2014 年 29 巻 3 号 p. 9-12
近年、科学コミュニケーションは科学的知識の普及だけでなく、科学にまつわる感情や価値観といった多義的テーマを扱う「柔らかな科学コミュニケーション」を通して、市民の信頼や科学への興味を喚起しようとする動きがある。「柔らかな科学コミュニケーション」は形や答えのないテーマを取り扱うため、イメージで伝えるアナロジーという説明手法が多用される。しかしアナロジーは前提の違いによって誤解や偏見といったミスコミュニケーションのリスクをはらんでいる。本研究ではアナロジーという説明技法がはらんでいるミスコミュニケーションの可能性について検討していく。