    2022 年 36 巻 7 号 p. 11-16
    発行日: 2022/06/12
    公開日: 2022/06/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    算数での問題解決では,論理的に考えることを重視しているが,帰納的に考える方法が主である.一方,数学では,証明問題の論証などは,演繹的に考える方法が主である.この指導方法の乖離の橋渡しができないか考えることにした.本研究では,算数科に問題解決を基盤とした「理論依存型の授業」を取り入れ,演繹的に考える授業モデルを開発することを目的とする.それにより,子供に論理的な見方や考え方が身に付き,数学での証明問題の論証に繋がる演繹的に考える力を身に付けさせることができる.従来見られなかった算数科授業モデルを開発し,指導方法の組み合わせ方や有効性を検討し,授業計画を構想し,研究授業の実践と授業記録に基づく事例分析の蓄積を通して,妥当性や適応性の高い授業モデルとして洗練させる.それにより,旧来から行われている算数の問題解決の指導方法を刷新する可能性が期待できる.

  • ~板書による能動的な数学の講義~
    町田 まゆら, 佐古 彰史
    2022 年 36 巻 7 号 p. 17-20
    発行日: 2022/06/12
    公開日: 2022/06/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    国全体でデジタル化が進む中,教育分野においても「学修者本位の教育の実現」,「学びの質の向上」に資するための取り組みとして,デジタル技術を積極的に取り入れることが推奨されている.しかし,高等教育における数学の講義にも,デジタル化によってその目的を実現することは可能なのだろうか.そもそも,数学者の研究活動は黒板とチョークを用いる.そこで,本研究では,高等数学教育における板書による講義が,単なる知識伝達ではなく研究活動の再現であり,他科目の実験やフィールドワーク同様の能動的学習の効果があることを示したい.そのために,知識伝達型講義の一つであるスライド型講義と板書型講義を比較する実践を行う.講義中に撮影した動画・板書ノート・小テスト・アンケートによる自己評価を用いて,板書による講義が知識伝達型講義より学修者が主体的に学んでいるか,学びの質は保証されているかを検証する.

  • 下村 早紀
    2022 年 36 巻 7 号 p. 21-24
    発行日: 2022/06/12
    公開日: 2022/06/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    第3学年で学習する量分数では,その時々に応じて1とみるものが変わるといった経験をすることとなる.これは,それまでの自然数の学習では出会わなかった見方であるため,子どもにとっても容易なことではなく,見方を育成するうえでの手立てが求められるといえる.そこで本稿では,単位量を強調した授業展開が有効であるとの視座から,単位量を強調した実験授業を計画,実施し,その授業でみられた子どもの概念形成過程を詳細に捉えることを試みた.本稿で分析対象とした主な授業は,第4時,第6時,第7時の3時間分である.その分析結果からは,単位量を強調することで何を1とみなければならないのかということや,2m問題であっても1mをもとにしてみなければならないといった見方が働く様子が確認された.また,ポストテストの結果からは,単位量の見方を強調した学級Aが他の二つの学級よりも単位量の見方が促進される様子が明らかとなった.

  • 山下 大吾, 玉谷 大輝, 谷田 親彦
    2022 年 36 巻 7 号 p. 25-28
    発行日: 2022/06/12
    公開日: 2022/06/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究の目的は「D情報の技術」の項目(1)生活や技術を支える情報の技術,の要件を満たし,それに続く項目(2)ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決,(3)計測・制御のプログラミングによる問題の解決,においても活用できるプログラミングの基礎的な知識・技能を学習する教材として,コンビニエンスストアのコーヒーメーカーモデルを開発することである.開発した教材は, Scratch3.0で記述されたプログラミングをmicro:bit v2により実行することで4種類のコップを自動判別し,それに対応する画像を表示する仕様となっている.コーヒーメーカーモデルにブロック化されたセンサを取り付けることにより,センサの働きとカップの種類に基づいたアルゴリズムやプログラミングを構想,検討できる.この教材を活用し,プログラミングの知識・技能を学習することができる4時間の授業計画を立案した.

  • 田中 愛也, 谷田 親彦
    2022 年 36 巻 7 号 p. 29-34
    発行日: 2022/06/12
    公開日: 2022/06/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は,GIGAスクール構想によってICT環境が整い,1人1台端末を利用した授業が実践されつつある状況において,技術科の目標や資質・能力の育成に寄与する資料の使用方法について検討することを目的とした.「技術科教員が授業において使用する資料の使用頻度の現状」,「技術科教員が考える,技術科の授業において資質・能力を育成する困難さ」,「技術科教員が考える,技術科の資質・能力を育成するために効果的である資料の提示方法」を主な質問項目として,全国の技術科教員101名から回答を得た.その結果,技術科教員の用いる主な資料の提示方法は,実物教材や示範の観察であることが示された.また,資質・能力育成の困難さについて,「技術を新たな発想に基づいて改良・応用したりする力」をはじめとした6つの資質・能力を育成することが困難であると考えられていることが示された.さらに,「技術に込められた工夫を読み取る力」や「技術を適切に選択する力」などの資質・能力の育成において,動画の観察や紙面資料は実物教材や示範などと同等の効果があると考えられていることが示唆された.

  • 佐々木 弘記
    2022 年 36 巻 7 号 p. 35-38
    発行日: 2022/06/12
    公開日: 2022/06/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    幼児教育の段階で,視点移動能力の育成の基礎を担うことができないかと考え,幼児に視点移動を促す活動の手立てについて検討した.T認定こども園においてプログラミングカーをマップ上のスタート地点からゴール地点まで移動させるプログラムを作成すること課題として事前テストを行い,誤答を分析したところ,車が転向した後に幼児はどちらが進行方向になるのか分からなくなるという傾向を指摘した.そこで,車本体に小型カメラを取り付け,運転者としての視点をモニターに表示するという手立てを工夫した.幼児45名を対象にこの手立てを用いて試行実践したところ,正答率は20%とわずかであり,この活動の手立てでは,幼児に視点移動を促すことは困難であったことが示唆された.

  • 喜多 雅一
    2022 年 36 巻 7 号 p. 39-42
    発行日: 2022/06/12
    公開日: 2022/06/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    空気中であれば,疎密波として伝播する音は,小学校3年では空気振動,中学では音速,高校では振幅や振動数,重ね合わせやドップラー効果など波動としての性質が扱われる.これらは粒子モデルを用いいると一貫した現象として説明できる.さまざまな音教材を用いて,疎密波としての音を粒子モデルを用いて解釈する活動を考案し,中学校,高校,また放送大学の面接授業として,実践した.興味深い結果が多数得られたのでそれらを報告する.特にスマートホンのアプリとしてのオシロスコープや,音源の活用,また音をスペクトル分析するフリーのソフトウェアなどの活用によって,音教材の詳しい分析が可能となり,インドネシアのアンクルンの楽器の解析では音楽における物理現象としての単音間の相互作用(共鳴音)の発見があった.

  • ―環境負荷を起こす成分を模索する生徒の活動―
    和田 重雄, 名取 慶, 亀田 麻記子
    2022 年 36 巻 7 号 p. 43-48
    発行日: 2022/06/12
    公開日: 2022/06/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    令和4年度から実施された高等学校指導要領において,「総合的な探究の時間」という教科を設けられ探究的な学習を推進する態度が示された.しかしながら,生徒が主体的に課題を設定する理数探究の授業には,様々な問題が存在している.我々は,高校1年生に対して前年度に実施した理数探究の授業を踏まえて,2021年度に探究目標設定の制限をある程度緩めたが,探究学習の本質と考えられる探究のプロセスを繰り返す学習を理数探究でも実現すべく,2学期,3学期のほとんどの授業時間を使って実施した.その結果,プロセスの1サイクル目には実験課題の設定にかなり苦労した生徒も,2サイクル目では容易に実験課題を設定し実験をデザインしていた.しかも,その目標が生徒自身が興味を持ったテーマであるためか積極性も見られた.しかし,1サイクル目の課題設定においては,生徒が自分らで課題を設定できるようになるために,多くの時間と教員の労力と工夫が必要であった.実験を伴う理数探究の実施は難しいが,探究のプロセスを繰り返すことで,より大きな成果が得られることが期待された.

  • 岡本 弥彦
    2022 年 36 巻 7 号 p. 49-52
    発行日: 2022/06/12
    公開日: 2022/06/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    科学概念としての「地球」を育成する上で有効な教材や指導方法を明らかにするために,システム概念やESDの視点,アースシステム教育の理解目標から,「地球」概念を多面的・俯瞰的に捉え,「地球」概念育成の枠組みを設定した.そして,学習指導要領(小・中・高等学校理科)で示された学習内容を,「地球」 概念育成の枠組みから分析・整理し,小学校理科(第5学年「天気の変化」),中学校理科(第1学年「地層の重なりと過去の様子」,高等学校理科・地学基礎(「日本の自然環境」「太陽と人間」),さらには教育センターにおける野外学習プログラムにおいて,「つながり」の視点に立った教材の開発,指導計画の作成,授業の実践を行った.その結果,児童生徒は地学的な事物・現象を相互関連的な視点や時間的・空間的な視点で捉えたり,実社会・実生活と結び付け自然と人間との関わりの視点から多面的に考えたりすることができた.

  • 岡本 牧子, 小林 かおり
    2022 年 36 巻 7 号 p. 53-56
    発行日: 2022/06/12
    公開日: 2022/06/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年世界各国で深刻化している海洋ゴミやマイクロプラスチックの問題は,人間の経済活動に伴うものであり,ものづくりや消費活動の段階から人々が行動変容を起こすことが重要である.本研究では,マイクロプラスチックの存在を実感することで,消費者としての行動変容につながるような学習プログラムの開発を目的としている.本論文では,学校現場と海浜の距離が近い西表島の海洋漂着ゴミの現状とビーチクリーンを通したマイクロプラスチックの学習について調査を行った.西表島東北部のユチン川河口付近の海岸では,大量の漂着ゴミによってマングローブをはじめとする海岸の木々が倒木し,海岸線が変化する可能性があることがわかった.西表島の小中学校のうち3校は文部科学省の教育課程特例校として「結ぬ海科」が教科化されており,回収ペットボトル生産国分別調査を通して海外からの漂着量が大半であることを明らかにしていた.

  • 竹野 英敏, 岡田 大爾, 松浦 拓也, 趙 悦
    2022 年 36 巻 7 号 p. 57-60
    発行日: 2022/06/12
    公開日: 2022/06/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では,中国・上海市の中学3年生を対象にMRT,ものづくり学習に対する好意度や有用感等の調査を行い,MRTの結果が,ものづくり学習の好意度や有用感等に与える影響について検討した.その結果,①日常的にものづくりに触れる機会を多くすること.②再生可能な社会を見据え,修理・修繕・日常的な手入れの内容を取り入れること.③製品設計を経験させるカリキュラムを充実すること.④図面(図学)の学習を充実させることが示唆された.

  • 河内山 智之, 栗田 克弘
    2022 年 36 巻 7 号 p. 61-64
    発行日: 2022/06/12
    公開日: 2022/06/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    現在,日本の多くの小学校の理科授業では,帰納的推論が用いられた授業が行われている.しかし,帰納的推論は実験から児童がきまりを見つけることができず,正しい法則を発見することができず,科学的概念を形成することができない場合がある.対して,演繹的推論はきまりを実験の前に学習するため,正しい法則を知ることができる.しかし,法則を学習する際に教え込みに近い授業になってしまう.そこで私たちは演繹的推論を活かして児童に正しい知識を身に付けさせるとともにZPDを活かした授業を考案する.教え込みではなく児童の経験や既習事項を基に実験・観察から児童がきまりを発見していくという流れをたどる授業を考案した.質問紙調査から,児童は普段から演繹的推論を用いた考え方をしていること,ZPDを活かした授業を好んでいることが明らかとなった.質問紙調査をもとに,小学校第5学年「ものの溶け方」において演繹的推論とZPDを活かした授業を考案した.

  • ―小学校の第6学年「月と太陽」において―
    森戸 幹, 佐伯 英人
    2022 年 36 巻 7 号 p. 65-68
    発行日: 2022/06/12
    公開日: 2022/06/09
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では,小学校理科の第6学年「月と太陽」において,野外観察の結果(夕方の「月の形」と「月と太陽の位置」)を解釈するために,児童にモデル実験を行わせ,学級全体で話し合わせた.これらの学習活動では,ICT機器としてタブレットPC,液晶ディスプレイを適宜,使用した.また,授業支援ソフトには「オクリンク」を用いた.その結果,各学習活動(モデル実験,学級全体の話し合い)に対する児童の意識(「よく考えた」,「よく分かった」,「おもしろかった」)が良好であったことが示された.また,モデル実験,学級全体の話し合いに対する児童の意識の要因のいくつかが明らかになった.

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