本報告では，これまでの国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)の中学校の生徒質問紙の結果から，理科授業における日常生活との関連について検討した。特に，日常生活での事象を理科の教科内容に関連付ける活動と，逆に，理科授業で学習した教科内容を日常生活における科学的事象に結び付ける活動の２つに着目した。前者の活動については，TIMSS1995,1999 の生徒質問紙の結果から，日本の中学２年の理科授業での実施頻度が，国際的には低いと推察された。また，後者の活動については，TIMSS2003,2007 の生徒質問紙の結果から，同様に実施頻度が国際的には低いと推察された。実際の授業については，TIMSS1999 理科授業ビデオ研究の結果より，日本の中学２年の理科授業では，科学概念の発達のために実世界の問題を扱うことが，他の２か国より少ないことが明らかになっていた。
