日本科学教育学会研究会研究報告
Online ISSN : 1882-4684
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表紙・目次
発表
  • 宮川 貴彦, 石田 智敬
    2019 年 33 巻 8 号 p. 1-6
    発行日: 2019/06/22
    公開日: 2019/06/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では, 卒業研究への架橋となることを意図して, 高次の思考力を育むパフォーマンス課題を取り入れた物理学授業を開発し, 大学の学士課程において実践を行った. 本稿は, 2年間におよぶ実践研究の一部を紹介して, その成果と課題について検討すると共に, パフォーマンス課題への取り組みで発揮された高次の思考力の内実を, 学習成果物から質的に分析するものである. 成果物を分析することによって, 開発したパフォーマンス課題やルーブリックが, 高次の思考力の育成に有効であることを示した.

  • 花木 良, 伊藤 杏優, 杉田 岳史, 林 訓史
    2019 年 33 巻 8 号 p. 7-12
    発行日: 2019/06/22
    公開日: 2019/06/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    「科学の祭典」をはじめとし,全国各地で科学イベントが開催されている.そこには,小さい子どもからその保護者が訪れ,出展されたブースで科学体験をしている.しかし,数学に関するブースは多くなく,科学館における数学展示物も多くない.新学習指導要領では,数学と理科にわたる探究的科目として「理数探究基礎」及び「理数探究」が新設され,施行される.研究の目的は,科学イベントにおける参加型展示の工夫を考案し,実践を行うことである.対象は幼児から大人を想定しており,実践は数学と関連付けたコマを題材とした.工夫として,参加したいと感じる・幅広い年齢層が体験でき,知識を得られる・オリジナルな作品を制作できることと考えた.実践の結果,出展したブースは大盛況であったが,算数・数学と関連した知識が充分に伝わったかは課題となった.今後は,来場者の分析を行う方法の開発と実施が望まれる.

  • 郡司 賀透
    2019 年 33 巻 8 号 p. 13-16
    発行日: 2019/06/22
    公開日: 2019/06/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は,戦後日本の中学校理科教育に焦点を当てて,教科書における水環境に関する教材がどのように移り変わってきたのかについて解明することを目的とする.水資源の確保や配水システムの維持・管理が顕著な問題となるこれからの社会において,理科教育ではどのような水環境に関する教材が必要となるのか,その研究については低調であった.本稿は,その一連の研究の基礎をなすものである.具体的には,昭和20年代の中学校理科教科書における水環境に関する教材の記述内容を調べて,その特徴を3点明らかにした.すなわち,①地域的条件が鮮明化されていたこと,②井戸については衛生的条件が強調されていたこと,③衛生的条件の担保が難しい社会状況でありながら,排水について環境への配慮が示されていたこと,であった.

  • 吉川 直志, 宮部 彩
    2019 年 33 巻 8 号 p. 17-22
    発行日: 2019/06/22
    公開日: 2019/06/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    小学校6年生で学ぶ「月と太陽」における月の満ち欠けの理解は、小学生にとっても、また大学生にとっても難しい。大学生へのアンケート結果を基に、月と太陽の位置関係による月の形の従来のモデル実験を検討し、欠点を補い、実際の観察と結び付けられるモデル実験の方法を大学生が比較検討する中で提案した。小学校の理科でも観察と比較して利用できる方法であるため、従来のモデル実験と併用することでより効果的な学習につながると考えている。

  • 川上 紳一, 勝田 長貴
    2019 年 33 巻 8 号 p. 23-28
    発行日: 2019/06/22
    公開日: 2019/06/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    地学分野の学習内容は,時間空間スケールが大きく,教室で実験的に調べることは困難である.学習者の興味・関心を高め,地学事象を主体的に学習し,地学リテラシーを育成するには,デジタルコンテンツやICTの活用に加えて,地学事象をモデルや標本を用いて探究し,自然現象を分析・解釈する力の育成が必要である.本研究では,縞々地層実験器,火山灰鉱物標本,花粉化石プレパラート,偏西風波動実験器など,地学分野における探究的な学習を促す教材開発の必要性と実際に開発した教材を提示し,地学分野における探究的な学習を促す教材のあり方について議論する.

  • 荻原 彰, 坂本 紹一
    2019 年 33 巻 8 号 p. 29-34
    発行日: 2019/06/22
    公開日: 2019/06/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    理念から具体的な教育内容までを一貫して論じる地学領域のコンピテンシー研究を試みた。コンピテンスの専門家と物理教育・化学教育・生物教育・地学教育のそれぞれの専門家の研究グループにより提案された理科全体のドメイン・オブ・コンピテンス(キー・コンピテンシー)の提案がされているが、本研究でははそれを受け,小中高校の教師との討議を重ねて,12の理科地学領域のコンピテンシーに具体化した.

  • 小林 俊行
    2019 年 33 巻 8 号 p. 35-40
    発行日: 2019/06/22
    公開日: 2019/06/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    理科の教員を目指している実習生の教育実習中における授業を,実習生本人及びベテラン指導教員の二人がそれぞれ2つの手法(後述)で分析したところ,それぞれの分析方法でしか見えてこない効果の差が見られた.主に,VAT分析では,場面ごとにおける教師の状況認知とその対応方策を,プロトコル分析では,授業デザイン,特に授業全体を俯瞰した改善策を考えることができることがわかった.授業改善の目的に合わせて分析手法を使い分ける必要性があると考える.

  • 寺田 光宏, 山口 健三, 大場 愛絵
    2019 年 33 巻 8 号 p. 41-46
    発行日: 2019/06/22
    公開日: 2019/06/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    「理科を学ぶことの意義や有用性を実感する機会を持たせ,科学への関心を高める」ために,レリバンスの利用がある.資質・能力を育成するためには,それが発揮できる文脈における学習が重要とされ,単なる実生活・実社会ではなく,学習者と学習内容との関係性を表す概念であるレリバンスは,非常に重要である.ただ,レリバンスは多様な側面を持ち,提案者によって様々である.そこで本研究では,多様な側面を持つレリバンスを歴史的,分野的に整理し,包括できる構造モデルを考察することを目的とする.本論では,Stuckeyらのレリバンスモデルを援用し,主に個人的(面白さ)・社会的(社会とのつながり)・職業的(企業や製品,就職とのつながり)に分類した.そのレリバンスの3次元モデルを仮に設定し,多様なレリバンスの位置づけを行った.今後,レリバンスの3次元モデルの問題点を明らかにし,さらなる活用を図る.

  • 中村 琢
    2019 年 33 巻 8 号 p. 47-50
    発行日: 2019/06/22
    公開日: 2019/06/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    理数教育において,授業等の学習活動をとおして習得した知識や技能,思考力,判断力,表現力等の,活用の場やさらなる育成の機会として,探究活動が重要である。本研究では中学校および高等学校の理科・数学の探究活動の実態を調査し,その教育的な効果を測定するために,学校における取組状況と生徒の科学探究能力,意識・意欲を調査した。また,探究活動の指導にあたる理数教員の指導の方法をインタビューや学校現場の実地調査により調査した。その結果,それぞれの学校で探究活動の方法,実施時期,教員の関わり方,指導法が異なっており,生徒の科学探究能力に差異があることが明らかになった。2016年から2019年にかけて,教育現場で探究活動の機会が増加していることがわかった。13,000名の生徒に対する探究能力の大規模調査から,探究活動を経験していない生徒を含む全国調査の結果と比較して,探究活動が科学に対する意識意欲増進と,探究能力の向上に効果があることが明らかになった。

  • 古市 博之, 大鹿 聖公
    2019 年 33 巻 8 号 p. 51-54
    発行日: 2019/06/22
    公開日: 2019/06/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    平成29年に告示された学習指導要領において,生命を柱とする領域では「共通性・多様性」の視点で捉えることと整理された.また,主体的・対話的深い学びの実現も求められ,この視点で捉えるための教材開発の必要があると考えられる.そこで本研究では,子どもたちにとってどのような生物が広く認識されているかを明らかにした.調査の方法として,親しみのある生物・身近な生物・好きな動物は何かという質問紙調査を小学生を対象に行った.調査の結果,どの設問でも「イヌ」と「ネコ」が40%を超える選択率を示した.1%以上の回答を集めた生物(動物)を比較したところ,哺乳類は比較的多く回答を集めていたが,「身近な生物」において回答が多かった魚類・昆虫類は,「好きな動物」においてほとんど回答されなかった.また「身近な生物」として選択された生物は,児童にとって,生活圏内で見ることのできる生物があげられ,「親しみのある生物」は,「身近な生物」と「好きな動物」の回答で集まった種の回答がよく見られた.

  • 伊藤 悠, 松田 義彦, 川上 紳一
    2019 年 33 巻 8 号 p. 55-60
    発行日: 2019/06/22
    公開日: 2019/06/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    古生物学の近年の研究成果によると,現生の鳥類は獣脚類に属する恐竜から進化したとされている.この学説によれば,獣脚類恐竜とニワトリは近縁であり,骨格の形態の類似性に関する観察学習は,相同器官や生物進化に関する学習における探究学習に使える可能性がある.本研究では,鳥類と獣脚類恐竜の四肢の相同性に関する最近の研究成果を踏まえ,市販のニワトリの後肢約200本を入手し,皮や肉,軟骨を取り除いた硬骨教材セットを製作した.中学校第2学年「動物の世界」の授業において,生徒一人ひとりがニワトリの後肢の骨格標本を作る時間を位置づけた.生徒に生物の進化について実感を伴った理解に導くには,ニワトリの骨格標本の製作を通じて,骨格のつくりがどのようなものかを把握させ,獣脚類恐竜の後肢の骨の配列がニワトリとよく似ていることに気づかせた.その類似性が相同器官の例であり,進化の証拠であるという結論に至った.この実践から,相同器官や進化に関する探究活動を支える知識を得る手立てとして,ニワトリの後肢の骨格標本を作る活動が有効であることを提案する.

  • 山本 容子
    2019 年 33 巻 8 号 p. 61-66
    発行日: 2019/06/22
    公開日: 2019/06/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では,中学生のバイオフィリア仮説に対する認識の実態を調査・分析し,その特徴を探った.その結果,調査対象にした中学生の認識の実態の特徴として,以下の3点が明らかになった.(1)生徒間でバイオフィリア仮説に対する賛否の偏りはみられず,生徒各人が賛否の判断を行う際には,他の生物に対する自身と家族との好みの相違・類似点,自身の生き物との関わりの経験を基準としている.(2)賛否の判断基準には,ペット,もしくはペットとして飼われる哺乳類と生徒との関わりが影響している,(3)生徒各人のバイオフィリア仮説に対する賛否に関わらず,ディープ・エコロジー・ワーク「身近な校庭の自然との一体化体験」により生徒のバイオフィリアが活性化される可能性がある.

  • 飯島 康之
    2019 年 33 巻 8 号 p. 67-72
    発行日: 2019/06/22
    公開日: 2019/06/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    ビッグデータ, IoTなどの言葉が象徴するように, これからの数理的探究の中では膨大なデータの観察・分析などが当たり前のものに変わっていくことが予想される。本稿では, 膨大なデータを生成する源の一つとして, Mathematicaを使った数学実験に注目し, そのデータをヒストグラムによって表示した結果を基に数学的現象を観察し, 数学的探究を進めていく様子に関して, いくつかのケースステダィを行った。

  • 坂本 雄士
    2019 年 33 巻 8 号 p. 73-76
    発行日: 2019/06/22
    公開日: 2019/06/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    大学4年生を対象とした小学校教育実習事前指導において「算数科授業における障害のある児童の指導」の導入実践を行った.5年生「割合」における文章問題指導の中で,学習障害(LD)のある児童にどのような指導が考えられるかについてグループ討論による考察を行うとともに,授業の実施前と実施後に質問紙調査を行って授業効果を検討した.その結果,児童の障害を鑑みた実際の教育現場に資すると考えられる指導視点(手立て)が出されたことと質問紙調査の分析結果から,本授業には一定の効果があったと考えられた.今後の課題として,グループ討論における特別支援学校教育実習経験者の発話と視点構築との関係性や本授業の小学校教育実習への効果の検討,そして効果的な手立ての検討などが考えられた.

  • 小西 伴尚, 秦 浩之, 川田 博基, 石井 智也, 平賀 伸夫
    2019 年 33 巻 8 号 p. 77-82
    発行日: 2019/06/22
    公開日: 2019/06/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    三重中学校では,「理科離れ」への対策として,外部連携を進めてきた。その中で,教員は,できる限り全員が参加し,体験できるものを創りたいと考えた。その機会として,教育旅行はちょうどよい機会となっている。そこで,修学旅行を研修旅行にかえて大学・動物園の協力のもと外部連携を行った。その結果,主体的な生徒が増えていることが見受けられた。また,現在は,企画を自分で組んだり,事前学習をしっかりするようにしていることで,主体的な生徒が増加している。

  • 倉田 智子
    2019 年 33 巻 8 号 p. 83-88
    発行日: 2019/06/22
    公開日: 2019/06/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    STEAM教育活動の一環として、科学研究体験(Science)と,撮影編集機器を活用して(Technology)その科学研究体験を映像化する表現活動(Art)を組み合わせた3日間の中学生向けプログラムを企画し,実践を行った. 科学映像は、社会に科学を伝える媒体として科学の情報流通において一定の役割を果たしており,学習においてデジタル教材などの科学映像資料を利用する機会も増えている.一方で、教育現場において生徒自身が科学映像をつくる機会はまだ少ない.本実践では,生徒自身による科学映像制作活動の普及を目指して,生徒の映像製作に対する印象や難易度などをアンケートにより調査した.その結果,体験した中学生全員が映像作品を完成させるに至り,科学体験内容の映像化は多くの生徒に「楽しい」と感じられる活動であることがわかった.

  • 高野 智, 赤見 理恵
    2019 年 33 巻 8 号 p. 89-92
    発行日: 2019/06/22
    公開日: 2019/06/19
    研究報告書・技術報告書 フリー

    日本モンキーセンターと愛知県犬山市立犬山北小学校との連携のもと,2016年度から4年連続で「1日モンキーデー」を実施してきた.春期の1日を選び,1年生から6年生までの全児童が日本モンキーセンター附属世界サル類動物園に来園し,学習する.各学年に合わせた霊長類に関連する学習プログラムを,学年が上がるごとに内容がステップアップするように設計した.4年生では「骨と筋肉のはたらき」,5年生では「人の誕生」に関連した理科の学習をおこなう.6年生はこれまでの学習の総仕上げとして,主体的な探求活動をおこない,発表会をする.初年度の6年生は予備知識なしで臨むことになったが,年度が進むにつれて学習の蓄積が増え,2019年度の6年生は3年生から学習を重ねて最後の1日モンキーデーに臨んだ.年度を重ねるごとに6年生児童が設定するテーマや観察内容が的確になり,発表内容も洗練されてきているように見受けられる.1年に1日だけとはいえ,継続的なテーマ学習が児童の探求的な学びの質を高めることにつながっていると考えられる.

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